第3話 ユーは何しに(3月20日)
近頃、取材も兼ねてあちらこちらに列車に出かけるのだが、今日はやけに若い子たちの姿が目についた。
ともに大牟田で降りたので、恐らく三井グリーンランドに向かったのだろう。
何だか落ち着かない気持ちを抱えて西鉄に揺られたのだが、よくよく考えると私服のおじさんが乗っている方が異質だったのかもしれない。
悪いことをしたのかもなという思いは、そのまま天神に届いたのだろうか。
それにしても面白かったのは、それなりに高い乗車率であったにもかかわらず、座っていた子たちが足を投げ出していたことである。
列車旅で慣れている身としては他者の転倒よりも自分の足が踏まれかねない思いからとてもできない。
列車に乗る上でのマナーというよりも自己防衛という観点から指摘したかったのであるが、流石に楽しい気を削ぐのも悪いと思い、頑張って足を踏ん張りよろけて踏まぬよう耐え抜いた。
一方で、マスクの着用率がいまだに高いのには驚かされる。
善悪の判断をするつもりはないが、マスクを外す子供がほとんど目につかなかったというのは何故なのかと興味がわいた。
これまた聞いてみたいところであったが、もしかしたら「知っている」ことならばしっかりと続けようとする習慣があるのかもしれないと留飲を下げている。
思えば、優先席の前で座る座らないで騒いでいた少年たちも、ある意味では「善良」かつ「未知」であるために困惑したのかもしれない。
私などは後で譲ればよいと思い構えてしまうか、立って景色でも眺めようと洒落こむかの二択であるのだが、そのような選択はなかったようだ。
なるほど、乗り慣れというのも大事な能力なのだなと思いつつ、慣れぬ騒がしさに苦笑してしまった。
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