No.2-9:ダンジョンボス

「はい、ということで恐らくボス部屋と思われるところに到着しました!ソフィア選手は未だに地に足を付けず、ずっと宙を飛んでいます。ボス攻略まで続くのでしょうか!?」

 

 廃坑を真っ直ぐ奥に進むと突き当りに出る。そこにはデカい鉄で出来た両開きの扉が設置されていた。


・味気ない扉やな

・ただデカい鉄の塊って感じ

・なんかもう少し飾りがあっても良くない?

・それな

・これじゃまな板だよ。


「果たしてこのデカい扉の先には何があるんでしょうか!ソフィアさん!ド派手に開けちゃってください!」


 んー、斬るならいけるけど殴るだと大丈夫かな・・・?身体強化を目一杯かければなんとかなるかな?


「どっりゃぁあ!!!」


――ゴーン!!!!


 魔力を込めて力一杯扉を殴ると扉は轟音を上げ、土煙を上げながら部屋の奥へと吹き飛んでいった。ってかうるせぇし痛い。流石に素手でやるのはまずかったかも。


「ウッヒャァ!!凄い威力ですね!!これボスも死んだんじゃないですか??」


・やばすぎ

・て、鉄の塊がすっ飛んでんたんですけど。

・流石にちょっと痛そうにしてて安心した

・ちょっとなのがおかしい

・もう何もいえない

・てかダンジョンの扉って吹き飛ばせるものなの?

・知らん


『ブルウアアア!!!』


 土煙が晴れるまで待っていると、奥からオークウォーリアがこちらに向かって飛んで来た。怪我もなさそうなので、あのデカい扉は当たらなかったようだ。残念。


「おっと、ここは狭いからよ。部屋の中で戦おうっぜ!!」


「おおっと!ソフィア選手!弾丸の如く飛び出てきたオークウォーリアを部屋の中に跳ね返したぁ!素手でも強いとか何なんだこの人ぉ!」


・ブーメラン、飛んでます

・あの巨体を蹴り飛ばすのえっぐぅ。

・どんなパワーだよ

・フルプレートアーマーを装備したオークってだけで見るからにヤバイな

・もしかしてボスって強い?

・あの巨体で装備も重たいのにあんな早く動けるってヤバイな

・おまいうだよ!


「さぁ、僕も中に入って観戦です!ソフィア選手、未だに地面に落ちる気配はありません!罰ゲームはどうなるのか!オークウォーリア!頑張れ!僕たちに語尾にゃんするソフィアちゃんを見せてくれ!」


・草

・魔物を応援するシイラ君に草

・しれっと罰ゲーム語尾にゃんになってるの草なんだ

・頑張れオークウォーリア!せめてソフィアを地面に落としてくれ!


 さて、どうするか。一撃で決めると見せ場がないからな。まずはその邪魔な鎧を丁寧に粉砕していこうか。


『ブルゥァ!!』


「おっらよっと!」


——バリィン!!


「オーク選手!ソフィア選手向けて鋭い一撃を繰り出したぁ!しかし悲しきかな。難なく避けられただけでなく、カウンターを当てられ胸部分の鎧が破砕されたぁ!」


 まずは胸。他も次々に破壊してこうか。


「ハハハハ!!!」


 

「ソフィア選手、後ろに引いたオーク選手相手に追撃!オーク選手も何とか抵抗するが悉く避けられる!そしてソフィア選手の強烈な蹴りが背中に直撃!次は背中側の鎧が破壊されましたぁ!」


・これあれ?鎧剥がしにかかってる?

・ソフィアちゃん笑顔可愛い(◜௰◝)

・凶悪な表情してて草

・ダンジョンボスの方が主人公サイド感ある

・かわ……いい?

・やばい奴湧いてて草


『ブルウウウウ!!!』


「おん?」


——ドオオオオン!!!


「な、なにが起こったんでしょうか!?オーク選手!今までとは比べ物にならない動きでソフィア選手を攻撃!!土煙のせいで見えませんが、オーク選手が思いっきり剣を振り下ろし、それをソフィア選手が片手で掴んで防いだようです!!!」


・土煙のせいで見えない(見えないとは言ってない)

・見えないとは一体……?

