一時の勝利
「ふぅ」
勝ったという達成感を胸に僕はキッチンへ向かう。なんやかんやで僕が前世を認識してから痩せられてはいないものの、おっぱいがさらに大きくなるという事態の悪化はひとまず回避できたとみていいだろう。
「けど、危なかったなぁ」
まさか痴女先輩が豊胸アイテムを修学旅行のお土産に持ってくるなんて。
原作と現実を混同して足元をすくわれる、前世でそんな二次創作作品をいくつも見てきた僕だけれど、こうして体験すると原作補正と言うのも甘く見てはいけないものなんだなと実感する。今回はうまいこと痴女先輩が僕の口車に乗せられてくれたおかげで最悪のケースこそ回避できはしたが、こんなことがそう何度も続くとは思えない。
「一時の勝利に慢心するなかれ、かな」
こうやってうまくいったと思っている時が一番危ういのだ。安心してひとは大切なことを見過ごす、考えておかなければいけないことを失念して、後で後悔するのだ。
「忘れていること……そっか、豊胸の実の情報の扱いとか今の内に決めておかないと」
原作でも一つの騒動を巻き起こしたアイテムだ。胸の大きさを気にする人物が原作同様にこの世界にも存在する以上、豊胸の実の存在を聞きつけ痴女先輩や僕に質問が飛んでくることは十分考えられることだ。
「……とは言ってもなぁ」
該当人物もまだ中学生。高校の探索者科に進学してダンジョンの入場が認められるまでは情報を得たところでどうしようもないはず。痴女先輩の様にダンジョン街のリサイクルショップを回れば手に入る可能性はゼロではないだろうけれども、確率は相当低い。だからこそ僕もピンポイントにアレを持ってきた痴女先輩に驚いたのだ。
「下手に作り話をでっちあげてボロを出すよりはいいか」
聞かれたなら素直に話していいと部屋に戻ったら痴女先輩にも伝えよう。そう決断しつつ僕はナイフやらウェットティッシュやらを確保すると来た道を引き返した。
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