第8話「恋人の姉とであう」

side穂村



今日も今日とて私は最愛の恋人をいつものところで待っている。でも、しかし…すごく、気まずい。確かに、いつかはするだろうし、いや、したいかったけどもさ、昨日とは思わないじゃん。帰るのに駄々こねたのは私で、確かに目をつむったさ。でも、真意は両手を開いた方であって、口にするのは…時とタイミングってもんがあって…いや、昨日のあれはナイスタイミングすぎたかな。…ってことは、私の牡丹が散らされるのも時間の問題?


「きゃっ!!」


私は、両手で顔を覆いクネクネと踊る。


「おい、つーちゃんは相変わらずだな」


この声は、日蔭に似ている。でも、どこか男勝りなかっこよさのある安定した声。あ、あぁ…あの人か。


「なんですか、シスコン先輩」


私は、凛とした静かな声で言う。そう、いつも会社の会議とかで使うお仕事モードの私だ。


「いいや、最愛の妹が熱を出したもんだからさ…まぁ、私としては別にいいんだけどさ、可愛い可愛い妹がさ、熱出たから今日は学校に行けないことを言ってくれって言ってきてさ」


この人は、私を嘲笑うかのような顔して言ってきた。

なんだ、この挑発的な態度。ほんと、この人は嫌になる。昔からそうだ。この日蔭灯香と言う女は……話は遡るが、幼稚園の時から私は穂村にアプローチし続けていた。だが、この女……ことあるごとに私の邪魔をしてきた。いつもいつも。…………だから、あんなことが…いや、この話はよしておこう。こんな事思っていては本当に日蔭に嫌われてしまう。よそう。


「そうですか、ありがとうございますシスコン先輩、では私はお見舞いに行かなければならないので失礼しますね」


「おい、ちょっと待て」


私が回れ右したとたん、私は肩を引っ張られた。もちろん引っ張った主は灯香である。


「なんですか、私の日蔭が熱で寝込んでいるんです、早くいかせてください」


「わ、私の!?はぁ?ふざけてんのか?あぁん?それに、行かせるわけねぇーだろ、わが校の生徒が堂々と学校をさぼろうとしているのに、私はこーみえても生徒会長なもんでよ」


「…そうですね、日蔭の事を傷つけた生徒会さんが言うなら従いますよ、これ以上彼女に何されるかわからないので…それに、今は寝ている方がよいので放課後にでもうかがうとします、では失礼します」


そういって、私は学校方面に歩き出す。灯香が追ってくる気配はない。確かに、本当の事を言っただけだ。日蔭を傷つけた生徒会副会長………いや、私がこの件を考えてはだめだ、……最近、日蔭は例の件を考えて暗くなることがすくなくなってきたのに……せっかく日蔭の中から消え始めているに…私がこんなことを考えていればまた再発しかねない………あーーーダメだ!!!思考がネガティブな方に行ってしまう……日蔭……日蔭成分が…日蔭成分が足りない!!!!!!!


と、また肩を掴まれた。


「……なんですか?シスコン先輩」


「いや、…なんだ…」


灯香はすごく暗い表情をしてる。同情させられるような表情だ。

はぁ…この人は…


「…すいませんでした。さっきは少し言い過ぎたかもしれません」


「いや、かまわない…間違っていないからな……」


「…先輩、日蔭の前でもそんな陰オーラ出してるんですか?」


「……」


無言の肯定か…なるほど、この人のせいか、私一色に染まらない理由。この表情を日陰の前でもしてしまうから、いまだにアイツは日蔭を縛るのか、ほんと、この人は凄い爆弾を…自爆もするし………それに、この人が立ち直らないと、日蔭が真の意味で私のものになってはくれない…………まぁ、でも、この人小さい時から、私が日蔭にアプローチすの嫌がってたからなぁ…例の件があったにしても、もし、なかったとしても……この人の問題を解決しなきゃ、前にはすすめない…か…………はぁ…ためいきでそう…まぁ、もう出てるんだけどね……あぁ…日蔭成分足りない……


「…もう…シスコン先輩、今日昼休み私たちのクラスに来て下さい、今の日蔭が暮らしている環境を見てください、そして、シスコン先輩が改善しない限り日蔭も解放されないという真実に倒されてください」


「あぁ…わかってる……今朝の日蔭見た時点で…………初めからそのつもりだ」


あれ?少し元気になった?


「私の最愛の妹ちゃんから言われたからな、君とあったら君の事を信じれるようになっるって……それに、……いや、なんでもんない」


ははん~何か、都合が悪いこと言われたのかな~、私のことを認めれるようになるとかそこらのことを手……にしても……日蔭ったら~!そんなに私のこと信じてくれて嬉し!!何してあげようかなぁ………あ、…私からのそのき、ききき、き、キスとか?キァー!!日蔭ったら~もう!!!


私はまたクネクネと踊る。


「……妄想に浸っているところ申し訳ないが、私は、君のことが小さい時から、嫌いだ。あの件の後だというのに……心から愛せる相手を見つけれた、ことは姉としてはすごく嬉しい、妹ちゃんは立ち直ろうともがけていることが……まぁ、私はいまだ、ズタズタなんだが………………それに、その相手が、つーちゃんと言う妹ちゃんが、信用できる相手ならなおさら……だが、主観から言おう。私は、君が気に食わん。君が相手と言うならば、私が妹ちゃんと結婚して、養う。」


「何言ってるんですか?頭わいてるんですか?」


「わいてなどはいないよ」


…やばい、ここまで重度なシスコンだと思わなかった。……てか、え、私の最強のライバルってこれになるの………やばい、日蔭成分足りないせいで、頭まわらないし、いつもの私じゃなくなってきてるような気がする。…そんなこともないかな?あれ?


「だから、今日、ことあるごとに君に会いに行く、そして、結果は変わらないだろうが、君の事を見極めさせていただくことにするよ」


「はぁ?嫌なんですけど」


灯香は不敵な笑みをこぼした。


「私は、妹ちゃんに頼まれて、本来する気もなかった見極めをすることにしたんだ、だって、妹ちゃんは言ってたんだよ、私は穂村のこと信じてるって」


トゥンク


少し頬を桃色に染める。私はここにいない恋人との言葉にときめいてしまう。それがたとて、嫌な人……シスコン先輩から発せられていたとしても……愛には壁はないんだ。


「………ゴホン……いいでしょう、その喧嘩買ってやりますよシスコン先輩」


「まぁ、喧嘩にもなってないけどね、泥棒ね…こ?でもないか、これからただの妹ちゃんの幼馴染に戻る子」


はぁ?なんなのこいつ。


「そーですかー、頭のわいたお姉さん」


両者の間に鋭い稲妻がはしった。











あとがき

皆さん、いかがだったでしょうか。今回は穂村視点で書いてみました~。心の声の口調が日蔭みたいになってしまうのが大変でした……( ̄▽ ̄;)。

これからも、どんどん日蔭と穂村の物語を盛り上げていきたいと思っています!応援よろしくお願いします!!感想等いただけたら、すごく嬉しいです!!!

では、また!!!




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