No.2-10:乱入者

「あれ……?あれれれれ?ここにいたオークは知りませんかぁ?」


「?もう解体しちゃいましたよ」


・なんだこいつ

・変なの出て来たな

・何イベントだ??

・ヒョロガリ白衣で髪の毛ボサボサ隈もあって眼鏡で見るからにヤバイ奴感が凄い


「なんと……。困りました。それは困りますねぇ。私の子を持って行かれては色々と困ったことになるんですよぉ。返してくださいますか!!!」


 そういいながら研究者風の白衣来たヒョロガリ男は、いきなりシイラ目掛けてメスを飛ばしてきた。俺はすぐさま射線の正面に移動してメスを弾く。


——キンッ!!


「おいおい。魔物の所有権は倒した奴にあるもんだろう?別にいいんじゃねぇのか?」


「私の邪魔をするのですか?」


「お前が先に仕掛けて来たんだろう……が!!」



 その掛け合いをきっかけに、二人の戦闘が始まった。研究者風の男は白衣の中から次々とメス投げていき、ソフィアがそれを弾いていく。


「あららら、よくそのデカい剣で防げますねぇ。恐ろしいですねぇ」


「はっ、一切思ってないくせによくいうぜ!おらぁ!」


 ソフィアは次々と飛んでくるメスを強力な一閃で吹き飛ばす。その瞬間に距離を詰めて剣を振り下ろす。


——キンッ!


「くぅぅ、やりますねぇ」


「その体で良くもまぁ動けるものだなぁ!」


 研究者風の男はソフィアの一撃を小さなメスで防いだ。対してソフィアは直ぐにケリを放つが、それを避けて置き土産のメスを飛ばしていく。


「ふふふ、素晴らしい。素晴らしいですよ。どうです?私のモルモットになりませんか?優遇してあげますよ?」


「誰がなるかよ!!」


・モルモット確定なの草

・勧誘下手クソマン。どっかで見たな。

・てかこの研究者見た目のわりに良く動けるな

・普通に強くない?

・気づけばソフィアちゃんも地に足付けて戦ってるしな。

・それだけ強いってこと?

・かもしれない


 その後も研究者は距離を取ろうと動いていくが、それよりも速くソフィアが距離を詰めて攻撃をしかけていく。ソフィアが攻めて研究者が守る。一見してソフィア優勢に見えるが、研究者の守りも堅く、未だに攻撃を当てられないでいた。



「んー、ソフィアさん負けるかも?」


・えっ?

・どうみてもソフィアちゃん優勢に見えるけど?

・押せ押せじゃん

・研究者の方も防戦一方に見えるけど

・ってかシイラくん傍観でいいの?w


「少なくとも現状が続くならって話ね。僕は殲滅は得意だけど戦闘は苦手だから。その辺はソフィアちゃんに任せるよー」


・確かにシイラ君が戦ってるところ見たことないかも?

・いや、魔法でボコボコに出来そうだけど

・それな。



「グッ!?ハァッ!!」 


 拮抗状態が崩れ、先に攻撃を受けたのはソフィアだった。研究者が投げたメスがソフィアの右肩に刺さる。


「ふぅ、やっと毒が効いて来ましたか。魔法使いでもないのに随分とタフですねぇ」


「はぁはぁ、毒?」


「えぇ、そうd『あぁ、この大量のメスか』……人のセリフを奪ってはいけませんと親に教わらなかったので?」


「はぁ……、んな記憶はねぇな。人の物を奪ってはいけませんって言われた覚えはあるけどな?」

 

「どうやらまだ仕置きが足らないようですね。いいでしょう、とことんまで痛めつけて、私のモルモットにして差し上げます!!!」


 そこからの流れは一転して研究者が攻め、ソフィアが守るという流れに変わった。ソフィアはいつの間にか仕掛けられていた毒により、身体の動きが明らかに鈍ってきていた。今はまだ攻撃を防げているが、受けきれなくなるのも時間の問題だろう。


・シイラくーん!解説プリーズ!

・何々?毒?あのメスに仕掛けられてたの?受けてないのに?

・揮発性の毒とか?ってかシイラくんは大丈夫なの?

・解説頂戴ー!


