第13話 父上との面談1

コンコンコンコンとドアがノックされる。

「はい、どうぞ」

「失礼します」

そういって、カルアが入室してきた。

帰って来たということは・・・。

「旦那様がお時間取れるそうです」

「じゃあ、行こうか。リナ」

「はい、行きましょう。お兄様」

そういうと、リサは僕の左手を繋いできた。

そして、歩き出す。

「お兄様、それでどうしましょうか」

「う~ん、新しい本の購入か領地の図書館に行けるようにしてもらおうかな」

「図書館!その手がありましたね」

「ただ、領地のだと小さいかもしれないから。

王都という手もあるけど。

それか、実践訓練をするのもありかな」

「さすがに、魔物と戦うのは無理だと思います。

訓練的なことなら可能でしょうか」

僕らは、執務室の前までやって来た。

ちょっと緊張してきたな。

コンコンコンコンとドアをノックする。

「シンクロームとリナリア。罷り越しました」

「入れ」と小さな声が聞こえた。

僕らは入室する。

そして、頭を下げる。

「二人からの面談は珍しいね。

むしろ、3歳児から先触れがくるとは思わなかった。

おっと、楽にしていいよ・・・普通にしておくれ」

まあ、三歳児ができる礼儀作法ではないだろうな。

そして、父上に視線を向ける。

すると、母上もちょうど入室していた。

「ほんとこの子たちは、頭が良すぎるわ。

やっぱり、技能面の教育を早めてもいいのではないかしら」

「シア、わかったからちょっと待ってほしい。

まずは、二人の話を聞きたい」

「は~い」

母上が、膨れ面で返事を返す。

どうやら、彼女は僕らの前に面談に来ていたらしい。

「シンクローム」

「はい、父上。では、2,3お願いがあってきました。

半分は、母上のいまの話に近しいとは思います」

僕が、そう告げると「まあまあ」と母上が声を上げていた。

レナは、僕と手を繋いだままである。

「まず一つ目ですが、先日リナ共々書庫の全ての本を読み終わってしまいまして、出来ましたら新たな本の購入、または街の図書館へ行くことはできないかと思いまして」

「え、書庫の本全部読み終わった」

父上も、母上もとても驚いていた。

まあ、それはそうだろう。2年間で読める量じゃない。

普通ならね。

僕らが、速読が得意で読書家でなければ無理な話だ。

2000冊近くあるのだから。

「はい、全て読みましたので当家にある魔導書も読み終えているので魔法の行使も可能です」

「え、待ってくれ。魔法が使える?」

「分かり易そうなものは・・・鑑定魔法とかならいいでしょうか。

リナちょっとごめんね」

「知識の環の鑑定ですね、どうぞ」

僕は、両親の近くへ向かいレナの耳にある「知識の環」の鑑定結果をオープンで見れるように鑑定魔法を使用する。

「この耳飾りは、アーティファクトです」

あえて、隠された分も表示させる。ただし、「転生者」の部分は隠ぺい魔法を使い、「装着者」はと変えて。

『知識の環:知識を高める効果がある。

装着者ただし、転生者には言語理解・スキル習得上昇の効果あり)』

「まさか、こんな隠し文章があったとは。三歳児にしては聡いとは思っていたがこの耳飾りの効果が相まっていたとは」

「まあまあ、すごいわ。

言語理解とスキル習得上昇ということは古代文字の解読や技能の習得にも役に立つということね」

両親もまた聡いと思うのは、僕・・・僕らだけだろうか。

たぶん、もうこの知識の環は僕らの耳からは外すことができなくなっている。

ひと時も外すことなく、赤ん坊の事からつけ続けているのだから。

「リク様、やはり先ほどの件熟考のほどを」

「あ、その前に2つ目良いでしょうか」

「ああ、そうだったね。聞こうか」

「はい、2つ目は僕は剣術、体術などの技能面を」

「私は、弓術や支援関連の技能の取得を」

「あとは、魔法の実践的な訓練を共にお願いしたいのです」

「あらあら、私の案よりも具体的だったわ」

「ふむ、なるほど。理解した。本人たちの希望なら考慮しよう」

よし、2つ目はすんなり通りそうだ。

先に、母上が話をしてくれて助かった。

さて、最後の1つは僕にとっては挑戦だ。

「シンクローム。2,3といっていたね。あと1つあるのかな?」

「はい、3つ目は・・・母上がこの場にいて助かりました」

母上が、首を傾げる。

「これに関しては、父上、母上両方に話をしたかったことだったので」

リナの握る手が力が入る。

いや、僕の力が入ったのかもしれない。

たぶん、リナは僕が言おうとしてることは気づいている。

「リナを僕の婚約者にしてください」

「あら、よかったわ」

「ああ、よかった。このタイミングでその言葉が聞けて」

ん?このタイミング?どういうことだ。

まさか、婚約者選びが始まってたのか。

「リク様、これでリナちゃんの件は問題なしですね」

「こんなに仲のいい二人を引き裂くのは気が引けていたから助かった。

そうすると、リナリア。シンクロームにはこの先、正妻や妾が付く。だいじょうぶかい?」

「はい、覚悟はできてます。が、その選定に私も関わりたいのですが」

それは助かる。

レナと仲がいい子がなってくれたらいい。

「それは助かる。リナリアもシンクロームと同じく魔法はつかえるのだろう?」

「はい、私も書庫にあった魔法でしたら全て使うことができます」

「全てってすごいことですね、リク様」

「ああ、たしか全属性あったと思う。まさか、この日の為に父上は収集していたのかもしれないな」

父上?ということは祖父が収集家だったということか。

たしかに魔導書の量が多かったな。

父上が、母上の顔を見る。

そして、頷いていた。

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