・てかオークウォーリアの動きヤバかったな。

・全然見えなかったぞ

・何か爆発したみたいな音したな

・俺らいずれこれとやるの?ま?

・さ、流石に初心者向けのダンジョンではないでしょ。

・そうだったらいいな()


「ハッハッハ!!!やるじゃねぇかぁ!もっと遊ぼうぜぇ!」


『ブル”ワ”ア”!!!』


「オーク選手、早速ギアを一つ上げてきた!一つ一つの動きが今までとは段違いに早い!ですがそれでもソフィア選手を地面に下ろすことすらできない!なんという舐めプ!なんという強さ!これがソフィア選手だぁ!」


・強すぎで草。

・そう言いたくなるのはわかる。

・常に飛ぶよう制限させたのはシイラ君なんよ

・ついでに素手でやるように指示したのもシイラ君な

・リクエスト送ったのは俺らぞ

・↑裏切り者は見つかったようだ

・草


「アハハハハハ!!!」


 いい!!いい!!やっぱこれよ!こういう命のやり取りがしたかった!もうちょっともってくれよクソ豚ぁ!


「オーク選手!ソフィア選手の攻撃により鎧が破壊されるも引かずに前にでる!全身を覆っていた鎧は、今や足と手にしか残っておらず、その他は全部粉々に粉砕されている!だがっ、それでもオーク選手は引かない!鎧が壊れるごとにより速く、より威力の高い攻撃を繰り出していく!!力を振り絞り、限界を超えて戦うオーク選手!いいぞ!頑張れ!ソフィア選手を地に降ろせ!!語尾にゃんを僕たちに見せてくれ!」


・目標が倒すですらないの草

・地に降ろす(物理)

・動きは良くなったけどそもそもの実力差がなぁ()

・剣すら抜いてないしな

・語尾にゃんは見たいが自力の差がありすぎる()

・なお、俺らは殆ど見えてない模様。

・雰囲気で見てるのさっ()


「オラァ!!」


「ブル”ワ”ア”ッ!!!」


——パリーン!


「ソフィア選手!オーク選手が振り下ろした剣に拳を当てて剣を破壊した!フィナーレも近いか!?」

 

『ブル”ワ”ア”ッ!!!』


「あん”ッ”!?」


——ドオオンン!!!


「おーっと!ここでソフィア選手!初めて被弾しました!ガードはしていましたが、そのガードごと吹き飛ばされた!オーク選手の捨て身のパンチが直撃!剣を壊して僅かに気が抜けた隙を見逃さずに叩き込んだぁ!!」


・やべぇ威力出てたな

・バケモンだろ。

・何も見えなかった

・流石に死んだか?

・頼む、死んでてくれ

・オークの努力を無駄にしないでくれ

・ソフィアちゃんの死が望まれてるの草なんだ


「ハハハハハ!!!いいパンチじゃねぇか!!」


 今のは悪くないパンチだった。かつての基準でDランクくらいの魔物が放つ攻撃だった。最高だな!これだよこれ!


「無傷!無傷です!全くの無傷!そしてソフィア選手、とてつもない勢いでオーク選手に向かって突っ込んでいった!対してオーク選手も同じくソフィア選手に向かって突進していった!今度こそフィナーレか!?」


「ハハハハ!!!オラァア!!!」


『ブル”ワ”ア”ッ!!!』

 

——ドオオオン!!!


「決着!決着です!最後はソフィア選手のパンチが一歩早くオーク選手の心臓を貫きました!最後までソフィア選手は地に足を付けることはありませんでした!素晴らしい戦いを見せてくれたオーク選手に皆さま拍手を!!!」


・88888888

・88888888

・いい勝負だった

・よくやったよお前

・最高の戦いを感謝88888

・ソフィアちゃん強すぎんご

・ソフィアちゃんにも拍手させてwww


——ゴゴゴゴゴ


「なんだぁ?」


 ボスを倒した直後、部屋の奥から大きな音がなった。


「おや?おやおやおや?私の壱号君はもうやられちゃったんですか??ちょっと予想外ですねぇ」


 音のなった方の壁が崩れ、その奥から研究者風の恰好をした男が出て来た。何だこいつ。

 


———あとがき——————

 なにやら怪しげな人間が・・・?

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る