第6話 二人の暇ごと その2

二人は調べるに当たり、いくつも店が並ぶ商業地区の青果売店に来ていた。種類はそれなりに豊富だが、やはりあの赤いフルーツだけ店に並んでいない。


「貴方の言っていた通りでしたね。やっぱり、無いです」


「店主に聞いてみるしかないかな〜」


早々に結論づけると、使い古された木製の丸椅子で一休みしている店主のもとに駆け寄った。


「なんだ?どうした嬢ちゃんたち」


「あの、赤くて丸い楕円形の形をしたフルーツは知っていますか?」


赤いフルーツは見たところあれ以外無い。店主もすぐに何のことか理解したようだった。


「あーあれか。ウチも商品増加を考えていたとき狙っていたんだが、それを生産できる唯一の農園の土壌が腐ってるとか何とかで無いんだ」


「それで仕入れ値は、他よりも何十倍とかになってる。そんなじゃ商売とか言ってられなくてな」


「腐ってるとは?」


「まぁ実際に見てくればいいさ。その農園はこの街の北東門からずっと真っ直ぐ行ったところにある」


確かに整備されてない土地なら邪魔なくらい植物が生えているのに、そこだけ腐った土地なのはほぼ確実に何かが関与している。


「まずは農園に行ってみましょう。管理人も一応いると言ってましたしね」


「そうだね。もしかしたら、何が原因か分かるかもしれない」


二人は店主に礼を言い、三つほどフルーツを買って商業地区を離れ農園に向かった。


街から離れると人の賑わいはなくなるが、別の意味で植物が賑わいを見せている。


ヒマリは地図を見ながら先導してくれているエルフに問う。


「貴方は何が原因か、現状検討がつきますか?」


彼は最初から市場に出回ってないことを知っていた。それならば原因も何かしらは検討をつけていたのではないかと考えたのだ。


「うーん。正直僕は誰かの人為的なものが原因だとは思わないんだよね。いくら大農園といっても一箇所だと生産数は限られる」


「他にもフルーツの種類は多かったし、潰すにしてもメリットがあんまり無いと思うんだ」


「ということは・・・・・・」


「そう。魔物が無差別に攻撃してるんじゃないかな。ま、行ってみればわかるよ」


彼はまた地図を見ながら言う。


「多分そろそろ見えてくるんじゃないかな」


前方に二メートルの木製の柵が四角く囲われた、やけにしんとしている農園らしきものが見える。

あれがそうなのかと言わんばかりに、二人はお互いに顔を見合わせる。


太陽は黒く霞んだ雲に紛れ、青空は曇り始めていた。

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