第18-2話 クラス替えの結果

 学校に到着した俺たちは、校舎に張り出されたクラス替えの結果が記載されている紙の前までやってきた。


 俺の人生を左右すると言っても過言ではない程大事なこのクラス替え。


 受験の結果を見にきた時よりも結果を確認するのが怖い。


「蔦原、もう見たか?」

「いや、まだ見てない」


 今正面を向けばもう結果が分かるのにまだ結果を見ていないということは、蔦原もクラス替えの結果を見るのが怖いのだろう。


「いいぞ。先に見てくれても」

「いやいや、紅の方こそ先に見ちゃってよ」

「いやいやいや、そりゃレディーファーストだろ」

「男女平等の時代にレディーファーストなんて関係ないって。ほら、紅が先に見てよ」


 お互いクラス替えの結果を見るのが怖いので、自分よりも先に結果を確認させようとするが、どちらも結果を見たくないので先に進むことができない。


 俺と蔦原がクラス替えの結果が記載された紙の目の前で結果を見ようかどうしようか悩んでいる間にも、周囲からは喜びの声や落胆の声が聞こえてくる。


 自分たちはできれば喜びの声をあげている奴らの仲間入りをしたいが、そう思い通りに行くはずもないよな……。


「……よし、分かった。こうなったらせーので見よう」

「……そうだね。それが1番いいと思う--ってちょっと⁉︎ なんで手握ってるの⁉︎」


 俺は自然と蔦原の手を握っていた。 

 そうした方が、クラス替えの結果がいいものになる気がしたからだ。


 普通女の子の手を握るなんてそう容易にできることではない。

 しかし俺と蔦原の関係性であれば、これくらいは許してもらえるだろう。


「いや、こうした方が蔦原と同じクラスになれる気がして」

「……ふふっ。何その理由。私と同じクラスになりたいと思いすぎでしょ」


 ああそうだよ、と素直に返事をすることはできないが、地味で根暗で女子との会話に慣れていない俺はどうしても蔦原の横にいたかった。


「蔦原は俺と同じクラスになりたいって思ってないのか?」

「いや思ってる」

「じゃあ一緒じゃねぇか」

「ふふっ。そうだね」


 いつまでも結果が記載された紙の前で、何もせず立ち尽くしていたしても結果は変わらない。


「じゃあ行くぞ」

「ばっちこい」


 俺たちは意を決して神の方へと目線を上げた。


「「--‼︎」」


 クラス替えの結果を見た俺たちは、声にもならない声を出しながら、勢いで思いっきり抱きついてしまった。


 その反応を見てもらえれば、俺たちのクラス替えの結果がどうだったのかは察してもらえるだろう。

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