第3話 天使現る
「おい、そこの君。」
急に大声で言われ、びっくりした。
「は、はいなんでしょう」
輪が頭に浮いていて、体ごと宙に浮いている。天使のようにも見えるが、雨の時につるされる、てるてる坊主とも似ている。
「僕はテル・テルボウズ。君、すごいオーラを放っているね。僕の国を守る役目をしてくれないかな。」
いやいや、そんなのいきなり言われても無理だわ。というか、こいつも僕くらいダサい名前だな。ここはダサい名前の生き物しかいないのか。
「無理です。僕は、それより特訓をしたいので。」
きっぱり言ったら、テル・テルボウズの雰囲気が変わった。
「それなら、死んでもらおうか。」
え!?たったそれだけのことで!?短気かよ!
僕は戸惑いを隠せなかった。しかし、ここで死んでしまったら世界を変えるという目標は達成できなくなる。
「落ち着いてください!」
「落ち着けない!」
そう言って、僕に光ったものを投げつけてきた。かなり痛かった。これまで「痛い」と感じたことはなかったので、初めての経験だった。
「ほう、まだ死なないんだね。」
こいつには正直、パンチだけでは勝てる気がしなかった。なので、最終手段として、前獲得したサカナクションというスキルを使う事にした。
『サカナクション』!!
ズドーン...
一瞬のことだった。テル・テルボウズはおもりに潰されたようだ。
スキル・サカナクションはとても強いことがこれで分かった。
どうも名前に納得はできないけど...
僕は陸に上がったばかりだったので、少し移動することにした。
ところどころに生えている木。あたり一面に生えている草、流れる水。とにかくここは自然に触れあえるようなところだった。いつまでもいられそうだ。
開けた場所に出た。どうやら、サバンナのようだ。
サバンナには動物がたくさんいた。しかし、こいつらは全員喋れる。おかしなものだな。
そこで象を見つけた。
「こんにちは。」
「ん?君誰?」
流石に急すぎたな。自己紹介したほうがよさそうだ。
「僕はオ・サカーナ。魚だ。」
「なんで魚が陸に...ってなんだその名前!」
象はツッコんできた。
まぁ、当然のことだろうな。オ・サカーナってそのまますぎるし、魚が陸にいるんだし...と、色々ツッコミどころがあるのは事実。
「僕は、世界を変えたいと思っています!」
辺り一帯が騒然とした。
「世界を変える...って...こいつ、ヤバい奴だ!」
やばい勘違いされてるー。どうしよう。
「あ、いや、違うんです!地球ぶち壊したいとかそういうことじゃなくて、みんなの平和を作りたいんだ。」
「平和?もうこの世界は平和だと思うけど。」
象はこの世界を平和だと思っていたようだ。
僕は戦いに絡まれたことがあった。まぁ、シャチとの戦いは僕が悪いとして。
あのテル・テルボウズと戦ったときは、理不尽な理由で戦いに巻き込まれた。
こういうのをなくしたいわけだ。
「いいや、平和じゃない。僕は戦いに巻き込まれたことがある。今日の話なんだけどね。」
「ほう?」
象はこの話に興味があるようだった。
ここで、僕はその"戦い"について詳しく話した。
「なるほどなー。そいつのことは知らないけど、仲間になってやるよ。」
なんと僕の意見を尊重してくれるのか。ありがたい。
「ありがとう。世界を変えていこう。」
こうして象が仲間に加わり世界を変える計画は進んだ。
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