No.1-5:同士との邂逅

「お疲れ様です。会場は開いてますので中へどうぞ」


「ありがとう」


 教会に戻ると、先ほどのシスターが講堂まで案内してくれた。


 大聖堂の中は外観とは打って変わって普通だった。正門から入って直ぐのエントランスとそこから続いてる礼拝堂は天井が高く綺麗な装飾が施されているものの、そこから伸びる廊下やその先にある部屋は普通だった。やたら天井の高い廊下とかそういうのは特にないらしい。


「こちらのお好きな席でお待ちください」


「わかった。案内ありがとう」


 シスターにお礼をいい、適当な席に座る。武器は邪魔にならないよう横に置いておく。講堂内はすでに10人くらいの人たちが座っている。恐らくプレイヤーだろう。とはいえ、全員初期衣装ではないので確実にそうとはいえないが。


「すみません、あなた再生者ですか?」


 とか思ってたら早速プレイヤーらしき人に声を掛けられた。


「あぁ、そうだが。『も』ってことはお前も?」


「えぇ、そうです。合ってて良かったぁ」


 俺がそう答えると明らかにホッとした様子を見せた男性。外見は爽やか系イケメンで高身長。金色の髪と金色の眼がキラキラと輝いている。アバターでここまでやるってすごいな。


 ……リアルモジュールのまんまとかないよな?作っててこれだよな?そうであってくれないと一般おじさんの俺が泣くからやめてくれ。


「一応聞いとくけど、前作をプレイしたことは?」

 

「もちろんありますよ。と、いっても魔王討伐は無理でしたけどね」


「俺もだ。あれは無理だよなー」


「ですよね。僕は直ぐ戦闘は諦めて鍛冶とか調合とかそういう生産職としてプレイしてました。そういえば名乗ってませんでしたね。僕の名はシイラです。名前を聞いても?」

 

「もちろん。ソフィアだ。よろしくな」


 そういって握手を交わす俺たち。


「ところで男……ですよね?」


「あぁ、アバターを作るセンスが無さ過ぎてな。天使様に作ってもらった」


「あー、なるほど。僕と一緒ですね。ちなみに僕はこう見えて女です」


「……??いや、全然そうは見えないんだが??AIってすげぇな。」


 下着姿なら女ってわかるんだろうが、服を着た状態だとどう見てもイケメンな男にしかみえない。確かに女の恰好が似合いそうではあるが。


「ですよねー。僕もエイリアン作っちゃって、流石にこれはって言われて天使様にやってもらったんですよ。そしたらこのクオリティ。本当にすごいですよね」


 まじでその通り。普通の人が作るよりAIが作る方が遥かにクオリティ高いんだよな。任せて正解だったかもしれない。一般おじさんが泣くことは無くて安心した。


「今作はどんな感じでプレイするんですか?」

 

「とりあえず適当に魔物狩りながら旅でもしようかなって感じ。前作で関係のあったNPC達がこの世界に転生したっていう形でいるらしいから、旅しつつそいつらを探すつもりだ」


「おおーいいですね!僕も付いていっていいです?戦闘は出来ないですけど、武器防具ポーション何でも作れますし、魔法もある程度使えますよ!」


 丁度パーティメンバー欲しいなって思ってたからいいかな?そのまえに色々確認してみよう。

 

「洗浄魔法は?」


「使えます」


「属性は?」


「地水火風の基礎四属性全てです」


「魔法師認定は受けたか?ランクは?」


「受けました。Bです」


「所属してた生産系ギルドとそのランクは?」


「総合生産ギルドでBです」


「パーフェクトだ、シイラ」

 

「感謝の極み」


 魔法師ランクがBで総合生産ギルドのランクもB?やばいなこいつ。特に後者は化け物。そもそも総合生産ギルドというのは、前作で五大生産職といわれた鍛冶・木工・細工・錬金・調薬の全てのギルドでCランク認定を受けた者しか入れないギルドだ。そしてこれがBっていうことはそれらの技術がBランククラスってこと。

 

 ちなみに生産職におけるランクはCで聖剣や魔剣を作れる、Bが神器、Aになると作った物に命を宿らせることが出来る。と言われていた。自分は生産職をやらなかったのでそういう話を人づてに聞いただけだが。


 結論、化け物。魔法師ランクも同じような感じだ。扱う魔法の系統にもよるが山を吹き飛ばすとか100km先の1cm四方の小石を狙撃するとかそういうのが出来るレベル。とにかく人外クラスと思ってくれればいい。これに関してはガチでやった奴を見たことがある。マジで化け物だった。


 え?俺?いやいやいや、俺はたまたまBランクが取れただけ。そんな強くないから。いや本当に。俺より上の化け物なんてわんさかいたからなあの世界。


「しかしいきなり同士に出会えるとは思わなかったな。プレイ人口なんて最初の数日以降は全世界で千人いくかいかないかくらいだったし」


「僕もそれ思ってました。あ、忘れないうちにフレンドコード交換しておきましょう。」


「あー、リアルモードでもあるんだっけか?」


「ありますよー。メニューのここに……」


 シイラに教わりながらフレンド登録を行う。これでチャットが可能になったわけだ。


『あ、あ。聞こえますか?』


「うおっ!?」


 突然頭の中に声が響いて大きな声を出してしまった。そのせいで周りの人がこちらを向いた。おれは少し頭を下げてすみませんっていう雰囲気を出し、席に座り治す。


「イタズラ成功です!これはシステムの通話機能を使ったんです。フレンド同士だと『こんな感じで声に出さなくても通話できます』ので、頭の中で僕に返事するような感じでやってみてください」


『こうか?聞こえてるか?』


『はい、聞こえてますよー』


『念話が使えるっていいな。そういえば魔法にもそういうのがあるって聞いてたけどそれとは違うのか?』


『僕は念話は使わないのでわからないですね~。覚えたら試してみますね』


『まぁ、わかった』


 それからしばらく通話機能を使用して雑談してると、教員を務める神官が中に入ってきて講義が始まった。

 



———あとがき—————————

 OriginWorldにおけるランクは、一般的なゲームの二段階上というイメージです。


 PS.他意はないんだけどシイラに執事服を着せたいな。他意はないんだけどね。



2023/03/31 転生者→再生者に変更しました。

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