学校には行かなきゃいけない時もある


「申し訳ありませんでした」


 両親については、それで済んだ。最初に見舞いに来た時のことになる。


「謝るな。将来の妻を助けるためにしたことだろう?」


 とむしろ今世の父は僕が頭を下げたことを注意したほどだ。欲しいものは与え、こういうときにも叱らない、原作の僕が親の金とコネで手に入れた強力な魔法の剣のスペックだよりの魔剣に驕った鼻もちならないやつになる訳である。

 今回は正直そんな親で助かったと思うが。


「退院もしたし、後は学校の方だけど……」


 気になるのは学校の生徒全般、そしてクラスメイトの反応に所属してる魔法研究会の方での反応。


「流石に顔を出さないわけにはいかないしなぁ」


 魔法研究会の活動自体への参加は痴女先輩と乳繰り合うようになってそれまでよりかなり減っているが、所属している以上謝りに行くべきだろう。父はああ言ったけれども。


「罰則なしとは言え法律違反だし、うん」


 魔法研究会の方が風評被害を受けててもおかしくない状況なのだ。


「退院後通学初日かぁ」


 それを明日に控え、鞄に教科書やらノートやらを詰め込みつつ、呟く。


「はぁ……」


 なんとなくみんなの反応が予想できるようで予想できないようでため息が漏れる。


「いや、どっちだよ?!」


 もし胸中の独り言を聞けるような人物が居たなら、そうツッコまれるかもしれないが、仕方ないのだ。


「法律違反やらかして警察に色々聞かれた同級生が今日、登校して来たら」


 それを他人に置き換えて自分がどうするかを想像すれば、こうなるだろうなぁって予想はつく。


「けど、そこに痴女先輩との関係とかも絡んでくるんだよ」


 前者だけなら予想は付くのだ。だが、後者は当事者になると微妙に周囲の反応が想像しづらい。

 ただの恋人だったら、探ろうとしてる奴を何人か見てる。


「痴女先輩は本性知られてなければ美少女で文武両道の生徒会長だからなぁ」


 距離が近い人物が居れば、妬む男子生徒はそれなりに居るんじゃないだろうか。


「あれを助けたなんて思いたくもない。結局先輩の命を繋いだのは、回復アイテムだったわけだし。だけど」


 世間がどう見るかは別の話だ。


「法を破ってまであの生徒会長を救おうとして両腕ぶっ壊してこの間まで入院していた男で警察からあれこれ聞かれてたヤツ」


 と過積載じみてアレコレ情報がついた場合、そいつにどんな反応してくるのか予想しろと言われても、無理と言わざるを得ない。


「はぁ」


 これだけ色々考えて、痴女先輩が学校で会ったらどんな反応を見せるかって言うのがまだ残ってるのだから、何冊目かのノートを入れる手を止めた僕の口からはため息しか出てこなかった。


***********************************************************************

 やらかした次の日って登校したくなかったりするよね?


 所謂それです。規模が違うけども。




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