第2話殺戮の天使現る!?

春という季節は暖かいのか寒いのかよくわからない。今も気温はちょうどいいのに春風で少し肌寒い。


 今日の帰り道は一人、ととは今度の体育祭の実行員になってるので集まりがあるらしい。


 昔から人一倍元気なととだから体育祭は毎年気合はいっていたが、まさか実行委員になるとは。


 「おーーい!!」


 突然後ろから大きな声が聞こえる。振り返るとそこには若干息切れ気味のととがいた。


「実行委員の集まりじゃないの?」


「速攻で終わったから追いかけてきた!!」


こいつのアグレッシブさには毎度驚かされる。持久走、百メートル走三年連続学年一位は伊達じゃない。


「鬼ごっこに現れし殺戮の天使は健在だったか……」


 このあだ名が付けられたのは僕達が小学二年生のとき。七年前に遡る。


  体育の授業で鬼ごっこをやる日があった。三十人クラスで鬼が三人。

 

 授業の残り時間五分のところで先生が言った。


「今から増え鬼にしまーす!残り五分鬼の人は全員鬼にできるように、逃げる人は頑張って逃げ切って!!」


そのときの一人がととだった。

 

 結論から言うと三分で終わった。残り二十七人全員をととが捕まえたのだ。これにはクラス全員が驚き、その日の放課後までには「鬼ごっこに現れし殺戮の天使」と男子に言われ始めたのだ。

 更に言うと今でもととのあだ名は略されて「てんちゃん」になっている……

 

 「ちょい!!その名前まじ恥ずいから!もっかい言ったら右拳がでるよ!?」

 

「まって!落ち着いて!!もう言わないから!!!」

 

 冗談で言ったがととの目はマジだった。


「わかったならよし」


 そのときのムスッとした表情は一見可愛らしいかったが、さっきの殺意を受けた僕には見惚れる余裕すらないもんがあった……




 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

いつもの帰り道 或日空 @Ramunesann

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