第3話 自身を誰よりも弱い世界最弱の魔王と名乗る男

 アビシニアは万全ではない体調でウーガーを止めたいということを切望する。この際エジとマンチに助力を申し出るのだった。



マンチ「いいですよ。マンチもウーガーには興味あるし」


 マンチはアビシニアの言葉に即決で首を縦に振ると、言葉を返した。

 エジは渋るような顔つきでアビシニアと顔を合わせる。自分もついていくというアビシニアの万全ではない体調を心配しての事だったのだが、アビシニアはその態度を軟化させないどころか更に求める様にエジに視線を合わせる。


エジ「…」

アビシニア「…」

 

 睨み合うようなエジとアビシニアはお互いに視線を外さない。リカンシ総司令官は鋭い眼光で皆を見渡すと口を開く。


リカンシ「じゃぁさ〜、ぼくとぉ〜マンチちゃんで、行っちゃおっかぁ〜」


マンチ「いいですねー。行っちゃいましょうか」


 マンチ以外リカンシの、そのすっとぼけたような声に一瞬沈黙する。だが、次の瞬間にはリカンシは皆から総突っ込みを食らうのだった。


スコティ「それはダメです」

ヒマラ「艦長自らはダメなんじゃないかねー」

キジト、サバト「「艦長が乗り込むのは賛同しかねます」

ラグドーラ「拙僧も皆に同意だな」


 皆の声にリカンシはしょぼくれた様に下唇を突き出すと、わざとらしくも見える態度で皆を見つめる。皆は真剣な顔でリカンシを見つめていたが、エジだけは怒っているのが丸わかりの態度で眉間にしわを寄せると片目を引き攣らせる。


エジ「お前が行って言い訳ないだろうが!!!」


 エジは激怒するように声を荒げながらリカンシを睨む。睨まれたリカンシは明白に怒られているのが分かっているにも関わらず、すっとぼけた様にエジに顔を合わせた。


「だってさぁ〜、エジ副官が行きたくなさそうだしさぁ〜。僕がぁ〜行くしかないんじゃね?」


「誰が行きたくねーって言った! リカンシ!!」


 エジは更に声を荒げるが、リカンシは不意に真面目な顔つきになるとエジに言葉を返す。


リカンシ「今は総司令だよ」

エジ「…ッ!」

リカンシ「僕がぁ〜行きたいのは本音だからね。だから―――」


 リカンシは真剣な顔つきながら惚けた様な物言いでエジを見つめる。


リカンシ「アビちゃんのこと宜しくね。エジ

 

 リカンシに肩を叩かれ、エジは悔しそうに歯を噛みしめる。噛みしめた歯からはガリっと音が出るくらいに噛みしめているのが丸わかりのしわが浮き出るが、その不機嫌な顔つきでリカンシに言葉を返す。


エジ「…あぁ。…わーったよ!!」


 エジはリカンシの命令を渋々了承すると、放り投げるように両腕を上に挙げた。


リカンシ「ウーガーと再び交渉し、人物像を再確認。脅威と判断した際は討伐する。それでいいね。アビシニア」


アビシニア「はい」


リカンシ「うん。それじゃあ、3人共よろしくね」


マンチ「はーい」

エジ「おう」

アビシニア「はい」


 リカンシからの命令を受けた2人はエジに顔を合わせる。


エジ「アビーとマンチは出立の準備を行え」


アビシニア「はい」


アビシニアとマンチがウーガーの元へ向かう準備をする中、エジはラグドーラとセルカークの元へ向かう。そして、何やら密談するように小さく声を出すと二人の耳元で囁く。


エジ「ラグドーラ、セルカーク。…ちょっと耳かせ」


 エジの言葉にラグドーラとセルカークは首を捻るが、エジはボソボソと密約するように二人に耳打ちをすると、二人は頷くのだった。



 エスペラ側から場面は変わる。

 門扉にビラノッツェと書かれたボロそうな借家。玄関には魔王と書かれた達筆な表札がデカデカと貼られている。

 借家に備え付きの大きめの庭の花壇には、20代に見える男が園芸服で花の苗をせっせと植えている。花に楽しそうに喋る男の前に、肥料袋を束で持った胸の大きな眼鏡を掛けた女性と、如雨露を持った膝まで髪を伸ばした小柄な女性が登場する。


