時計仕掛けの惑星
影山石英
機械じかけの惑星
ある遥かな宇宙の果てに存在する惑星アルゴ。この惑星は、何千年も前に高度な文明が繁栄し、その後衰退したと言われていた。アルゴは表面がほとんど機械で覆われており、時計のような歯車が幾重にも重なった不思議な風景が広がっていた。しかし、その正確な機能は誰も知らなかった。
ある日、宇宙探検家のタロウとミナコは、アルゴへの探検を決意する。彼らは古代文明の秘密を解き明かすため、この星に降り立つことにした。着陸した惑星の表面では、巨大な歯車が空を覆い、その機械音が響いていた。
タロウとミナコは、惑星の内部に入ることができる入り口を見つけた。そこは長い廊下が続く迷路のような空間だった。彼らはその道を進むことにした。途中で壁に刻まれた古代の文字を見つけ、翻訳することでアルゴの秘密に迫っていった。
やがて二人は、惑星の中心部にあたる巨大な円形の部屋にたどり着く。部屋の中央には、星の形をした透明なオブジェが鎮座していた。壁にはさらなる古代の文字が刻まれており、タロウが翻訳を試みた。
「ミナコ、これは信じられない。どうやらこの惑星は、何千年も前に種族間の戦争で壊滅的な被害を受けたらしい。だが、その危機を乗り越えるために、彼らはこの星そのものを時計仕掛けの機械に変えてしまったんだ。そして、その力で時間を操ることができるらしい。」
ミナコは目を丸くして驚いた。「時間を操るって、どういうこと?」
タロウは興奮を抑えながら答えた。「例えば、過去や未来に旅行したり、時間を止めたり進めたりすることができるんだ。ただし、その力は限られていて、使い果たすと二度と使えなくなるらしい。だから彼らは、この力を使うことに慎重だったんだろう。」
ミナコは考え込んだ。「でも、タロウ。この力を持っていたなら、なぜ彼らの文明は滅んでしまったの?」
タロウは首を傾げながら、壁の文字をさらに調べた。そして、彼は真実に気付いた。「ミナコ、これは信じられないかもしれないけど、彼らは自分たちの過去を変えることで戦争を回避しようとしたんだ。しかし、その結果、彼らの文明自体が存在しなくなってしまった。つまり、彼らは自分たちの歴史を書き換えることで、自らを滅ぼしてしまったのだ。」
二人はその事実に愕然とし、アルゴの過去の悲劇を知ることになった。しかし、彼らは同時に、この星が持っている驚くべき力を使って、未来をより良くすることができるという希望も抱くようになった。
タロウとミナコは、アルゴの秘密を宇宙に広めることを決意し、惑星を後にした。彼らは今後の冒険で、この時計仕掛けの惑星が持つ力をどのように活用するか、慎重に考えることになるだろう。
そして、アルゴはその後も、宇宙の果てで時を刻み続ける。その歯車が回る音は、かつて繁栄した文明の証であり、未来への希望を運ぶメッセージでもあった。彼らの過ちを繰り返さぬよう、新たな時代の探検家たちが惑星アルゴの遺産を活かして、平和で美しい未来を築くことができるだろうか。その答えは、彼ら自身の手に委ねられていた。
時計仕掛けの惑星 影山石英 @kageyama-sekiei
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