契約成立

「俺から聞きたいのはそれくらい……いや、もう一個あったわ」


「何?」


こいつちょっと近くないか?顔を思いっきり近づけてきやがった。なんかいい匂いもするし……ええい、意識すんな!


「お前、あそこで倒れてたよな?」


「うん、そうだね」


「あそこ、太陽の光思いっきり当たるんだわ。なんですぐに消えなかったんだ?」


「ああ、そのこと」


ライラは納得したそぶりを見せる。


「悪魔にも色々な種類があるの。攻撃に特化したやつ、勉強に特化したやつ、生産に特化したやつ、みたいにね。その中で私は防御に特化した個体ってだけよ」


「へぇ、って、ちょっとまって……」


「何よ?


「お前さっき、国王に支えてたって言ったよな?」


「ええ、それが?」


「ってことはさ、勉強特化型でもあるのかよ?」


「へ?ま、まぁそういうことになるんじゃないかしら……知らんけど」


知らんけどってなんだよ……でもこいつがすげー奴だってことはわかった。


「ねぇ」


俺がぼーっとしていると、ライラが尋ねてきた。


「ん?」


「なんであなたこそ、あんな暑い場所に立っていたの?」



「いや、えっと……」


俺は迷った。こいつに俺のことを話したところで何になる?いつもと変わらない日常ーただただパシリとしてこき使われる日々ーが続くだけだ。

ただ……


「あなたが呼んでいるような気がした」


ライラはこう言ったんだ。


もし仮に俺の願いが届いてライラが現れたのだとしたら……


俺のことをライラに話してもいいかもしれない。


「わかった。話すよ。俺のこと。だから、聞いてくれるか?」


「ええ」


「ありがとう」


そして俺は今までのことをライラに話した。


ーーーーーーー

「そんなことが……」


ライラは俺の話を聞いて2、3分ほど青ざめていた。


「いやいや、おまえの話よりはマシだろ?」


「そんなことない!!」


ライラはいきなり立ち上がって大きな声を上げた。


「あ、ごめんなさい」


「気にしてない。ちょっと驚いただけだ」


「そう……私はね、アオイ。あなたの立場だったらここまで生きられてないと思う。

あなたはよく頑張ってると思うわ」


「あ、ありがとう?」


「なんで疑問系なのよ……、それでね、提案があるんだけど……んんっ!」


ライラはいきなり真面目な顔つきになり、こう言った。


「お前に強さをやる代わりに当方を憑依させてくれんか?」


ーーーーーーー


「なんで口調……」


「これがお前との契約になるからじゃな」


「ほーん……で、憑依って?」


「別にお前の心を乗っ取ろうなんて思っとらん。お主の心と会話する感じじゃな。簡単にいうと」


「なるほど?」


「当方は夜以外ほとんど活動ができん。ただ、憑依を許可してくれるなら朝から活動ができるようになる」


「ほう」


「それで、お主が憑依を許可してくれた場合の対価じゃが……


防御特化型である当方がその能力を活かしてお主を守ってやる」


「は……?」


こいつなんかだいぶすごいことをさらりと言ってのけなかったか?


「聞こえなかったのか?ならもう一回言ってやろう。当方が憑い……」


「いや、聞こえてたから!もう一回言わなくていい!」


「じゃあなんなのじゃ」


「いや、対価が大きすぎないか?すごい能力なんだろ、それ。そんなのを俺に使っていいのか?」


「いいじゃろ。どうせ、当方は追放された身じゃ。誰も文句は言わん。それに、当方は今まで頑張ってきたアオイのために力を貸したいんじゃ。ダメかの……?」


そんな目で見るなよ…


「ありがたいよ?ただな、お前の負担は大丈夫なのか?」


「そこまで気にする必要はない。人間から身を守るだけなら当方の力を三話割使うだけで十分じゃ」


ライラの方は大丈夫らしい。なら、あとは俺の覚悟次第。


   自分に悪魔を憑依される覚悟があるか


俺は現在進行形で酷いいじめを受けている。それから身を守れるなら憑依させることぐらい容易じゃないか?確かに、何か俺にデメリットがあるかもしれない。でも、それより……


俺は楽になりたい。少しでも希望があるなら、それに賭けたいんだ。


「ライラ」


「決まったか?」


「ああ。憑依してもらって構わない」


「本当か!?」


「ただし、俺が守られていないと思ったら、憑依するのをやめてもらう。これでいいか?」


「ああ、もちろんじゃ。これで契約成立じゃな」


「それで、どうやって憑依するんだ?」


「それは今からやるのじゃ。アオイ、動くんじゃないぞ?」


「わかった」


といったものの、何が起こるかわからない俺はそわそわと落ち着かない。

ライラはなぜか顔を赤くして深呼吸をしている。


なんか嫌な予感がするんだが……?


「そ、それじゃ、いくぞ?」


そう言ってライラは……


チュッ


俺の頬にキスしてきた。



ーーーーーーーーーーーー

お久しぶりです。

書いてて、設定ガバガバになってないか?とか思い出した今日この頃。

ガバガバになってたらすいません。多めに見てください。

今年度は受験生でもあるので去年以上に亀より遅い更新となると思います笑笑

あ、でも、完結はさせますので。2年後、くらいに。

それでは今年も「悪魔の契約–devil's contract–」をよろしくお願いいたします。


追記


この小説の、略称を考えて欲しいです!

思いついた人、コメントよろしくお願いします。














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悪魔の契約–devil's contract– 木漏日レン @lympha

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