いいわけにしかならないけど

黒姫百合

第1話 幼馴染の私たちが幼馴染を好きになるなんて

「私たち三人はずっと友達だよ」

 小さい頃、私たちは三人はそう約束した。

「当たり前でしょ」

「私たちはずっと友達だよ」

 中学生になっても高校生になっても大人になってもずっと友達でいよう。

 幼い頃の私たちはずっと友達でいられると思っていた。

 でもその考えは甘かった。

 関係というものは時が経つにつれて変わっていくし、不変な関係なんてない。

 でも少なくても幼い頃の私たちは、ずっと友達でいられると思っていた。


 高校生になった。

 私たちは友達だった。

 高校も三人一緒の高校が良いということになり、三人で同じ高校を受け、見事合格した。

 しかも天も私たちに味方しているらしく、クラスも同じだった。

「マジで高校も一緒でしかも同じクラスってマジ、運良くな~い」

「本当に良いですね。今年も私たちはずっといられますよ」

「うん。高校も美雪ちゃんと弥生ちゃんと一緒になんて信じられない」

 昔よりもギャルになった美雪と、逆に昔よりも真面目になった弥生。

 私、奈々はあの時からあまり変わらず二人の緩衝材になっている。

 去年と変わらない光景。

 でも、私の中では少し変わっていた。

 私の隣に美雪と弥生がいる。

 昔から変わらない光景だが、一つだけ変わってしまったことがある。

 それは私が二人を好きになってしまったということだ。

 もちろん、ライクではなくラブの方だ。

 こんなこと、二人に言えるわけがない。

 そもそも女の子同士だし、それに二人を同時に好きになってしまったのだ。

 いろいろとヤバい。

 もちろん、昔の私はラブな気持ちなんてなかった。

 でも二人といて、私は少しずつ二人に恋してしまったのだ。

 もちろん、こんなこと二人に言えるわけがない。

 ただでさえ、女の子を好きになったどころか二人同時に好きになってしまったのだ。

 でもこの気持ちは隠さなければならない。

 そうしなければ、『ずっと友達』でいることなんてできない。

 春の穏やかな日差しを浴びながら笑い合う三人。

 でもその影は歪だった。

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