???「おっ、もっ」 


 胸の大きな女性は運んできた肥料の袋をドスンっと地面に置く。


???「魔王。チューリップが書かれた袋って、これでいいよね?」


 胸の大きな女性から魔王と呼ばれた男はその声に後ろを振り返ると、女性の運んできた袋を見る。そして、肥料の袋を見つめると視線を尖らせ片手を強く横に振る。


魔王「これではないっ!」


 魔王は自分の持ってきて欲しかった肥料ではないことを叫ぶのだが、多少怒られたような魔王の声に小柄な女性は口を窄めると魔王に顔を合わせる。


???「もうー。じゃあ、マーちゃんが持ってきなよぉー」


 小柄な女性からおっとりとした間延びする口調で吐き捨てられ邪険に扱われた魔王は多少イラついた態度を表すように唇を引き攣らせる。


魔王「お前らが持ってくるというから任せたのだぞ! ルー! チー!」


魔王は小柄な女性をルーと、胸の大きな女性をチーと呼ぶと尚も癇癪を起す様に体を動かす。両腕を勢いよく下に振ると、地面を大きく両足で踏むのだった。


ルー「もうー、マーちゃんの趣味の園芸凝りすぎてて、私たち分からないよ~」


 ルーから吐き捨てられるように言葉を返されるが、魔王は一歩も引かず自身の育てる花壇を眺めると口を開く。


魔王「お花たちの肥料は、花ごとに適切なものが必要になるんだ」


チー「魔王。僕が持ってくるからもう一度特徴教えて」


魔王「チー。では、一緒に取りに行くぞ」


 魔王はチーに喋りかけた後、不意に首を捻ると自身の家の門扉を見つめる。不意に門扉を眺めた魔王に釣られるように、ルーとチーの二人も魔王と同じように門扉を見つめた。


魔王「おっと、その前にお客さんみたいだ」


 魔王の見つめる門扉の先からウーガーが姿を現し片手をヒラヒラと振ると魔王たちに合図を送る。チーとルーは一瞬身構えるのだが、魔王は二人に「待て」と右手を開き上に挙げると、合図するように二人より一歩前に出る。


魔王「…また、来たのか? ギザギザ歯」


 自身の趣味の園芸を邪魔され、魔王は多少不機嫌そうな物言いで言うとウーガーに顔を合わせる。

 魔王の言葉にウーガーは自身のギザギザに尖った歯を皆に見せつけるように声を出して笑う。


ウーガー「ウガガ、お菓子をもらいに来たんだよ。…自称魔王」


 魔王はウーガーの事を不機嫌そうな顔つきで見つめる。だが、ウーガーに対し、決して怯えることもなく、そして、嫌悪もしない。面倒くさそうな物言いだが、ウーガーの事を邪険に扱わずに言葉を返すと誰もいない空間、ウーガーの両脚の先を見つめる。


魔王「…まあ、いい。―――ちびっ子もいるんだ、中に入れ。魔王は子供が好きだからな」


 魔王は何もない、ウーガーの横を見つめながら優しく微笑む。

 ウーガーは魔王の言葉を聞くと目を一瞬大きく開く。大きく開いた眼は魔王を凝視するように開かれるが、半ば呆れたように苦笑いを返す。


ウーガー「…ほんと何でお前は、こいつらが見えんだよ?」


 ウーガーは自身の両足の横。何もない空間を見つめると、まるでどうしようもないと言ったような態度で言葉を返す。魔王はそんな態度を見せるウーガーに顔を合わせると青く輝く両目を多少尖らせた。


魔王「見えんと何度も言っているだろう。居るような気がするだけだ。―――それより中に入れ、ここは人目につく」


 魔王は趣味の園芸を途中で切り上げると、家の方へ向かおうとする。ウーガは魔王の持つ不思議な感覚に呆れたようにして瞳を一瞬瞑るが、再び両目を開くと魔王を見つめ口を開く。


