生徒会長と学校

2学期初日

「はぁ、だるいなぁ…」


今日から2学期だ。また憂鬱な毎日が始まるかと思うとげんなりしてくる。


もう休もうかな…


とか思いつつも学校の用意をする。


「行ってきます」


誰もいない部屋に向かってそう言い、部屋を出る。

そのとき、隣の部屋でドアが開く音がした。なんとなくそっちを見ると野沢さんが出てくるところだった。


「おはようございます」


「おはよう」


挨拶されたので挨拶を返す。

俺はそのまま学校に向かう。


「グェッ」


野沢さんはなぜか俺の襟首を掴んできた。おかげで変な声が出てしまった。


「なんだよ」


「なんで1人でさっさといくんですか!?」


「なんでって、そりゃぁお前みたいな美少女と歩いてたらお前に悪い噂が立つだろ」


「あわわ…び、美少女…」


「おい、大丈夫か?」


声が小さくて聞こえなかったが…俺何か変なこと言ったか?


「と、とりあえず一緒に行きましょう?」

「いや、でも…」


「行きましょう?」


「…」


「…」


「ハァ、わかったよ。どうなっても知らんからな」


「やたっ!」


野沢さんは嬉しそうにニコニコしている。


俺と一緒に登校できるだけでこんなに喜ぶって…まさかね…


学校に近づくに連れ、同じ高校の生徒たちが俺たちの方をチラチラ見ては友達とこそこそとしゃべっている。俺がそいつらを見ると気まずそうに目を逸らす。気にはなっているが話しかける勇気は無いってところか。


「竹村くん。なんでみなさんこちらを見てるんでしょうか?」


そんな中、野沢さんは自分が原因だと気づいていないらしい。


「さあな」


俺も適当に誤魔化した。


「なんか誤魔化されてる気はしますが…まぁいいでしょう。教室に行きましょうか」


ば、バレてる…


教室に入っても外と同じように奇異な目で見られているが気にせず、自分の席に座る。俺の席は真ん中の列の最後尾でその左隣が野沢さんだ。

野沢さんが席に座ると友達らしき人に何か話しかけられていたが俺の知ったことでは無い。


ん?俺の友人?そんなものはいない。


…そいつらはいつか俺の元からいなくなってしまうのだから…


始業式と夏休みテストが終わり、HR。今は体育祭のメンバーを決めている。


「誰か、リレーに出たい人後1人でいいのでいませんか〜?」


体育祭実行委員らしき人が壇上で呼びかけている。

リレーねぇ。出てもいいんだが…他のメンバーと喋ったことないから気まずいんだよな…

「はい」


その時、野沢さんが手を挙げた。


「え、野沢さんやってくれるんですか?」


「いえ。私じゃなくて。推薦したい人がいるんです」


へぇ。推薦ねぇ。誰だろう…


「竹村くんです」


まさかの俺かよ…


「確かに。50メートルのタイムもクラス上位ですしね。どうですか?やってくれませんか?」


委員の人は野沢さんの言葉に頷き俺に尋ねてきた。2人ともそんなキラキラした目で見ないでくれますかね…

まぁ、やることで俺に不利益が生じるわけでもないしいいか。


「わかった。やるよ」


「! ありがとう!これで全ての種目のメンバーが決まったので今日のHRは終わります。解散!」


おいおい、あんたが終わらせていいのかよ…まぁ先生止めてないし帰っていいのかな?


「竹村くん、一緒に帰りませんか?」


不意に肩を叩かれそちらを向くと野沢さんがこう言ってきた。


「本当にいいのか?俺と帰って」


「はい。私は竹村くんと帰りたいのです」


なんなんだよコイツ…まるで俺のこと好きみたいじゃねぇか…


だが、もし仮に野沢さんが俺のことを好きだとしても俺は付き合わない。否、付き合えないのだ。


…俺には誰かに恋することはもうできない…

誰かを好きになる資格なんて俺にはもうないのだから…


〜〜〜〜

こんばんは。遅くなり申し訳ありません。

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