第30話 職、商は使える?
俺は
『もちろん、江戸時代の商人ですよ、マスター。それも初期装備ですから丁稚さん仕様です』
要らねえ…… その設定……
取りあえず初期装備は装備しない事にした。俺は
悩みに悩んで背広姿になったのはご愛嬌だ。
名前:オッサン
性別:男
年齢:五十才
称号:
体力:3,720
魔力:8,680
武器:神秘の電卓(+400)
防具:闘うスーツ(+280)
攻撃:1,870(+400)
防御:1,695(+280)
うん、専用武器が電卓って…… 何が出来るんだ。無駄に+値も高いけど?
『マスター、神秘の電卓は数字を打ち込めばその数値のダメージを相手に与える事が可能です。素早く打てるように練習しておいて下さい』
何そのチートな武器は? ヤバいじゃないか。ってか商人最強じゃないのか?
『残念ながら広範囲攻撃は出来ませんので、そういう意味では最強ではありません』
ああ、一対一なら最強と言うことか。
『しかし、【超】優秀なナビゲーターである私がマスターに裏技を伝授しましょう!! その耳垢の詰まった耳をかっぽっじってよーく聞いて下さいね!』
耳掃除は昨夜、ミコトが膝枕でやってくれたからねぇよ!!
『お
何で俺が怒られてるんだ…… 理不尽極まりないな、ナビゲーターよ。
『さて、それでは裏技です。マスター、今までに何度も言ってきましたが、他の職のスキルも使用できる事を忘れていませんか? 例えば武士の【風斬り】だと前方の目に見える範囲の敵に斬撃を飛ばしますよね。それは神秘の電卓でも可能なんです! コレで私の言いたい事は、いくらマスターが寄る年波で頭の回転が鈍くなっているとはいえ、分かりますよね?』
クッ、ぜーったいにいつか一発で殴るっ!!
けれどもナビゲーターの言ってる意味はよく分かった。そうか、違う職のスキルを併用すれば良いのか。やっぱり商人最強じゃね?
『はい!
でも、それなら1,000,000とか打ち込めばいけるんじゃね?
『マスター、神秘の電卓を良く見て下さい。一度も使用された事のない神秘の電卓は今の所、最大万の位までしか打ち込めません。更にはゾロ目の数字も打ち込めませんので。使用回数を増やせば電卓自体が成長し、打ち込める最大数も増えますが、十万の位を打ち込めるようになるまでには五千回の使用が必要になります』
ああ…… 俺のチート武器と思ったさっきまでの考えよ、さらば…… やっぱり何かしらの制限はあるよな。
あ、もう一つ、いや二つ気になる事があるぞ、ナビゲーター。
『何でしょうか、マスター?』
スキルの商人レベルってなに?
『商人としての経験を積んでいけば上がる商人レベルは上げていく事によって他のスキルの熟練度も上がっていきます。但し、熟練度は数値化されてませんので能力値を見ても分かりません。それでも上がった実感は次第に分かるようになると思います』
なるほど。つまりコレもスキルではあるけど、隠れレベルでもあるんだな。
『その認識で間違いありません』
ふむふむ、それなりに使えそうだな、商人。戦闘もそこそこ出来て、アイテムボックスもあって、交渉があるから自分に有利なように話もできやすい。うん、暫くは商人でいて商人レベルを上げるとしよう。これで、一応は全ての職になったな。
『マスター、職、
おう、そうだな。ナビゲーターもたまにはまともな事を言う。
『私はいつもまともな事しか言っておりませんが?』
自覚がない奴に何を言っても無駄だよな……
『それで、一つ聞いてもう一つを忘れる
あ、そうだった…… クソッ言い返せねぇ。
眷族召喚って何?
『言葉通りですが。マスターの眷族を召喚出来ます。今は一つだけですけどね』
うぇ!? 俺って眷族が居るのか? 知らないぞ。
『試しに呼んでみてはいかがでしょうか? それで分かると思いますよ』
それもそうか。【眷族召喚!】
現れたのは…… 何コレ? 腕なんだけど?
『マスターがアユミさん、キョウカさん、トオルさんの三人を救出した時に現れた、あの少年の斬り飛ばした右腕ですよ。立派な眷族になりました!』
なりました! じゃねぇ! 何で腕だけで動いてるんだ? それに眷族にした覚えもねぇぞ!
『いえ、斬り飛ばした時点で既に眷族化は終了しております。それにこの腕はかなり役に立つと思いますよ。あの少年は中々の実力でしたしね』
確かに強かったけど、腕だけで何が出来るんだ?
『もちろん、敵を攻撃も出来ますし、素材の採取、魔物の解体など何でもござれのスグレモノです、良かったですね、マスター』
はあ〜…… うん取りあえず召喚取り消し。封印だな。
『ええっ!? 封印するんですか。何ともったいない。せっかくの眷族ですのに』
俺にはゴーレムたちが居るからいいよ。
『ああ、ゴーレムの一体にあの眷族を召喚すると良いですよ。あの少年よりは少し落ちますが、それなりの強さのゴーレムになります』
おお、それならそうしよう。肘から下の右腕だけがあちこち飛び回るのはさすがに周りから引かれてしまうと思うからな。
『それでも、鉱石ゴーレムにあの腕は合いませんから、肉ゴーレムを新たに作る事をオススメします』
それもそうだな。でも肉ゴーレムって言い方しか無いのか。
『それでは
生肉でフレッシュね…… ま、まあ肉ゴーレムって言い方が一般的ならやっぱり肉ゴーレムって言うようにするよ。地球から来た人たちには引かれるかも知れないがそこは説明して納得してもらおう。何せ今の俺には交渉があるからな。
『それが良いでしょう、ではマスター、いよいよ本番ですよ。先ずは難易度の低い
おい! 俺の妻をへんたい呼ばわりするなっ!!
『いえ、私は称号でお呼びしただけで他意はありません。マスターが意識し過ぎなのでは?』
そんな訳あるかーっ! 絶対に分かって言ってるよな。
『ふう〜、さすがは商人…… ごまかしが効きませんでしたか』
コイツ…… 本当にナビゲーターじゃなかったら殴ってるんだが…… 神様、仏様、いつか俺にコイツを殴らせて下さい。
そんな事を思いながら俺はミコトとの部屋にノックをして返事を確認して入った。さあ、ミコトを説得してみよう。
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