No.1-10:出会い

「おっ、蜘蛛の魔物っ『いやあああ!!!』……」

 

 森に入って早速魔物が出てきて俺の出番かと思えば、シイラの叫び声と共に『ゴウッ』という音が聞こえ、目の前の蜘蛛が一瞬で灰になった。


「なぁ、シイラ?」


「うぅぅぅ、蜘蛛は、蜘蛛だけは苦手なんですぅ」


 外見はイケメン男性の彼女が蜘蛛に怯えて縮こまってるのは残念に見えるはずなのに、何故かそれすらも様になってる。顔面がいいってすごいな。


・草

・いままでの魔法もヤバかったけど、過去一ヤバい魔法だった

・灰すらも残ってないのえぐ過ぎん?

・もうシイラ君一人でいいのでは?

・オーバーキルで草

・何したかわからないけどでかめの蜘蛛が一瞬で消えたの怖っ


「はぁ・・・、大丈夫じゃないなら戻るか?」


「い、いえ。すみません、取り乱しました。蜘蛛は塵一つ残さないので任せてください!」


「お……おう、わかった。じゃぁ進むぞ」


「はい!」


 蜘蛛に対して並々ならぬ恨みがあるらしい。さっきシイラが使った魔法を避ける自信はないので、誤射にだけは気を付けてもらいたいところだ。


 シイラの宣言通り、蜘蛛は見つけ次第シイラが抹殺。それ以外は俺が倒していった。蜘蛛以外はゴブリンとコボルトしか出なかった。解体がちょっとグロかったので配信みてる人がちょっと可哀想だったっていうのはあるが、見る側でいい感じにフィルターかけられるらしいので特に問題なさそうだ。


「んー、色々と使えるはあるんですけど、あんまり質が良くないですねぇ」


「そうなのか?その辺全然わかんないからな」


 歩いてる最中、シイラは魔法を駆使して色々と採取している。特に解説とかしてないので、配信でいうほどの物ではないのかもしれない。


・何してるかわからないけど面白いな。

・歩く傍から色々なものがシイラ君の元に集まってるの面白い。

・なんか幻想的だよな

・順当な魔法使いって感じする

・ただ森を歩いてるだけでこんな見応えあるの凄い

・(一応魔物との戦闘もあるといっておく)

・魔物が何の障害になり得てないの草なんだ

・まるで庭だな


 ただ普通に森を歩いているだけでも、見ている人にとっては中々に面白いようだ。まぁ、シイラの魔法ってすごい見応えあるよな。わかるわー。


「おや?」


「どうした?」


 それなりに森の深くまで着くと、シイラが急に足を止めた。何があったかと聞くと、近くに人がいるらしい。


「どうする?」


「んー、結構強そうなんですよね。強さ的にはソフィアさんの一段下って感じですね。あとその隣に魔物かな?なんかよくわかんないのがいるんですよねぇ」


「ほう、それはいいな」


 初日から歯応えのあるやつに会えるとは運がいい。どれくらい強いのか楽しみだ。


「あっ、別に賊じゃないと思いますよ?普通に休憩してるだけみたいですし。なのでいきなり襲いかかったりしないでくださいね?」


「むぅ・・・そうか。」


・ションボリしてるの草w

・この戦闘狂めww

・めっちゃ嬉しそうな表情から途端にションボリするの可愛いすぎる

・襲ってきてくれないかなーって考えてるぞ絶対。


 コメントも好き勝手いうな。そんな戦いたいなんて思ってないって。ほんの8割くらいしか思ってなかったから!


「なんかソフィアさんがおかしなこと考えてる気がしますが、とりあえず行きましょう。謎の人もそうですが、隣にいる何かが気になるんですよね。前作で感じたことのない魔力ですし」


「了解」


 シイラが感じた気配の方へ歩いてる最中、謎の生物について聞いてみた。シイラ曰く存在がフワフワしてるらしい。ちょっと何言ってるかわからないが、専門家がいうならそうなんだろう。

 

「ところでシイラの索敵範囲ってどんくらいの距離なんだ?」


「時と場合にもよりますけど、最大は半径10km程度ですね。今は半径1km以内にしぼってますけど。」


「魔法使いなら十分だな」


「ですです。」


・いやいやいや

・凄すぎない??

・範囲広すぎでしょ

・やっばいな

・斥候いらずじゃない?


「魔法使いは敵の位置がわかればいいっていうスタンスだからな。地形とかまではわからんぞ?だよな?」


「えぇ、そうですね。本業の斥候なら敵の位置、敵の強さ、そこに至るまでの地形、どこを確保すればいいのかとか、そういったことを把握する必要があります。ベテランレベルになると、その場から動かずに半径10km圏内にある生物と地形の全てを完璧に把握できるそうですから」


・それはやばすぎ。

・もはや千里眼じゃん

・機械がやるようなことを人がやるなよww

・ほんとそれwww


 

「そろそろですね」


「そうだな。しかし人は見えんぞ?」


 気配を俺でも感じられるくらいには距離が近づいてきていて、そろそろ目視できるくらいの距離のはずなんだが、俺には見えない。


「あのデカい岩の裏にいるみたいですよ。すみませんー、近づいてもいいですかー?」


「……こんな時間に何者だ?」


 シイラは少し声を張って、付近にいるはずの人へ声を掛けると、姿は現さずに声だけで答えてきた。かなり低く男性的な声をしてるので、流石にこれで女性ということはなさそうだ。


「再生者です。ちょっと探索の途中で気になったのでちょっと確認にきました」


「再生者・・・。以前の名前を聞いてもよいか?」


「いいですけど、あなたの姿を見せて貰えませんか?その隣にいる何かも一緒に」


「ふむ・・・まぁよいだろう」


 そういって岩裏から姿を現したのは身長が俺と同じくらいの少年。その後ろから額に赤く煌めく炎の紋様が入った白い狼も現れた。


 ……確かに男性だったけどその声でショタはないだろう!

 




———あとがき—————————

 ちなみに主人公の声は声の低い女性といえば通用する声質なので、ブーメランではないです。多分。



2023/03/31 転生者→再生者に変更しました。

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