CASE6.ゲーマー
部屋の中のカブトムシ①
僕は天才ゲーマーだ。
名高いゲーム大会には全て参戦していき、その全てで優勝を勝ち取ってきた。
僕は、ゲーム全般が得意だ。
僕は、そんなゲームのある二つの要素が特に得意だった。
ゲームのルールに
前者のルールに
ありとあらゆるゲームにはルールというものがあり、それには大抵穴がある。
僕はそれを突いていくだけだ。
僕はリアルタイムアタック、通称RTAの世界記録をいくつも持っていた。
簡単なことだ。
誰にも知られていない、抜け穴のようなルートを進み続け、独走をし続けるだけなのだから。
後者の対戦相手の思考を読むこと、これにもコツがある。
思考というのは人それぞれ違うものだ。
自分が知っている情報を、相手が知っているとは限らない。
「対人戦を行うときは、対戦相手の思考レベルに合わせろ」
それが僕の格言だ。
これを守っている限り、僕がこの世に存在しうるゲームで敗北することはない。
今度は、どこかで開催されているかもしれないデスゲーム会場にでも乗り込んでいってやろうか、とかそんなことを考えていた矢先だった。
『ミッション:このゲームに参加せよ』
それが音なのか光なのかそれすらも分からない、ゲームのガイド文を思わせるかのような無機質な文字が頭の中に響いた。
『対戦相手:あなたを含めて八名
ゲーム内容:限られた条件下での殺し合い』
謎の無機質な文章が箇条書きに連なっていく。何らかのゲームを模倣したかのような文章だ。
『このゲームの待機部屋へと移動しますか?YES/NO』
その選択肢には、僕は勿論YESと答えるしかない。
この世に存在しうるゲームで、僕は敗北しないのだから。
だがこれは初めての感覚だ。
これは、この世に存在しない異次元のゲームだと僕は直感で判断した。
異次元のゲームなら流石に僕は敗北するか?
その問いにもNOと、僕は一フレームの猶予もなく答えられるだろう。
そのくらい僕は、他人に対する絶対的な自信を持っていた。
『このゲームへの参加表明を確認。待機部屋へと転送します』
その文章が頭に響く頃には、僕はnullの部屋へと移動していた。
待機部屋、トレーニングルーム、ローディングスポット、他になんとでも言えるだろうが、この部屋を僕は直感でnull(何もない)の部屋と名付けた。
僕以外何も存在しない部屋だ。
僕が連れてこられるまでは、本当にここは原子も何もない部屋だったのだろう。
僕がこの部屋に連れてこられたということは、さっきのは参加確認だったと見てよさそうだ。
この部屋のように些細なことでも、僕はルールとして警戒しておくべきだ。
ルールというのは読み込むことで抜け道が見つかる。
『ルール詳細:頭の中へと転送』
今度はルールブックか。
僕はこの突然頭に送られたルールブックを読み込んでいかなければならない。
着々と読み進めていくがこれは面白い。
詳しく書かれているように見えて、いくつもの穴がある。
このルールの時点で、僕の勝ちは決まったものだ。
さてと、残りの参加者を待つとするか。
『参加待ち:残り二名』
それならゲームが始まるのも時間の問題だろう。
『参加者が全員決定しました。ゲーム会場へと送ります』
そらきた、こんなに早く決まった。
『05、04、03、02、01』
僕の得意とする、ゲームという名を関するもの、
僕は真っ先に
ルールに書いてあった通り、ここは仮想の現代日本なのだろう。
場所の確認も重要だったが、まず僕はデスゲームを生き抜く為の下準備、身体を不老不死ギリギリの状態へと変化させる。
ゲームでいう無敵モードだ。
『不老不死になることはできない』
『自身の人間という形を著しく変更することもできない』
こういうルールだ。
僕はありとあらゆる環境適応能力を著しく底上げし、不老不死に著しく近づいた状態にはなったが、不老不死にはなっていない。
そして、適応能力を変化させただけなのだから、人間という形を著しく変更させたわけでもない。
この
無論この能力使用は成功した。
当たり前だ、僕はルールに
適応能力を上げたら次はどうするか。
そう、瞬間移動で自分の
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