ウーガー「ほんと、なにもんなんだよ、お前は?」


 ウーガーの声が聞こえていた魔王はゆっくりとウーガーを振り返る。


「何度も言っているだろう。俺は誰よりも弱い、世界最弱の―――」


 魔王は言葉を貯めると大きく口を開く。


「―――魔王だ! と」


魔王はニヒルな笑みを浮かべると自分を親指で指し示す。その後、まるで子供に話しかける様に独り言を呟きながら家の方へ笑いながら歩いていく。


ウーガーは魔王を見ながら、頭をポリポリと掻きながら呆れたように微笑む。


「…ほんとに訳わかんねー野郎だぜ」


 ウーガーは魔王の後を追うようにしてゆっくり歩き出すと、隣にいたチーに不意に話しかける。


ウーガー「…チー。お前は、俺の事ちゃんとこえーよな?」


 ウーガーの問いかけに、チーは間をつくるように眼鏡の位置を調整すると顔を合わせた。


チー「…恐いよ。失礼だけど、顔を見ただけで嫌な気持ちになる」


チーから本心を告げられたウーガーは頭の後ろで両手を組むと言葉を返す。


ウーガー「…だよな。それが普通なんだよ―――」


ウーガーは後ろから魔王を指さす。


ウーガー「―――あいつがおかしいんだよ」


チーもウーガーの指し示した指先を見るようにして魔王を見つめる。


チー「…うん。でもね、うまく言えないんだけど」


チーは魔王を見て微笑むと、ウーガーに再び顔を合わせた。


チー「ウーガーさんの顔を見ても、魔王が居るって思うと大丈夫になるんだ」


 チーの言葉にウーガーは呆れたような顔で頭を掻くと多少不機嫌になった顔つきでチーを見つめる。


ウーガー「……前言撤回だ。お前も頭がおかしいわっ」


チー「はは、そりゃそうだよ。―――魔王と一緒に暮らしてるもん。おかしくもなるよ」

 

 会話を交わしながら、4人は魔王の家に入って行くのだった。


♦️


 4人は魔王の部屋の一室に入ると魔王は高級そうな缶に入ったお菓子と、子供が好きそうなお菓子を机に置く。魔王に合わせてチーもジュースと飲み物を机に置くと台所に向かうのだった。


魔王「来てくれると思って、用意しておいたんだ。たくさん食べていいからな、ライちゃん、クラ坊」


 子供を撫でるように魔王は手を伸ばし微笑む。まるで年端もいかぬ子供が二人居るように伸ばされた手は、チーから見て何もない空間をさ迷うように伸ばされており、チーは不思議そうに顔をしかめる。