「コメントにあった通り揮発性の高い神経毒だね。メス一本に塗れる程度の量じゃ流石に大したことないんだけど、投げた量が多くてそれが全部ソフィアさんの顔回りに飛んでいたからね。それで気が付かずに毒を大量に吸っちゃったとかだと思うよ。今くらい距離空いてれば僕に影響はないよ」

 

・ほへー

・解説ありがとう!

・なるほどなぁ。毒のケアを忘れていたと。

・そこが敗因か。



「本当に!随分と!しぶといですねぇ!早く倒れて貰ってもいいんですよ??」


 そうこうしているうちに、ソフィアの身体の動きはどんどん鈍くなり、攻撃を喰らう回数も増えていった。右肩のみならず、左脚太ももにもメスが刺さり、頬には一本の切り傷が出来ていた。


「ククッ……ククククッ……」


「おやおや?毒の効き過ぎで頭おかしくなりましたか?なら早く倒れてくれませんかねぇ!!」


——キンッ!


 ジリ貧となったソフィアに止めを指すべく、力を込めて放った一撃は予想外に弾かれた。


「なっ!?」


「ハハハッ!いいっ、いいっ!!今日は最高の日じゃねぇか!!!」


 突如として復活したソフィア。これにより再度攻守が反転し、ソフィアが攻め、研究者が受けるという展開になった。


・何が起こったの!?

・全然わからん!!

・毒は!?

・あの傷であれだけ動いて大丈夫なの!?

・教えてシイラ君!


「うーん……僕にもわからないよ。アドレナリン、かなぁ?」


 そんな曖昧なもので特性の神経毒が破られてたまるか。微かにシイラのつぶやきが聞こえた研究者はそう思った。


「ぐっ、本当に、人というのはっ、わからないものですね!!」


「ハハハハ!どうしたどうした!!まだ何かあるんじゃないのか!?もっと見せろよ!!!」


 ソフィアの攻撃はどんどんと勢いを増していき、研究者の身体には次々と切り傷が出来ていく。


「グウッ”!」


「ハァッ!!」


 とうとう耐えかねて研究者が崩れたところに鋭い一閃。研究者はその一撃を辛うじて防ぐが、完全には防ぎきれずに後ろに吹き飛ばされそのまま壁に叩きつけられる。


「くぅ……、痛いですねぇ。全く」


「オラオラァ!!」


——ガンッ!


 手を止めず、ソフィアが止めを刺しに行こうとしたところに、一人の男が割り込んできて、ソフィアの攻撃を素手で止めた。


「あ”あ”っ”!?」


「悪いがこの男を殺されては困る。失礼」


「ゴフッ!」


 割り込んできた男がソフィアの腹を殴り、ソフィアはそのまま反対側の壁まで吹き飛ばされた。


・ソフィアちゃん!?

・なんやわれぇ!俺らのアイドルに何しとんじゃい!

・ソフィアちゃん大丈夫ー?(棒)

・わー俺らのソフィアチャンガ—(棒)

・お前らブレなさすぎワロた


「では、失礼する」


 そういって男は研究者を抱え忽然と姿を消した。


「ソフィアさん。大丈夫ですー?」


「ん”、まぁ、楽しかったなぁ」


 身体は明らかにボロボロだ。しかしそういったソフィアの表情はとても満足そうな笑みを浮かべていた。


「地に足付けたので、罰ゲームとして今日から3日間、語尾にゃんでお願いしますね」


「え”っ……」


——バタン


 シイラが回復に来てくれるのだろう。そう思っていたところにまさかの口撃こうげきをくらい、ソフィアは絶望の表情と共に地に倒れた。


・ソフィアちゃんが死んだ!この人でなし!!!

・何てこと言うんだ最高だぜ!

・語尾にゃんやったー!!

・ソフィアちゃんの語尾にゃん楽しみにしてます!

・満面の笑みがスッと消えるの草

・芸術的な表情だったな満点

 

 

———あとがき—————————

 楽しい楽しいダンジョン攻略でしたね。()

 やったねオーク君!君の戦いは無駄じゃなかったよ!語尾にゃん確定だ!ありがとうオーク君!

 

 次回は掲示板回です。閑話を数話挟んでから本編に戻りますペコリ(o_ _)o))

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