スワンプマンズ⑥

街は全て荒廃し、草地なんて場所は見渡す限り焼け野原。

そんな世界で俺様は今、参加者と戦っている。

俺様が今まで戦った中で最も手強てごわく、最も戦いがいのある参加者と。


「やっぱり、そこの俺様も同じことを考えたって訳か」


「当たり前だろ?何たって俺様なんだから」


「早く壊し合おうぜ?」


そう、今俺様は俺様自身と戦っている。

俺様同士で壊しあい、最後まで残ってたのが最強の俺様。

言うなれば俺様バトルロワイヤルが始まっていた。


「ちっ、また相打ちかよ」


この戦いを始めるにあたって、俺様はある一つのことを決めていた。

俺様は一切の防御を使わねぇ。


全てのこの『想像で創造する能力』は、俺様を壊す為の武器を作る為に使う。

正直、そうでもしねぇと俺様を壊し合うことなんてできねぇ。


何たって思考が全部同じなんだ、防御まで付けちまったらいつまでも長引いちまう。

俺様同士の戦争。

銃火器、爆弾、なんでもありで壊し合う戦い。


「どんどん強くなってやがる」


俺様達は、最初こそ相打ちが多かったが、少しずつ経験のによる戦力差がつきはじめた。

考えてみれば当たり前のことだ。

俺様は死ぬたびに、俺様を生んだ自我の元へと戻っていく。


そして、死んだ俺様と生んだ俺様の、記憶と自我が結合されていくのだから。

俺様は死ぬたびに、そして壊すたびに強くなっていく。


今の俺様より、次に会う俺様の方が手強てごわい。

俺様は、俺様何人分かも分からない俺様と戦い続けることになるんだからな。


そして自我の結合について。

これは、俺様が強くなっていく事以外にも関係してきている。

今、ここで考えている俺様の自我も、俺様が生み出した俺様が死ぬたびに結合され、塗りつぶされていく。


俺様はもう、俺様が俺様なのかも分からねぇ。

だが、そんな状況が俺様にとって、今まで生きてきた中で一番の最高だった。


「ここにいたか俺様」


「俺様から来てくれるとはな俺様」


元々俺様は、自分で自分を壊してしまいかねないくらい我が強かった。

どれだけ世界を破壊しつくしても尽きない破壊衝動。

それが、そんな俺様を破壊し続けることによって、満たされ始めてきた気がした。


「俺様の勝ちだ」


「勝利の余韻よいんひたっている暇があるのか?俺様」


「また新しい俺様が現れたか」


この戦いは、最初の俺様が死ぬまで終わらない。

俺様にとって最高の楽園。

どれだけ俺様という存在を破壊してもいい世界。


「そこの俺様、バテてしまってねぇだろうな」


「そんなわけねぇだろ俺様」


俺様はこれからもずっと戦い続け、壊し続け、死に続ける。

俺様の、俺様による、俺様の為の戦争。


「てめぇは俺様を何人壊した俺様だ?」


「俺様を壊した数なんて今更覚えてねぇよ」


「そりゃ違いねぇ、俺様」


俺様はまた、目の前の俺様と戦い始めた。


『参加者が一人死亡しました。残り参加者は三人です』






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