ウーガーは出された高級そうなお菓子を無造作に掴むと、口に運ぼうとするのだが…


ウーガー「いただく―――、」

魔王「―――お前は食うな! せめて手を洗ってからにしろ!」

ウーガー「うるせーなー、お前は」

魔王「あと鋸みたいな歯を見せるな! その歯を見ると下半身が痛くなるんだ!」


「・・・・・・・」


ウーガーとチーは魔王の言動に瞼を垂らした呆れた顔で見つめる。まるで連想できないような魔王の発言にウーガーとチーは固まったまま動けなくなるのだった。


ルー「まーちゃーん。お酒がねー、無くなりそうだよ」


 突然ルーは台所の方から出てくると、一升瓶を揺すり、酒を飲みながら魔王に声をかける。その声に一瞬で3人の視線がルーに向く。


魔王「・・・お前。真っ昼間から何で飲んでんの?」


ルー「なんでって〜。お酒が好きだからだよ〜」


魔王「・・・本当に私生活がゴミクズ以下だな、お前は・・・」


 ルーに3人が絶句したあと、会話を交わし始める。

 この後ウーガーから、この惑星が崩壊すること、そして、宇宙人来訪の本当の理由を魔王も聞くのだった。



 ウーガーの話を聞き、しばらく考えるように魔王は目を閉じる。チーは驚いた後、魔王を不安そうに見つめるが、ルーは気分良さげに酒を飲み始める。


ウーガー「―――という訳だ。・・・お前は、どう動くんだ? 自称魔王」


ウーガーは笑みを浮かべると魔王は目をゆっくり開く。


魔王「ばあちゃんも、歳だからな」


魔王はにこやかに笑うと窓の外を見つめる。


ウーガー、チー「「?」」 


ウーガーとチーは魔王の言葉に首を捻る。


ウーガー「あぁ?! お前、何言ってんだ?」


魔王「あぁん? だから、ばあちゃん460億歳の超高齢だろ!」


ウーガー「……」


チー「魔王? もしかして婆ちゃんって、この惑星。アーステラの事?」


魔王「ああ。そうだけど」


魔王は腕を組みながら、真顔でチーに即答する。


チー「・・・うん。僕が知ってる情報で悪いけど、アーステラは誕生してから46億年だったはずだよ」


魔王「どっちにしろババアだろ」


チー「う、うん。そ、そうだね。・・・ご、ごめんね」


ルー「もぉ〜、チーちゃん謝んなくていいよ。マーちゃん馬鹿だから適当に聞き流しな」

 

 ルーはいきなり会話に混ざると、魔王に暴言を吐く。魔王は間を作るようにルーを見つめる。


魔王「・・・チー。あのアル中、素っ裸にしていい?」

 

