No.2-13:シイラの魔法

「ソフィアさーん。大剣出来ましたよー」


「はいにゃー」


 雑談しているうちにシイラが剣を作り終わったらしい。呼ばれたのでシイラの方へと向かう。


「おお、完璧だにゃ。30分で作ったとは思えないのにゃ」


 シイラに渡された剣は真っ黒な大剣だった。しかし色以外は最初に支給された剣と全く同じだ。サイズも重さも何もかもが一緒だ。いい感じだな。


・かっこいい!

・真っ黒な剣って何かかっこいいよな

・炉から作って30分で完成とか凄いな

・えっぐぅ

 

「急ぎで作ったのであまり長持ちはしないですよ。初期装備と同じだと思ってください。色はなんとなく黒にしたので、変えて欲しかったら行ってくださいね。外見だけなら簡単に変えれるので」


「いや、このままでいいみゃ。使えれば一緒なのにゃ」


「そうですか。では先に行きますか。」


「だにゃぁ。このまま魔金が出るといいんだがにゃぁ」


 俺は次のエリアで何が採れるかを期待しつつ先に進んだ。



「これ最初のエリアかにみゃ?」


「見たいですねぇ」


 ボス部屋の先に進むと、俺らがバーベキューした場所に出た。俺らが進んだ廃坑入口の上部分に赤色で一本の線が引かれていた。恐らくクリア済みですとかいうのを示すための物だろう。後ろを振り返ると既にボスエリアの光景はなく、最初に来た時の景色と同じだった。


「次のエリアに進むには、複数ある廃坑?を全部攻略する必要があるんですかね?」


・そういうことなんだろうね

・誰かが一回クリアすればいいとかかな?

・初回クリアかどうか何かで管理してるのかな?

・まだわからんぞ

・俺らもいきてー


「だろうにゃぁ。通るルートによって内容が違うかもだみゃ。見えるだけでも5つあるけどどうするのみゃ?」


「もう一つ見に行きましょう。それで今日の探索は終わりでいいんじゃないですか?廃坑によって出るモンスターの傾向が違うのか、広さはどうなのかとか見れるでしょうし」


 シイラがそう判断したので、俺たちはまだ通っていない廃坑を通ることにした。



「なるほど。ここはゴーレムが湧くルートですか」


 次に入った先で現れたのは2mほとのサイズがある人型ゴーレムだった。気を付けないと剣が折れてしまいそうだ。


「いい加減シイラくんの戦闘を見たい人も多いと思うにゃ。視聴者のみんなはどうかにゃ?」


・見たい!

・見れるなら見せて!

・ずっと働きっぱなしだったもんね!

・実況ソフィア、戦闘シイラ君!ありだね!


「んー、あんまり見栄えしないですよ?この程度の魔物ならこんな感じでそのまま解体出来ちゃいますし」


「みゃ……」


・せめて死体限定の解体能力であってほしかった

・それ生身にも使えるのかよ!!

・解体したら勝手に死ぬじゃん、じゃぁ一まとめでよくね見たいな思想なんだろうか。

・怖すぎるだろ。


「みゃ、なにか制限が必要だにゃ。視聴者の皆、案を出すのにゃ」


・同じ魔法は一度しか使えないとかでどう?

・剣を使って戦うとか?

・拳オンリーでもやれそうなのがシイラ君よなぁ

・攻撃に魔法禁止はどう?


「んー、僕魔法以外の攻撃手段は本当にダメなんですよね。魔法なしだとゴブリンにも負ける自信があります!なので、同じ魔法は一度しか使えないでいきましょう!これもさっきと同じようにこのルートクリアまでにします!」


「みゃぁ……」


 ゴブリンに負けるとか流石に嘘。嘘だよね?その体格でゴブリンに負けるのは流石にないでしょう。


・草

・ワロた

・近接ヨワヨワなのか

・そういえばこいつ生産メインって言ってた気がするから納得かも(納得はできない)

・そういえばそう……かも??

・それ偽りの記憶じゃない??大丈夫??


「じゃぁ、同じ魔法は一度しか使えないルールでいくにゃ。実況は俺がやるけど、魔法の種類とか見た目でしかわからないからよろしく頼むにゃ。罰ゲームは3日間メイドプレイとかどうかみゃ。」


・ソフィアちゃん天才って言われない?

・ソフィアちゃん神!!

・最高ですね!!

・グッ!!

・シイラ君がメイド服……閃いた!!

・↑お巡りさんこいつです

・閃くな!


「いいですよー。まぁ、僕が罰ゲームを受けることはないと思いますけど」


「そうだといいにゃー」


 俺もそう思ってたんだけどなぁ。テンション上がり過ぎちゃってルール忘れちゃったし、こいつも同じことになんないかな。


・フラグかな?

