第6話 次は、かの少年の息子世代の声

 本日、こちらの紙芝居の木枠から演じられた「青い鳥」ですが、あの日もまた、今日と同じように、同じ人が、演じてくれていました。

 もちろん、演じてくださった方はすでに、いいお年を召されておいでですし、当時見ていた大人、その時すでに60代や80代の方々でしたが、その方々はさすがにお亡くなりになっておりますが、私より年下の子どもたち、よつ葉園の子もいましたし、近所の子もいましたが、見ているのは、小学生以下の子どもばかり。


 それが今や、こちらの会場には、子どもさんは一人もいませんね。

 もっとも、今でこそいい大人でいらっしゃる方々ばかりですけど、その頃はまだ子どもであった方、さらには、その子どもたちの子どもという者も、おりますね。あ、それは、うちの息子とその友人になる者ですので、ここで敬称をへたにつけますと、おかしいですね(苦笑)。その子らでさえ、大学生とはいえ、もう、20歳を超えて成人しております。


 演じておられる山上敬子先生も、こうして見に来ている私たちも、皆、年齢を重ねています。その点においては、私たちは「変わった」と言えるでしょう。

 しかし、山上先生が演じられたこの物語は、当時と、まったくと言っていいほど変わっていませんでした。


 私たちは、生きていく以上、良くも悪くも、変わっていくものです。

 何かを大きく変えていこうと、努力を重ねている人も、おられます。

 しかしこうして、いつの時代も変わらず、人に問いかけをしていく物語もある。

 そのことを、私はあらためて、感じた次第です。

 紙芝居を通じて、そのことを、山上先生は教えてくださっているのです。


 この物語が年を重ねても長く語り継がれていくことを、私は願っています。


・・・ ・・・ ・・・・・・・


 大宮氏のスピーチが終わった。会場は、拍手に包まれている。


「それでは、折角の機会です。大宮哲郎さんの息子さんの、太郎さんが来られていますので、一つ、こちらでお話ししていただきたいと思います」


 呼ばれた太郎氏は、壇上、というより、木枠の横にやって来た。

「それでは、太郎君、どうか一言、お願いしますね」

 山上元保母が、太郎氏に話を促した。

 太郎氏は、マイクをもって、話し始めた。


 御紹介にあずかりました、大宮哲郎の息子の大宮太郎です。この度は、長年にわたって子どもたちに夢を与えてきた紙芝居の木枠の横から、ようやく成人して間もない若造の私がお話しさせていただくこと、なにとぞ、お許しください。


 実は、私、山上先生の紙芝居を拝見したのは、今回が、2度目です。

 前回は、よつ葉園で拝見しました。

 山上先生が退職される前の、最後の紙芝居でした。

 その時のことも踏まえ、今日の感想を、簡単に述べさせてください。

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