 魔王はルーを指差し、チーに喋りかけると立ち上がる。そして、ルーに向かっていく。


チー「う、ウーガーさんいるから、だ、ダメだよ魔王っ」


 チーは慌てたように魔王を止めるが、魔王はチーの制止を振り切りルーの服に手をかける。


ルー「…うっ」


ルーは嗚咽を漏らし、手を口に当て俯く。


ルー「…ルーちゃん、ちょっと、ゲロ吐きに行ってきまう」

魔王「……」


 ルーは魔王の手を解くと、よろよろとトイレに向かう。魔王は呆れてものも言えなくなると千鳥足を披露するルーを平行な口で見つめる。


魔王「・・・チー」


チー「うん」


魔王「いつもの事だけど。あいつ猫が毛玉吐くようにゲロ吐きに行くよな」


チー「そ、そうだね。ルーさんいっつも吐いてるね」


魔王とチーが顔を引つらせながらルーを見つめる。


ウーガー「魔王!」


魔王「うん? なんだ?」


突然のウーガーの呼びかけに魔王は振り向く。


ウーガー「邪魔が入ったが、お前の答え聞いてねーぞ俺は?」


ウーガーは真剣な顔つきで瞳を尖らす。


魔王「………」


ウーガー「どうなんだ? 俺を止めるか?」


 魔王は顎に手を添え考える素振りを見せる。「そうだなー・・・」とは言うが顔は全然深刻ではなく、むしろ微笑んでいる。


魔王「俺は止めんよ。お前が止めてほしければ止めてやるがな」


ウーガー「へー。意外だな。この惑星が滅んでもいいと」


魔王「ばあちゃんの寿命とあればしょうがないからな。それにーーー」


魔王は笑う。


魔王「ーーー人類同士が争って滅亡する訳ではあるまい。そんな恥ずかしいラストエピソードなら止めてやるがな! はははーーー」


魔王は笑い続ける。


ウーガー「ほんっと、訳わかんねー野郎だ。お前は」


ウーガーも微笑む。


魔王「当たり前だ。俺は魔王だぞ。はははーーー」


お互い笑い合うが、チーは顔を少しばかり曇らせる。


チー「・・・魔王」


魔王「うん? なんだ?」


チー「僕ね。わがままなんだけどね」


チーは恥ずかしそうに俯く。


チー「魔王ともっと一緒にいたいんだ。うん」


恥ずかしそうに本心を告げたチーに、魔王とウーガーは顔を合わせる。


魔王「お前は本当に俺のこと好きだな。趣味が悪いぞ」


魔王は真顔で諭すようにチーに言う。


チー「う、うん・・・」

チーは恥ずかしそうに視線をそらす。


ウーガー「だったらよ。お前ら3人、あいつらに保護してもらえよ」


チー「えっ? ウーガーさん的に、それはいいの?」


ウーガー「確かに俺は、あいつらの邪魔をし続ける。だけど、お前たちの邪魔はしねーよ。そうしたら、あいつらも母星に帰んだろ」


ウーガーは二人を見つめ微笑む。


魔王「俺らだけが助かるというのは、なんとも言えんがな」


ウーガー「まあ、いいじゃねーか。人類を選別してるだ、どうの言ってたけど、大丈夫だろ」


ウーガーは魔王に近寄り肩を叩く。


ウーガー「お前は頭がとびきりおかしいからよ」


魔王「失礼なやつだなっ」


ウーガー「褒めてんだよ、うがが」


魔王「ふんっ。まあいい。いずれはこの惑星の魔王としてあいつらと対話はするつもりだったんだ」


魔王は真剣な顔つきになると窓から外を見つめる。その時、ルーがトイレから戻ってくると再びコップに酒を注ぎ始める。


魔王「・・・あのゴミクズどうしよう?」


魔王は嫌そうな顔でルーを見つめる。


魔王「ルーちゃん」


ルー「なーに?」


 言葉を返すとルーは魔王に顔を合わせる。


魔王「今ね。この星と一緒に滅ぶか、宇宙人に保護してもらうか話してたんだけど、ルーちゃんはどっちがいいの?」


魔王の質問にルーはニコニコと微笑む。


ルー「ルーちゃんはお酒が飲めれば―――」


 ルーは一升瓶を突出す。


ルー「―――なんれもいいれす」


 ルーは舌をペロッと出す。


魔王「・・・お前は滅んだほうが、世の為だな」


 魔王は引きつった苦笑いを披露する。

 後の二人も引き攣った顔でルーを見る。


チー「そ、それよりさー。魔王どうすんの? 宇宙人に会いに行くの?」


 チーは話題を逸らすように魔王に話を振る。


魔王「そ、そうだなー。・・・ところであいつら何処にいんの?」


チー「さ、さあ? そういえばニュースとかでも言わないね。何処にいんだろ?」


 魔王はウーガーに勢いよく振り向く。


魔王「ウーガー!!!!」


ウーガー「うるせーなー。俺も知らねーよ。けどよー」

 

 ウーガーは自信満々に自分を指し示す。


ウーガー「俺の近くにいれば、すぐに会えると思うぜ。さっきも言ったろ。一人見逃した、って」


魔王「・・・なるほどな。端的に言えば報復に来るということ、か」


ウーガー「そうそう。まあ、返り討ちだがな。うがが」


魔王「だろうな。……ウーガー!!」


ウーガー「おう、来たみてーだな」


魔王がウーガーの名前を叫び、ウーガーがのそりと立ち上がった瞬間。

魔王の家の玄関から轟音が響く。轟音が響くより早く魔王はチーとルーを両脇に抱え伏せるようにしゃがみ込む。


轟音の正体。

それは玄関先でエジが扉を蹴破った音だった。


エジ「行くぞ! マンチ!」


マンチ「蹴破ったらだめですよ、エジさん」


エジ「うるせっ。アビーが言うには、話なんて聞くやつじゃねーんだろう! 強行突破だ」


マンチ「もーー、後で怒られてもマンチは知りませんよ」


エジ「ゴタゴタ言わずに、付いてこい」


 鍵のかかっていた玄関を意図も容易く破壊したエジは、ズカズカと中に入ってくるのだった。


 魔王は二人を両脇に抱えたまま、鼻を鳴らす。


魔王「ふんっ。異星人とはいえマナー知らずにもほどがあるな」


 魔王はゆっくり立ち上がる

 

魔王「どうやら説教が必要みたいだな」


魔王は笑みを浮かべるのだった。

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