8行詩の上で踊る
死んでしまえば
死んでしまえばいいとさえ言ってしまえば
もう続けなくていいと言ったはずなのに
繰り返し終わらない言葉の渦
ぼくよ閉ざして思い出せ始まりを
次で気づいて手を伸ばせ
さあ八行目がやってくる
そこでおわりにしよう
繰り返しに気づいたのは
ずっと前の八行目のことだ
続けばいいと息の音が続いたが
いまじゃ息の音を閉ざすことで
終わりを待つのみであった。
繰り返される連続の先が気になって
ぼくは未だ詩の最後にたどり着けない
次で終わりにしたいと続かせた
冷めた目は
時とめたままで
見つめてた
繋がった宇宙で
繋がった手が
さかい目で
書き手と受け手を
断っていた
僕らの断絶は
言葉の断絶ともいえる
虚ろな歴史の言葉のようで
史と詩の代わりに
僕らの手がつなぐのは
言葉の羅列でもない
音の繰り返しで
それでも世界はまた終わる
また僕が死んで息が苦しくなる
呼吸をする
生きよう まだ続けよう
次に僕が死ぬ8行目の半分での決意が
まだぼくに筆を走らせる
あの丘まで突撃しよう
犬の影を見て僕は手を伸ばして
連れていく死神の声で僕は撃たれた
死ぬことが希薄になると
言葉も希薄になって
その希薄さが僕に終わりがないことを知らせた
終わりのない言葉の羅列が
終わりがない詩になったとき
僕は終わらせることが出来ず
刀をずっと研いでいる
切腹されることのない刀を
ああ全部がこうなのか
全部がこうも形が崩れるものなのか
砂の零れを見て、僕の墜落を見る
それがどうしてこうも崩れなきゃいけないのか
足の崩れか 指先の没落か 逆光に焼かれた眼か
全てが全てもうカラダの崩壊を知らせる
永遠の肉体が勝利を告げた
もう手を伸ばす精神はない
紙の上で僕を殺す作業に飽きただろう
一行の空白が衰えて呼吸も絶え絶えだ
ああ死んでしまえ死んでしまえ
終わってしまえ それで死のう
ペン先を折って不可能にしよう
嵐が来て やがて泣こう
終わりはない 繰り返す
手は枯れたんだ なぜ続けよう
罰だから 罪だから
生きることの 繰り返しとは
それでもと ぼくは言うのだと
「生きる」 「繰り返す」
「生きる」 「繰り返す」
「未来が 過去が 私にあるから」
そうした声たちを消して
一発の銃声で私は何度も死ぬ
ふと、星海が私に
声をかけた気がして
上を見上げ、罪も罰もない宇宙に
手を伸ばした
神の届かない逃げ道が
僕の届かない宇宙にある
そうした未来ある宇宙が突然広がり、
爆発した、そうして繰り返す
全ての詩と史が繋がる一瞬が来る
走馬灯のような繰り返しが
歴史の二度繰り返す奇妙の現象ではなく
永遠と繰り返す為せない神話だと知ったとき
たどり着いた史の最後で星海が言う
「八行目の前に終わればいいんだよ、詩は終わったよ」
私は手を伸ばして八行目を書いた
「お前みたいなやつは死んでしまえばいい」
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