第4話
AIは、約六千文字ほどの短編を書きあげた。
内容はとある男性の研究者が妻や同僚とご飯を食べながら話しをして、自分の生き方を見つめなおすという内容だった。ここから有識者に渡り、内容を確認してもらうことになる。
個人的な感想を言えば、今まで読んできた作品と比較すると、かなりできが良いと思えた。
ここから先は、AIにどのような情報を学ばせたことで、飛躍的に完成度が高まったか。いや、自然かつ普通になったのかを分析する業務が待っている。進むべき方向が見つかったと言ってもいいだろう。今日一日の業務の締めとしては申し分ないものとなった。
いつも寝ている主任研究員が私の肩を軽く叩いて笑った。
「小説も読まないし、AIのことも君ほど分かってないんだけどさ。きっと誰にでも、これが凄いってことは伝わるよ」
「ありがとうございます」
「こんなおめでたい日は早く帰った方がいい。今日くらいは自分を労わりなさい」
あなたが勤務中に居眠りをせず事務処理を進めていれば、私はいつも早く帰れるんですよ、とは口が裂けても言えなかった。
ただ、たまには良いことを言うではないか、と褒めてあげたくなった。
「いつも支えてくれている妻に感謝を言いたいと思います」
「それがいい」
私は帰路を急いだ。
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