8冊目 『昆虫の交尾は、味わい深い…。』

『昆虫の交尾は、味わい深い…。』

上村 佳孝 著 岩波書店(岩波 科学ライブラリー)


 2023/08/31読了


 タイトルどおり、昆虫の交尾について深く書かれた著書になります。


 なんでこの本読んだんだって? わかる人にはわかると思いますが、拙作を書くためです!


 読んでみると、とても面白く、興味をそそられました。まず、扉絵には「昆虫の交尾器クイズ」がいきなり出てきます。交尾器の写真が六つあり、この交尾器はどの昆虫でしょうか? と問うてきます。


「そんなのわかるかい!?」


 と、ツッコみたくなりますが、ご安心ください。本書を読んでいくと、答えが出てきます。読み進める楽しさが、仕組まれていますね。


 そして最後のページには、これまた興味をそそる袋とじが……! いったいどんな内容なのかは、ネタバレになるので伏せておきます。


 本書の内容は、一般的な昆虫の交尾についてから、筆者がおこなってきた昆虫の交尾に関する研究について、そして、まだまだ謎多き交尾についての展望へと進んでいきます。読みやすくわかりやすい文章で、大人から子どもまで楽しめる内容です。


 昆虫の多様な交尾方法を知ると、タイトルどおり、味わい深い世界を覗き見ることができました。また、前作でも思いましたが、昆虫研究者の地道な研究には、毎回驚かされましたね。


 小さな昆虫を解剖して、そのまた小さな交尾器を観察するなんて、考えただけで細かい作業です。昆虫の研究には憧れましたが、手先が器用じゃないと難しそうですね……。


 また、著者は、トリカヘチャタテという虫を研究していたひとりでもあります。メスがオスのような交尾器を持つという、雌雄逆転した昆虫です。この研究は、イグノーベル賞を受賞しています。


 トリカヘチャタテの今後の研究も注目したいですし、昆虫をはじめ、まだ知られていない生き物に未知の発見があるかもしれないことから、生物多様性を守っていきたいとも感じました。


 今回も興味深い読書体験でした。




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