第4話「日々、デートに誘われることもある」
「え、嫌。」
今日も、今日とて、私は恋人に絡まれている。そして、今、ちょうど、デートの誘いを断ったとこである。案の定と言うべきか、今、穂村は石像のように固まってる。フリーズしてる穂村も可愛いな…………なんって。
「いや、ちょっと待ってよ~!え、なんで、デート嫌なんのさー!!」
「え、恥ずい」
「はーずーいー!!??え、ちょっと待って、あんなに、愛を語って、土手で一緒に夕日も眺めて、ハグもしあって、あんなに大人なキスまでもしたと言うのに!!!!」
「おい、こら、まて、キスはまだしてないぞ」
「ほんとだ、まだしてなかったね」
「…………」
「…………」
え、なにこれ、気まず。デート断っただけでここまで気まずくなるの?てか、これ、私が悪い?え、悪いの?……え、?
「……で、なんで嫌なのさ…」
穂村と目が合わない。気まずいながらも、話を進めるために切り出したのだろ。頑張ってくれてありがとう……。
私も気まずさで重くたっている口を頑張って開く
「…いや、だから恥ずかしいんだって…」
「だから、なんでさぁ!!!」
今度は、頬を膨らませながら涙ぐんで私に抱きついてきた。
「ちょっ!!え!?あ、………」
抱きつかれたことにテンパり私の思考はから回る。
いや、いつものことだよ?仕方ないじゃん。私の恋人の動作一つ一つが可愛くて仕方ねぇーんだもん。そらゃ、抱きつかれたらそーなるのが世の理って、言うものじゃねぇーか。
「おーい~日蔭さんや~戻っておいで~」
意識のとんだ私に呼びかけるキョトンとした顔を浮かべながら手でおいでおいでとしてる穂村。めんこいの~。……って、私はじじいかよ。
「ごめん、ただいま」
「はい、おかえり……って、違う!!日蔭~説明してよ!!!どうして、私とのデートが恥ずかしいの?」
いや、だって、
「制服姿の穂村しかまだ見たことないけど…私服姿とか…しかも、穂村とのデート初めてだし…恥ずかしいし…何より、私が死ぬんだよ、ただでさえ可愛いのに、それが休日にも見れるとか……」
なんて、言えねーもんな……………、おい、気のせいか?私の心の声と、口から出る声が逆だったがするんだか……。え、まじですか。
「か、可愛い…日蔭が…私の事を可愛いって……しかも、私の可愛さで、日蔭が死ぬ?……なにそれ……夢みたい…グへへへ」
……まじか~逆だったか~、やばい、死ぬほどはずい……って、あれ?、今の穂村の方がやばいことになってねーか?……おーい、穂村さんや~目、やばいぞ~、あと、よだれも、てか、私いつか穂村にころされんじゃね?冗談抜きで……でも、私、穂村にならころされても……………っておい!!まて!!まて、まて、まて!!!私!!!さすがにやばいだろ!!両方ヤンデレカップルはさすがにやばい。危険すぎる!!!!!
「……ま、まぁ…その、そーいうことだから、まだ私には……」
ふと、私は穂村の顔を見た。そこには、ほんの数秒前とは打って変って変態のお面を脱ぎ捨てた穂村が居た。
「日蔭はさ、まだ、性別の事とか気にしてるの?」
「そんなことない!!!!」
ふと、我に返った。頭より先に口が動いていた。
「もー、そんなこと一切気にしてない………私は、もう、死にそうなくらいに穂村に好意を抱いてる、好きなんだ、大好きなんだ……愛しているんだ!!狂おしいほどに」
ふわりと、また穂村の温もりが私を包んだ。
「もーー、日蔭、私の事、好きすぎ~」
…………。私、いま、何を口走った?この時、私の脳は追いついてしまった。
「………ねぇ…日蔭、ごめんね?私ってきり、ずっと悩んでるんじゃないかっておもってた……でも、そんなことより、本気で私の事で命うんたら言ってる私の恋人が今、愛おしくてしかたがない」
無意識だろうか、普段は、あまりしないのだが…私は穂村の腰に手をまわして強く抱きしめ返した。
「…私は、忘れてたよ……そんなこと…そーいや、そんなことでうだうだしてたなぁ…と思い出したよ………でも、結局、…まぁ、悩んでた時間は全然長くなかったけど、でも、私は、穂村の事が好きすぎて同性とか、もうとっくに忘れてた…だから、その……死ぬかもしれんが…デート、行かないか?」
「………嫌」
え、なんでだよ…え、え、え、…私ふられた?あ、やばい泣きそう…そもそも、向こうから誘ってきたのに…あ、やばい涙が…
「無理……、今の日蔭とデート行ったら、私が死ぬ…から、嫌…」
なに、こいつ。可愛すぎねーか?よく見ると、今までに見たことないくらいに顔が真っ赤になってる。
私が、物珍しさに顔を覗き込ませると、抱きしめていた腕をほどき両手で私の顔をのけようしてくる。
「………日蔭が攻めるのは無し…ダメ、なの…もう、見ないで…死んじゃうから……」
あ、なんか、スイッチ入ってしまうかもしれない。
この、普段とは違う穂村を見ていしまったせいなのかはわからいが、気がつけば私は穂村の両手を壁に押し当てて、ほぼ壁ドン状態で穂村の顔を見つめていた。
そして、私は暴走した。
「……穂村は私とデートするのは嫌なのか?」
謎に、いつもより声を低くして穂村に問う。これが、俗に言う王子キャラになりかけているのではないだろうか。
「…いや!、いや…じゃあ…ない!……です…」
これが、俗に言う敬語萌えと言うやつなのかもしれない。
と、私は、この変なスイッチがオンの状態でデートの約束をしてしまったのであった。
まぁ、家に帰ってから一息つくと、布団の上で水泳を始めるのは言わずもがなだ。
そして、次回綴ろうではないか、穂村と恋人になって初めてのデートを、そして、これまでにない最強の黒歴史を………。
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