第39話 戻って来た二人
俺たちは互いの能力値を確認した。ナビゲーターを介して確認する俺たち。先ずは俺。
名前:オッサン
性別:男
年齢:五十才
称号:
体力:458,900
魔力:218,600
武器:神魔斬、雷切断(+28,000)
防具:神糸の羽織袴(+19,500)
攻撃:79,700(+28,000)
防御:53,600(+19,500)
うん、我ながら頼もしい数値が並んでいるな…… じゃねぇっ!! 何だよ、【十回戦マスター】って称号は! この前確認した時には絶対に無かったぞ!?
それに【破滅級の絶倫】って!? これも無かったよな……
ミ、ミコトは大丈夫かな? 受け入れてくれるかな? どうだろうか…… そんな事を考えていたら二人が騒ぎ出す。
「なんなんっすか? このデタラメな能力値はっ!?」
「オッサン、人外になってますよ……」
カイリくんとショウくんが俺の能力値を確認してそう言ってくる。だが、二人とも優しいから称号については触れない…… その優しさが俺にはちょっと哀しいが。気を取り直してショウくんのを確認してみた。
名前:ショウ・ジンミョウジ
性別:男
年齢:二十才
称号:マリア命、マリアの虜、マリアなら妄想でも逝ける、マリアのストーカー
体力:198,700
魔力:567,800
武器:超魔杖(+9,000)
防具:魔陣ローブ(+6,000)
攻撃:28,055(+9,000)
防御:21,200(+6,000)
ウンウン、ショウくん、強くなったね……
じゃねぇーっ!! ショウくん、ヤバいよ、称号がっ!? 何故か遠い目をしながら必死に俺とカイリくんと目を合わそうとしないけど、もう遅いからな。まあ、確認は後にして次にカイリくんだ。
「シッ、ショウさん、その……」
カイリくんは口ごもり黙ってしまった。
「まっ、まあまあ、次はカイリくんのを確認しようじゃないか!」
俺は明るくそう言って提案した。
「そうすっね。強くなった自分を見て欲しいっす!!」
そして……
名前:カイリ・ハヤノ
性別:男
年齢:十八才
称号:っす野郎、サクラの尻に敷かれたい野郎、サクラに女王様をお願いしたい野郎、サクラにハイヒールで踏まれたい野郎
体力:280,000
魔力:90,000
武器:Xカリバー(+15,000)
防具:聖鎧(+16,000)
攻撃:54,100(+15,000)
防御:34,900(+16,000)
ほう、カイリくんは聖なる攻撃を覚えたんだな。帝王聖開術は少し気になるな…… 武器の名称にも引っ掛かりを覚えるけど……
もう、突っ込まないぞ。俺は自分や人の称号を見ても突っ込んだりはしないんだ。ほら、カイリくんだって涙目になって俺とショウくんを拝んでるじゃないか。ショウくんに至っては気絶しそうだ。
大丈夫だ、ショウくん、カイリくん。俺は誰にも言わないからな!
しかし、二人とも
ショウくんは
どんな修行をしたんだろうか? 俺は二人に聞いてみた。
「二人とも、そろそろ現実に戻ってきてくれ。一つ聞きたいんだけど、どんな世界に行って修行してきたんだ?」
先ずはカイリくんが答えてくれた。
「そうそう、それっす! 自分は勇者の楽園って呼ばれる世界に行ってたっす。最初はアーサー王と円卓の騎士たちに鍛えられたんすけど、まあその最初がかなりきつかったっす! 何かこっちに居ない魔物の相手をさせられたり、実際に模擬戦をしたりで、『弱い!』を連発されて…… あの頃は自分が弱くて何者にも勝てないって落ち込んでたっすね〜…… それでも鍛えて貰ってレベル100になった時に師匠が代わったっす。次に教えてくれた人はジークフリートって名乗ってたっす。その人がまあ強い! レベル100の自分の攻撃なんかカスリもしないんす! で、自分の体には師匠によって毎日斬り傷が増えていったっす」
そこで一旦言葉を止めて落ち込んだ様子になったカイリくん。よっぽどトラウマになったんだろうな。俺も禁忌の洞穴での自分の不甲斐なさに嫌気がさしてたしなぁ。しかし、カイリくんはまた話を始めた。
