なくしもの
外された道にて白い日記がなくしもの
記されない文字列を
なぞることができない怯えが
抜け落ちたことのない言葉の数々がかすれて
追いかける僕の仕草で
きみを探そうとする
紅くかげさす教室で疑いのない太陽の周期に
焦らされるのは
確かなことではないが、10月のことだった
紅くぼくだけが教室にてたしかに生きていた
思い出に近づくにつれ僕の怯えと重なる
ひとつの痛みが降る
失敗したなと笑って
つたわる痛みがこわばらせ
痛覚もないのに触れる
からもない僕には夢がないんだ
だから日記は白いままだった
雑木林にて黒い手で見つかった
ページがない 切り刻まれた 色もなく ただ 黒に染まって
黒の太陽が表紙にて刻まれたのを知る
太陽に触れるぼくが
日記に不可侵を破った
そうして混ざり合う僕にただ1つ太陽が迫る
窓が開いて誰か見ている
誰だ見つけたのは
きみでもない太陽が僕らにあるんだよと言う
空がない僕らは太陽から逃れるすべがないんだ
だから日記は黒く変色することになった
空が黒くなるはずも白くなるはずもないのに
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