舞姫(ドイチェラント)

小帝国にスワスティカを

黒のスプレー缶が描き出すそれはファズが革命の音を鳴らしたからで

約束のない分割が行われたらそれは音などならない

君となにかわってしまう約束がしたいから

交わりながら吐息交じりに、なあ僕らはと言いかけたところでKは言う

ことばなんてもう、交わすものではなく夢を見せるもの───なあH、この壁に何を書きたい?


音無の季節にてファズで断線をみとめて、

銃声の音がひとつなるのを確認して

ぶたの毛をナイフに見立てが白い吐息で削りカベをサクラへと変えていく

夜の枝垂れサクラには僕とKはいないから闇の中言葉で場所を確認する

不安になりながら拗ねてナイフを横にしKの方を覗いた

Kの目には壁一面へサクラに宛てた返しがある───なあH、どこに僕らはいるのだろう


約束された神様ごっこがあらしのなかで輝いたら

描いたが風が吹きいまにもファズの閃光音がなる

蒼馬が駆けるその豊穣の海を僕はないというが

枯らした言葉が灰色の空を黒だとKは言う

それでも、始まりがまだあるのに僕らは居ていいのだろうか

見上げれば枯らされた不連続な断絶がある。僕はナイフで刻んで別れを告げよう


スワスティカを黒く塗りつぶしても誰もそこにスワスティカがあったことを忘れない

それは約束された分割だから大衆はもう忘れることはない

終わりはないK、僕は太陽を背にして書き続ける蒼い月にはなれない

だから、枯らしたナイフでせめて黒い空にこそ僕の居場所を報せよう

ぼくがナイフで刻んだのはK、君のくちびるではなく声だった。

K、僕が空の断裂でファズがなるときをただ繰り返し鳴らしてくれ

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