第10話

 どうやら透明になった皆さんと、私の世界に移動したようです。


 もちろん、私の姿は、消えたまま。

 でも、異世界には、影法師は残っているようで、牛さんのトゲさんが突き刺ささったと感じました。

 もちろん影だけの異世界の私。

 ケガなんてしません。

 少しの違和感の後、その場所を移動。

 それだけで、元通り。


 元通りと言えば、元いた世界の元いたアイドルグループのメンバーが、変わっているような気が…。

 気のせいかしら。


「マリーさん」


 勇者さまのお声に、あわてて異世界へ戻る私たち。


 牛さんのトゲを発射後のツルツルお肌から再びやり直し。

 ツルツルお肌には、コウサ様の槍は見事に貫通。

 魔法の電撃攻撃で完。


 無事、このお山の主さま、天へ召されました。


 主さまに、勇者さまが、盾を投げますと、盾が大きくなり、主さまのお身体を乗せたまま浮かび上がりました。

 みんなで、あの村へ帰ると、その日は焼き肉パーティー。


 でも、主さまは、独身主義だったのでしょうか?

 何処を探しても指輪が見当たらず。

 やはり泉を探さないといけない様でございます。


 ジカン・ガイ村長が、街の図書館で調べてくれた情報では、主さまの支配していた、お山の北、約十キロ。

 大きな水たまりがあるそうです。

 勇者さまは、行こうと言って下さいました。


 ジカン・ガイ村長。

 街までのお弁当代は、きっちり請求されました。

 お弁当は焼肉弁当。

 村人に、牛さんのお肉代は、請求してもおそらく無駄でしょう。

 村の名前が、ミバライ村なので…。


 それにしても、

 元の世界の私。

 異世界の私。

 両方の世界に存在する事の出来る私の意識。


 私は、ここでひとつの魔法を手に入れました。

 それは、何と、あの鹿せんべいを自由に産み出す事が出来るのです。


    オロッ!

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