第36話 アナイアレイター始動準備!
公爵様の執務室にはちょうど男性陣が揃って談笑していたので、さきほどナビゲーターから聞いた話をする。
「スティーブ様、」
俺は公爵様も名前呼びに変更したのだが、そこでモアル様から待ったがかかった。
「ちょっと待つのだ、オッサン殿」
「へ? 何でしょうモアル様?」
俺の間抜けな問いかけにモアル様が
「曲がりなりにもオッサン殿はメゾーン・イチ国、総騎士団長である私に勝ったのだ。ならば私よりも格が上なのは当たり前だ。これからは我らを呼ぶ時に【様】をつけるような事は止めて貰いたい。呼び捨てか、もしくは殿とつけて呼んでもらわねばならぬ。また、私やスティーブの息子などはオッサン殿に比べれば若輩者だ。息子たちに関しては必ず呼び捨てするようにしていただこう!」
していただこう! じゃ無いですよ、モアル様! こちとら一般庶民ですから王族やお貴族様を呼び捨てとか殿をつけて呼ぶとか無理ですからっ!!
『小市民ですね、マスター。でも受け入れないと話が進みませんよ』
クッ、しかしだな……
『いいから、ほら呼んでみましょう! スティーブンソンと!』
呼び捨てもハードル高いのに違う名前で呼べるかっ!!
「分かりました…… モアルさん? 【さん】で許して下さい。それと、ご子息たちはショウくんやカイリくんと同じく【くん】をつけさせて貰います。これはモアルさんに勝った俺の権利として主張させて貰います」
俺の返事にモアルさんはムーッと納得出来かねるように唸ったが、スティーブさんが取りなしてくれた。
「
「フム、仕方ないか…… 分かった、オッサン殿。そのようにしてくれ」
「はい、そうさせて貰いますね。『ホッとしたよ……』それでですね、スティーブさん実はある筋から情報が入りまして。あっ、情報の出処は俺のスキルに関する事になるので秘匿させて下さいね。明後日頃にこの領地近くまでオークやミノタウロスが群れをなして処刑の森から飛び出して来るそうなんです。で、数が多いのでもちろん俺たちも
「なっ、何っ!! オークやミノタウロスがっ!? ならば一大事ではないか! 直ぐに騎士団を編成して、」
慌てたように言うスティーブさんにメドシくんが待ったをかける。
「叔父上、待って下さい。オッサン様、何かしらの勝算があるからそう仰っているのでしょう?」
「うん、そうなんだよ、メドシくん。あのバイクという乗り物なんだけど、基本は俺が作ったんだよ。で、その基本形態だけでもオークキングぐらいなら跳ね飛ばしてしまうんだけど、ミコトが
俺の返事にメドシくんは頷き、テラスくんも目を輝かせる。
「父上、母上たちに頑張って貰いましょう! 私も久しくミノタウロスは食べていません!」
おっ! テラスくんは若いだけあってお肉が好きなんだな。
「ムウ〜、だが、もしもの事があった場合はどうするのだ?」
スティーブさんがそう言うので、
「その為に俺やショウくん、カイリくんが目を光らせます」
と答えた。まあ、もしもの事が今回は殲滅が楽しくなった
「オッサン、まさかとは思うけどナツキやサクラ、マリアまで入ってるのか?」
あ、ショウくんは知らなかったのか?
「うん、何故か三人ともズルズルと
「マジっすか!? サクラちゃんまで……」
カイリくんも呆れたように声を出した。ゴメンよ、カイリくん。俺にはとても止める勇気が無かったんだ……
「相分かった! ならば私とスティーブも同行しよう。メドシとテラスは領地に残り警戒を怠らぬようにするのだ! 子供たちも、もちろん残すのでな」
「「はい、父上(伯父上)!!」」
「ルーも頼むぞ!」
「任せてちょうだい! 旦那様! 私の目の黒いうちには何者の侵入も許さないわっ!」
よし、これで男性陣は良しだ。今晩、ミコトと話をしておかないとな。
その夜、
「まあ! ○○○、本当にっ!!
そう言うとミコトは一回戦で寝てしまった…… も、もう一回戦したかったけど、俺はグッと我慢する事にしたのだった…… 鎮まるんだ、俺の
翌朝、しかも早朝五時にミコトは起き出して、いつの間に作ったのか、
「緊急連絡!!
そうミコトが言うとミコトの手に持つスマホ擬きから、
「イエス! マイマムッ!!」
という返事が揃って聞こえた…… どこの
「遅くなってゴメンなさい、オッさん。コレでいつでも連絡出来ますから。ミランダちゃんから公爵様にも昨日のうちに渡してる筈です。それと、ショウくんたちと、アユミちゃんたちにも渡してあるから」
うん、俺の妻は出来る女性だ。でも、電波も無いのにどうやってるんだ?
「ウフフ、企業秘密よ。コレを商業ギルドに登録して、販売するつもりなの。って言っても最初は高く設定しておいて、貴族相手に売るつもりなの。後は裕福な商人にも。普及してきたら安価版を作って庶民用に販売しようと考えてるの。良いかな?」
「それは構わないけど、金額は?」
「貴族や商人用のは金貨二枚(二千万円)で考えてる。普及してきてから出す予定の安価版の庶民用のは銀貨一枚(十万円)でと思ってるの」
ふむ、まあそんなものか。高いスマホだと十万円を超えてるのもあったしな。俺はミコトに良いと思うよと返事をしておいた。けど、本当にどうやって相手を認識して繋がるようになってるんだろう?不思議だ。
そうこうしていたら
「教官! 全員揃いました!」
ミランダさんがサブリーダーなのかな? 代表してそう報告してきた。ミコトはウンと頷いてから、
「みんなに報せることがあるの。明日、処刑の森方面からオークとミノタウロスがこの領地に向かってくるわ。私たちはそれらを殲滅して、【肉】の確保をするわよ!! 作戦の詳細は後ほど教習所の方で話すわ。それと、ミランダのご主人、モアル様、ショウくんとカイリくん、私の旦那様がご同行くださるわ。無様な殲滅をみせないように!!」
「イエス、マイマムッ!!」
うん、皆さんドレス姿なのに勇ましいね…… 何となく彼女たちのご主人たちに悪いコトを教えたような罪悪感が俺に芽生えてくるけど、必死に打ち消した。なるべくして成ったのだと……
「それでは、今から朝食を食べて十五分以内に教習所に集合よ!」
「イエス、マイマムッ!!」
走って部屋を出ていく彼女たちを見ながら俺は彼女たちの子供の将来も少し不安になるのだった……
さてと、それでは俺も一人で作戦を考えておこうかな。いや、一人じゃないな。超優秀なナビゲーター様と一緒に考えてみよう。
『
何か絶対に今俺のことを馬鹿にしたよな!
『さあ、話合いを開始しましょう! 食欲に支配された女性陣はおいてといて、さあ、さあ!!』
分かったよ……
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