「でも、自分は諦めなかったっす。ジークフリート師匠に遂に一本を入れた時には小躍りしてしまったっす!! その後に五本まとめて取られたっすけど…… 二年学んでジークフリート師匠に勝てるようになったら今度はヘラクレスって人が師匠になったっす! この師匠には苦労したっす…… 教えるのが下手すぎて。いわゆる天才なんでしょうけど、感覚で伝えてくるんす。『そこはもっとこうバーンと力を入れて』なんて言われても分からなかったっす…… それでも五年、食らいついて修行してたら気がついたらヘラクレス師匠に勝てるようになってったっす。そしたら、ヘラクレス師匠がもう大丈夫だって言って、向こうでも自分に勝てる者はそうそう居ないだろうって仰って。ろくに別れも言えないまま、こっちに戻って来たっす…… 最後に他の師匠方にも感謝の気持ちをちゃんと伝えたかったすね……」
ふえー、英雄と呼ばれる人物たちに修行してもらったのか、カイリくんは。そりゃ
「それで、カイリくん、その剣はどうしたんだ?」
「ああ、この剣はマーリンっていうお爺さんが鎧と一緒にくれたっす。とてもいい剣なんすよ。魔竜も一刀両断出来たっす!」
マーリンさんもやっぱり居たのか。そりゃ、まあ居るよな、アーサー王の近くに。そう思ったら、ショウくんが話に入ってきた。
「何っ!? カイリもマーリン師匠に出会っていたのか?」
「あ、やっぱりショウさんの事だったんすね。マーリンさんが今はとても優秀な弟子を育てているって言ってたのは」
ほう? 二人は同じ世界に居たのか?
『いいえ、違います、マスター。お二人は違う世界に居ました。が、マーリンは時空間魔法の使い手でもありますので、別の次元世界にも行けるのです。そこで、ショウさんの最後の師匠に選ばれました』
なるほどな。そういう事だったんだ。
「マーリン師匠がそんな風に俺の事を言ってくれていたのか……」
「ええ、恐らくは近い将来に自分を超えるだろうって言ってたっすよ」
カイリくんがそう言うとショウくんの目から涙があふれた。
「師匠!! 有難うございます! 俺は師匠のおかげで全てを理解するに至りました! けれどもコレに
ショウくんも良い師匠に恵まれたんだな。落ち着いたショウくんから話を聞いてみた。
「俺の最初の師匠は、キルケーという名の女性だった。その師匠からは俺の知らなかった多彩な魔法、魔術を教わったんだ。それこそ、錬金術の範囲だと思われる事も含めて。キルケー師匠曰く、『魔力を行使する行為は全て、魔術師、魔導師の範囲に含まれるのよ』って言葉は今も忘れてない。キルケー師匠の元で三年間、修行をして、次に俺の師匠になってくれたのはソロモン師匠だった。ソロモン師匠からは使い魔や、この世界では禁忌と呼ばれる魔法を教わったよ。二年間、学んだ。そして、俺のレベルも250になっていた。ソロモン師匠から教える事は何も無くなったと言われ、紹介されたのがマーリン師匠だった。マーリン師匠は厳しい方だった…… 俺が時空間魔法を使えると知るや、時空の狭間にいきなり放り出して、そこから抜け出してみよって言われてな…… そこから抜けるのに一年間を無駄にしてしまったよ…… いや、無駄では無かったんだがな。お陰で俺はマーリン師匠の時空間魔法を全て受け継ぐ事が出来たから。五年、マーリン師匠に修行してもらい、俺はここに戻って来たんだ」
二人ともに頑張ったんだな。これならば俺が邪神の相手をしなくても大丈夫じゃね?
『いえ、マスター。ウ・ルセーヤ国の邪神はかなりの力を蓄えています。ショウさんとカイリさんの二人がかりでもまだ危ういでしょう』
どんだけ強いんだよ、ソイツ。俺は神殺しの称号は要らないんだけどなぁ……
『マスター…… 勝つ気でいる所に悪いのですが、マスターでも良くて相打ちですよ? 何気に自分は死なないって思ってるようなので、老婆心ながらお教えしておきますね』
【お教えしておきますね】っじゃねぇ! それじゃ、俺のスローライフ目標が達成出来ないじゃねぇか!!
『ええ、ですので死ぬ気で戦って下さいね』
もう、邪神の影響が及ばない他国に行こうかなぁ……
『そんな国はこの世界にはありませんが?』
畜生! 詰んでるな、俺!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます