第六章

第五章の軽いまとめ

 アマゼレブが送り込んだ空中要塞に住み始めた政臣と姫愛奈は、連盟の参加に反対して軟禁された傑たちと、旧体制の高官として捕まっていたピシュカとヴィオレッタを救出、仲間に引き入れる。その後、「国作って」というアマゼレブの滅茶苦茶なリクエストに応えるべく、ヴィオレッタの提案を採用してかつて大陸に存在した超大国〈神聖バラメキア帝国〉の皇族の末裔シャルロットを権威として担ぐことを決める。


 連盟についたクラスメイトと交戦し、禍根を残しつつ何とかシャルロットを強奪した一行は、神聖バラメキア帝国の帝都があったといわれる〈イリオス地方〉へ向かうも、そこは連盟のクーデターによる混乱に乗じて刑務所から脱走した重罪人や犯罪組織が支配するこの世の地獄状態になっていた。しかしこの状態を帝国復興の大義名分に使えると踏んだ一行はイリオス地方で秩序だった軍閥であり、神聖バラメキア帝国の復活を目論む復古主義組織〈帝政貴族軍〉と接触する。妙に芝居がかった言動をする『元帥』ヘルムートの協力を取り付けることに成功したが、交換条件に帝政貴族軍が実行支配する領域の境界周辺をうろつく悪党の排除──つまり殺害──を依頼されてしまう。実行部隊として名指しされてしまった傑を始めとする『勇者』たち。殺人に抵抗を示す中、傑の彼女利奈が姫愛奈に相談を持ち掛ける。


 政臣と姫愛奈が手に入れた〈不老不死〉に興味を持った利奈は、アマゼレブに自分と傑も不老不死にしてほしいと懇願、なんとアマゼレブはこの願いをあっさりと承諾する。しかしアマゼレブは邪神らしく「クラスメイトを二人殺す」という最悪な交換条件を利奈に示す。転移前、傑と喧嘩をしてその気持ちが完全に冷めかけていた利奈は、転移以降人間的にめざましい成長を遂げ周囲の尊敬を勝ち取った傑に心底惚れ直し、執着心と独占欲が芽生えていた。傑を自分だけのモノにしたいという気持ちが勝った利奈は、クラスメイト殺しを受け入れてしまう。


 同じ頃、傑も政臣に利奈についての相談を持ち掛けていた。才能に溢れるあまり人の気持ちを考えない独善的な思考になっていた傑は、転移してからクラスのリーダーとして先頭に立ち、惨い光景や体験を味わった結果、人の気持ちを考えられる人物になっていた。利奈に酷い言動をし続けていた事に気がついた傑は、利奈に謝罪しようと動き出すが、利奈は傑の全てを許し、関係の進展をせまる。利奈が自分に心底から惚れ直し、歪な情愛が芽生えてしまったことに気づかない傑は、過去のトラウマ体験によって性格が歪んでしまった姫愛奈の彼氏となった政臣に助言を求めていた。傑の人格者ぶりに感動した政臣であったが、現実にヤンデレが存在するとは思ってもいなかった為有用な助言をすることが出来ず、傑を正式な仲間として認め、いつでも相談に乗る旨を伝える。しかし傑は政臣の答えに取りあえず満足し、政臣と固い握手をしながら悪党退治への覚悟を決めるのだった──。

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