これでも私は女子高生

オカメ颯記

これでも私は女子高生

お気に入りの古本屋からの帰り道、せっかくいい気分だったのにひどい話を聞いてしまった。


「ロリババアってなに?」


私は変なうわさを流している二人組に問い詰めた。

彼らはわたしよりもずっと年上、立派な大人のはず。


「いや、それは……」


私ごときにおたつくなんて、大人としてどうなのかしら。思い切り気持ちを込めてにらみつけると、男たちはおずおずと目をそらす。


「まず、言葉の使い方がおかしいわ。私の背の高さはすでに成人女性の平均を超えているわ。それに体型も思春期前の女性とは違うでしょ。ロリには当たりません。

それに、ババア。高齢の女性をさす言葉よね。品のないところは目をつむっても、私には当てはまらないでしょ」


そう、私はどう見ても女子高生。ちゃんと全日制の学校に通って勉強をしている女子高生。若いという意味でロリはともかく、ババアはないと思うの。


私はそのうっぷんを部屋の掃除に来ている弟にぶつけた。


弟は遠い目をして私を見る。


「そりゃぁね。姉さん、見た目は女子高生かもしれないけどね」

彼はゴミ袋を片手にため息をつく。

「行動が、性格が、ねぇ」


「なに? わたしのどこがババアなのよ」


「……ほら、そうやって脅す……」

あの人たちがかわいそうだと、弟は二人組の肩を持つ。

「無理やり部下にして、毎夜、妖精と戦わせて、罵倒するだろ。どうみても、やり手ばば……」


私はクマに命じて、弟を殴らせた。


私だって好きでこんなことをやっているのではないの。

たまたま、そういう血筋に生まれて、適性があって。

夜な夜な徘徊しているのもそういう理由なの。


あの人たちだって、ちゃんといい扱いをしているのよ。

私の属している組織は、表向きは超優良企業。知る人ぞ知る絶対に潰れない準公的な機関なのよ。

給料もそのあたりの大企業よりはずっといいわ。

そりゃぁ、ちょっと危険だけれど、その分手厚い危険手当が……


ちょっと、厳しく指導しているかもしれないけれどあの人たちのためなの。

才能があるものたちが妖精側に取り込まれたら、それこそ大変。彼らの未来のために指導してあげているというのに。


私はもやもやを抱えて、学校に行く支度をする。

学校なら、普通の優等生としてみてもらえる、とおもう。


そんな私が何度も転生している100才越えという噂を聞いて暴れたのは黒歴史だ。

きっと同級生はそんなこと忘れているわよね。

ちゃんと、術をかけてきたし、うん、大丈夫。

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これでも私は女子高生 オカメ颯記 @okamekana001

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