・それをフラグっていうんだぜ?

・フラグが立った!

・やったー!!


「じゃぁ、行きましょう!レッツゴー!」


 


「おおっ、早速出てきましたよストーンゴーレム君。ここはわかりやすくファイアーボールでコアを打ち抜こうと思います!ファイアボール!」


——ドッゴーン!


「ボ、ボールというか爆弾みゃぁ。」


・耳が壊れる

・鼓膜の替え用意しといてよかったー()

・俺らの知ってるファイアボールちゃう

・ゴーレム君粉々やぁ


 最初に現れたストーンゴーレムはシイラの魔法によって爆散した。ファイアボールって初心者向けの魔法って聞いてたんだけど、全然そんなレベルじゃないんですけど。これ本当にファイアボールか?威力おかしいだろ。



「次のゴーレムはアイアンゴーレムですね。皆さんウォータージェット加工って知ってますか?水で鉄を切るとかそういうのですね!それを使います!ウォーターカッター!」


——キンッ!!


「実物のウォータージェットカッターでもこんな早くスパッとは切れないと思うのにゃ。斬撃を飛ばしてるにゃ」


・えっぐぅ

・やばすぎない?

・草

・水だけでこうなるってどれだけの勢いで発射したんだよ

・物理的に可能なのか……?

・魔法のある世界で物理を問うても意味はないぞ少年

・wwww


 次いで出て来たアイアンゴーレムは水魔法で真っ二つ。水だけで分厚い鉄の塊を真っ二つにできるんだね。研磨剤とか混ぜなくていいんだ。知らなかったなぁ(遠い目)



「おっ、これもしかしてゴールドゴーレムじゃないですか?もしかしたら魔金が採れるかもですね!!これは傷付けたら勿体ないので、丁寧に倒しますね。『命令よ、死になさい』」


「みゃ……?」


 なんか今、シイラ君が『死ね』って言ったらゴーレム君死んだんですけど。え、え、え、そんなのあり?


・おれの眼がおかしくなったのかな?シイラ君がゴーレムに死ねって命令したように見えたんだけど。

・俺もそう見えたよ。信じられない。

・信じたくねぇよ

・怖すぎない???

・視聴者に影響あるとかないよね??大丈夫だよね??


「みゃ、魔法の解説お願いするみゃ」


「あっ!はい!今のは言霊魔法っていって、口にした言葉を具現化する魔法です。詠唱魔法の極致と呼ばれる一つでとても難しい魔法です。相手の魔力が自分の十分の一以下の場合にしか効力を発揮しないので、誰にでも使えるというわけではありません。それと影響を及ぼせる範囲は半径1m程なので視聴者には影響ありませんから安心してください」


「みゃ……みゃぁ」


 それでも十分にヤバイと思うんだけどな。千年前基準はどいつもこいつも化け物ばかりだったから使えなかっただろうけど、今はとんでもない性能を発揮する気がする。やべぇよ。


・よかったぁ

・てかやばすぎでしょう。

・怖っ

 

 

 道中恐ろしいことが判明したが、その後は特に何事もなく、シイラは様々な魔法でゴーレムを倒していき気が付けばボス部屋にたどり着いていた。


・意外とゴーレムの湧き少なかったな

・10体くらいか?

・まぁ、1層目?であの巨体が数で襲ってくることはないでしょ

・最初のエリアだしなぁ

 

「使った魔法は、ファイアボール、ウォーターカッター、言霊魔法、アースバレット、アースランス、ファイアランス、ウォーターランス、念動、アースハンマー、ウィンドカッターの10個にゃ。覚えておくのにゃ」


 このどれもが何かおかしかった。例えばアースハンマーは巨体な土のハンマーを相手に叩きつけるという魔法なのだが、それでアイアンゴーレムを粉砕してた。あと念動は手を触れずに物を動かすという、シイラが良く素材の回収に使ってる魔法なのだが、それでゴーレムを圧縮して真ん丸な球にしてた。おかしいだろう。一つ一つの威力が壊れてるって。


・よく覚えてるな

・ソフィアちゃん偉い

・なんかもう全部の魔法がえぐかった。

・風系は1回しか使ってないのな

・見栄えの問題じゃない?

・それはありそう

・確かに


「さぁ、次はボス戦ですね!最後は派手な花火を打ち上げるので楽しみにしててくださいね!」


「だ、そうにゃ。みんなも楽しみにしてるのにゃー」


———あとがき—————————

 シイラ君回でした。彼(彼女)、これでも魔法は副業でメインは生産なんですよね。副業とはいったい(困惑)


 

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