第4話 襲来

「よくもやってくれたな!!」

後ろを振り返ると、大量の軍勢がいた。一体何の用だろうか。

「テル・テルボウズ様を...重症に負わせた...許さん!!」

え、テル・テルボウズまだ生きてたのか...やはり厄介なやつだ...

しかも、これは悪いのはテル・テルボウズでしょ。どう考えても。


「僕は確かに倒そうとしたよ?でもあいつは国を守る役目をするのを断っただけで、襲い掛かってきたんだ。だから僕は悪くな...」

そう言ったとたん、軍勢が一気に襲い掛かってきた。何千人、何万人というレベルだ。

もちろんこの軍勢たちは話にならないほど弱かった。...しかし、何千人、何万人となってくると、倒すのはそう簡単ではない。


「おい、少しは話を聞けよ。僕は悪くないんだって。仲良くしようぜ?」

「そういうわけにはいかない。テル・テルボウズ様に倒すように命令されているんだ。」

命令...?やっぱりあいつなのか。全てあいつの仕業なんだ。

「悪いな象、こいつらを頼む。」

象は頷き、軍勢へと立ち向かっていった。


そこで僕はこの軍勢のリーダーのような人に話しかけた。

「ちょっと、テル・テルボウズの国はどこにあるか教えてもらえないかな。」

「おお、やっと国を守る気になったか。あっちにあるぞ。」

勿論、僕は国を守るために聞いたわけではなく、国を潰しにいくために聞いたのだ。こいつがバカでよかった...

「ありがとよ。」


躊躇ためらいもなく僕はテル・テルボウズ国に向かった。

テル・テルボウズ国は現在地から15kmもかかった。

普通の人なら果てしなく遠いと感じるだろうが、僕の場合は1分もかからず到着した。


テル・テルボウズ国の人口は5万人、それに対し面積は900km²。まぁ、大きいといえば大きいのだろうか。

しかし、テル・テルボウズ国には焼け跡があり、何者かに攻められたと考えられる。

それ以外は、畑もあって食料は大丈夫、建物もたくさんあって住みやすい、水道も通っていて安定している。

流石、テル・テルボウズが創った国だ。


テル・テルボウズ国を観察したところで、テル・テルボウズがいるとされる城に向かった。

「失礼しまーす。」

中には予想通りテル・テルボウズがいた。


「お!お前よくも前は重症に負わせてくれたな!!」

いやいや、お前から先に仕掛けてきたんやろ、と思いながらも冷静に話した。

「あの軍勢は何ですか?あと、何で僕が国を守る役目をしなければならないんですか?」

「逆になんで教えなければならないんだ?」

「あなたの目的を知り、この世界をより良いものにしていきたいと考えたからです。」

単刀直入に言った。

「フハハハ...フハハハハハ!!」

「この世界をより良いものにしたい?本当にそんなこと考えるなら国を守る役目につけばいいじゃないか、馬鹿め!俺が悪者だというのか?」

誰がどう考えても悪者である。

「悪者だ。国を守る役目に就いたとして、僕に対するメリットは何だ。そして、国を守る役目につかなくて、何が悪い?そんなもん自由でしょ。」

全てここで言い切った。

「黙れ!」

「うわぁ!」

また殴られた。重症だというのに、そんなに力が残っているのか。舐めていてはいけないようだ。

「早く帰れよ。お前を潰すまで、俺は諦めないからな。」


全く、諦めの悪い奴だ。仕方がないので、ここは帰って、僕が軍勢を引き連れてもうう一回訪れることにしよう...そう決意したのであった。

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