第14話 ロボットオタクは、イリュージョンをさがして

「そういえばフェーは、一回見つかったことがあるって、言ってたよね?」


「うん、そうよ」


「その時は、どうやって帰ったの?」


 オレが聞くと、フェーは苦笑する。


「見つかって、何人もの巨人に散々頭を撫でられてね。でもその後は、すんなり帰してくれたのよ」


「じゃあ今回に限って、何でそんなに必死で、捕まえたがるんだろう?」


 オレが首を傾げると、フェーは少しためらいがちにオレを指差してくる。


「君」


「オレ?」


「巨人達は保護条約をしいて、あたし達妖精を捕らえることは、禁止しているらしいの。元々、妖精は数が少なくて、繁殖力はんしょくりょくが弱い絶滅危惧種ぜつめつきぐしゅだから。でも今回は、君が一緒だったから」


「ああ。『珍しい』とかどうとかって、言ってたな」


「巨人達にとっては、そもそも妖精が巨人の国に来ること自体が珍しいのに、男の子なんて滅多に見ることないから」


「だから、高値で売れるって、商売っ出したヤツがいたのか」


 違法商売をするヤツは、どこの世界でもいるもんだな。

 そういうヤツらと取引をして、珍品を手元に置きたがる収集家がいる。

 マニアも色々いるからなぁ。  


 とにかく、この状況を何とかしなければ、妖精の国には帰れない。

 個人的には、家に帰りたい。

 思い出したら、急に家が恋しくなった。

 米の飯が食べたい。


 そういえば、ここに来てからというもの、食べ物はおろか水の一滴すら口にしていなかったことに気が付く。


 自覚したら「ぐうぅ」と、盛大に腹が鳴った。

 それを聞いたフェーが、声を立てて笑う。


「お腹空いた? あたしもよ」


「ここって、食べ物あるかな?」


「あまり期待しない方がいいわよ」


「どうして?」


「巨人は食べないから」


「ああ。そういえば、ロボットだったっけ」


 がっかりしながら呟くと、フェーが首を傾げる。


「ねぇ、さっきからその『ロボット』って、何なの?」


「フェー達がいうところの、巨人のことだよ。オレの住んでいるあたりでは、ロボットっていうんだ」


「ああ。そういうことね」


 フェーが納得した表情を浮かべた。

 そこで、ふと思う。


「ロボットは、何を動力にしているんだろう?」


「さぁ? 聞いたことないから、分からないわ」


「だよね」


 確か「機動戦士○ンダム」シリーズは、一部の作品を除いて、核エンジンを積んでいた。

 考えてみたら、スゴい設定だよな。

 ロボットの中に、高速増殖炉こうそくぞうしょくろがあるってことだろ?

 敵の攻撃を受けて放射能漏れしたら、一大事じゃないか。

 でも、「ミノフ○キー粒子」とかいう謎の技術で、なんでもアリな世界になっていたな。


 なお、「ヱ○ァンゲリヲン」は、充電式。

「マ○ンガー」シリーズは、一部作品を除いて光子力こうしりょく

 普通に、ガソリンや固形燃料というものもある。

 各作品で、オリジナルのエネルギが登場することも珍しくない。


 一時期話題になった「探査機はやぶさ」は、イオンエンジンで航行したそうだ。

 宇宙空間ならまだしも、地球上では出力が弱すぎて、一円玉一枚浮かせるのが精一杯らしい。

 万が一のことを考えて、イオンエンジンの他にも、化学エンジンや太陽電池パネルなどを、搭載していた。

 当時(二〇〇三年頃)の科学者は、変態的にスゴかったという話だ。

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