舞姫(ドイチェラント)
小帝国にスワスティカを
黒のスプレー缶が描き出すそれはファズが革命の音を鳴らしたからで
約束のない分割が行われたらそれは音などならない
君となにかわってしまう約束がしたいから
交わりながら吐息交じりに、なあ僕らはと言いかけたところでKは言う
ことばなんてもう、交わすものではなく夢を見せるもの───なあH、この壁に何を書きたい?
音無の季節にてファズで断線をみとめて、
銃声の音がひとつなるのを確認して
ぶたの毛をナイフに見立てが白い吐息で削りカベをサクラへと変えていく
夜の枝垂れサクラには僕とKはいないから闇の中言葉で場所を確認する
不安になりながら拗ねてナイフを横にしKの方を覗いた
Kの目には壁一面へサクラに宛てた返しがある───なあH、どこに僕らはいるのだろう
約束された神様ごっこがあらしのなかで輝いたら
描いたが風が吹きいまにもファズの閃光音がなる
蒼馬が駆けるその豊穣の海を僕はないというが
枯らした言葉が灰色の空を黒だとKは言う
それでも、始まりがまだあるのに僕らは居ていいのだろうか
見上げれば枯らされた不連続な断絶がある。僕はナイフで刻んで別れを告げよう
スワスティカを黒く塗りつぶしても誰もそこにスワスティカがあったことを忘れない
それは約束された分割だから大衆はもう忘れることはない
終わりはないK、僕は太陽を背にして書き続ける蒼い月にはなれない
だから、枯らしたナイフでせめて黒い空にこそ僕の居場所を報せよう
ぼくがナイフで刻んだのはK、君のくちびるではなく声だった。
K、僕が空の断裂でファズがなるときをただ繰り返し鳴らしてくれ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます