スワンプマンズ⑤

朝が来た。

俺様が動き始める時間だ。

俺様は新しい俺様をどんどん作り、自我を移動させながら移動していく。


移動先に人間や建物があるならそれを破壊、破壊できるものが無くなればまた新しい俺様を作る。

そんなことの繰り返しだ。


自我の移動により残された俺様も、同じことを考えるから俺様はどんどん増殖していく。

さて看守さん、お前はどれだけの人形を作った?

とりあえず俺様はまた移動するか。


適当な市民街に俺様を作り移動、俺様の破壊の舞台だ。

おーおー結構住民がいるじゃねーか。

壊しがいがあるってもんだ。


しっかしこいつら、おもしれぇことしてくんじゃねぇか。

俺様に気付くなり、近づいてきて襲ってきやがる。


こいつらのこの動き、こりゃナイフを隠し持っているな。

だが、動き方がずぶの素人。

せっかくだから俺様もナイフで戦ってやるよ。


俺様はナイフを想像し創造、こいつらに斬りかかっていく。

よえーよえー、こっから増えてくってこともなくもう全滅しちまった。

じゃ、制圧のあかしにバズーカ砲でも作って街全体を破壊しておくぜ。


こりゃ本体を見つけられるのも時間の問題かもな。

さてと、次はどこへ行くかな。

俺様が移動する時は、必ず新しい俺様を作って移動する。

そのほうが俺様が増えるのが早いからな。


さて、今度は趣向を変えて中学校にでも行ってみるか。

中学校に向かうことを決めた俺様は、道中の街に寄って、襲ってくる人形共を返り討ちにしつつ、俺様を増やしながら適当な中学校に向かった。


中学校に侵入成功、ここでは機関銃で暴れてみるか。

ちっ、ここでもか。

どいつもこいつも俺様を見つけた瞬間、俺様目がけて襲ってきやがる。

何人いようが同じだ、俺様は全て返り討ちにしてやる。


『参加者が近づきました。校内の参加者は警戒してください』


こんな無駄にったもんもあるのか。

この世界はご苦労なこった。

襲って来る奴らを壊しつつ、俺様は各教室へと向かう。


この教室にはまだ生徒が一人残ってるじゃねぇか。

そしてこいつも俺様に向かってくる感じだ。

へえ、奴の作った人形にしちゃあ良い目をしてるじゃねぇか。


「その目、もしかしてお前まだ俺様に勝てるとでも思ってるのか?それはやめておいたほうがいいぜ」


俺様は、手に持った機関銃を一人残った奴に向けて乱射する。

なに?全部避けただと?おもしれぇ。

こいつ、そのまま避けた勢いのままこんな奴に懐に潜りこんできやがった。


ついにこの俺様もやられるときがきたか、とりあえず多少の自衛はしておくか。

ん?こりゃアッパーか?


「へぇ、やるじゃねーか。また新しい戦い方ってか」


奴にもこんな舐めプする度胸がまだあるなんてな。

おかげで顎を鉄に変えるだけで簡単に止められたぜ。


面白いもんを見せてくれたお礼に俺様も見せてやるよ。

一度てめぇにやられた戦法をよ。


俺様は、腕を機関銃に変え、乱射しながら牽制する。

そのままこいつがひるみ、後ろに逃げた先に、前にてめぇにやられた設置爆弾を起動。

戦闘中に死角に爆弾を設置っていう、おもしれぇ戦法だったからな。

これでこいつも消滅だ。


『参加者が一人死亡しました。残り参加者は五人です』


このアナウンスが聞こえたということは、俺様が気付かない内に参加者を壊したか、どっかの俺様が参加者を壊したってことか。


じゃ、とりあえずまた新しい俺様を作って、別の場所にでも行ってみるか。

俺様が移動すると、またもや民衆共が襲って来やがった。


ちっ、こいつらは消えてねぇ。

ということは、やられたのはこいつらの本体とは別の参加者だ。

俺様ももっと増えて、もっと壊してこいつらの本体を引っ張り出さねぇとな。


そして、俺様は更に数を増やし、俺様同士が鉢合わせすることも多くなってきた。

街は大部分が崩壊、もうどこに行っても俺様がいる、そんな時だった。


『参加者が一人死亡しました。残り参加者は四人です』


まだ生き残っていた人形共が一気に消滅していく。

そうか、ついにこいつらの本体がくたばったか。

今度は俺様が数の利を使う番だ。

このまま隠れている参加者共々全部壊してやるぜ。


気に食わねぇもんは俺様が全部ぶっ壊す。

街も人も参加者も、俺様が全てぶっ壊すのは時間の問題だ。

さて、次はどの参加者が脱落するか。


俺様は更に俺様を増やしていく。

この世界を俺様で覆い尽くように、全ての街を破壊しつくすように。

そして、この世界中を俺様が支配していった。


……なぜだ。

なぜここまで破壊の限りを尽くし、全てを俺様で埋めても残りの参加者が見つからない。


残り一人とかならまだ分かる。

俺様達がまだ探しきれてない場所があるはずだからだ。


だが、参加者はまだ残っていやがる。

この状況は異常だ。

参加者は一体どこにいるっていうんだ。

ん?いや、こんなところにいんじゃねーか、って奴は。

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