第20話 鬼教官レベルアップす!
カイリくんも十分に休息をとり、その日の夕食ではカイリくん節が炸裂してみんなが笑顔になっていた。まあちょっと口が悪いトコはあるけど、カイリくんも明るく、いい青年だ。
そして、この二日ほどショウくんやサクラちゃん、ナツキちゃんと模擬戦などをしながら連携の確認なんかもしているようだ。
そんな中、俺は気になっていた事をしっかりと確認していた。そう、ミコトさんの
そんなミコトさんの能力値が明らかに変化してるんだ。変化前の能力値がコレだ。
名前:ミコト・カツラギ
性別:女
年齢:二十四才
称号:
体力:325
魔力:310
武器:ドイツ製牛刀【神砥ぎ】(+130)
防具:ライダースーツ一式、エプロン(+85)
攻撃:150(+130)
防御:105(+85)
で、変化した後がコレだ。
名前:ミコト・カツラギ
性別:女
年齢:二十四才
称号:
体力:605
魔力:560
武器:ドイツ製牛刀【神砥ぎ】(+130)
防具:ライダースーツ一式、エプロン(+85)
攻撃:225(+130)
防御:165(+85)
【鬼教官】体力と魔力に補正がつく
称号に【鬼教官】が増えてるし、体力と魔力が増えてるし……
って、ひょっとして公爵様の奥様も? 公爵様に言って奥様の能力値を確認できるならしてみて貰わないと。但し俺はその結果を聞かないようにしておこう。
しかしミコトさん、実は公爵様の料理人にも料理指導をしてるそうなんだよな。今まで料理長だとふんぞり返ってたオジサンがミコトさんを
『ミコトさんの料理は美味しいらしいですから、この屋敷から町に広がっていくと領都の名物料理が増える事でしょうね』
ナビゲーターが俺にそう語りかけてきた。そうなんだよなぁ。公爵様のご好意で屋敷に滞在させて貰ってるし、公爵様のご家族も良い方ばかりだから、後顧の憂いをなくしてからこの国を出たいよなぁ。
『それは無理ですね。いっそのこと公爵家の領都を拠点にしてウ・ルセーヤ国の王家と対峙してはいかがでしょうか? 邪神は王家を潰せば出てきますよ?』
って、邪神の相手を俺にしろっていうのか、ナビゲーターよ!? 無理無理無理無理っ!! オッサンは邪神とはいえ神様に喧嘩を売るつもりは無い!
『マスター、後顧の憂いを断つのであれば対決は避けられませんが?』
いや、そこはお話合いで何とか出来ないかなぁ…… なんて。
『無理ですね……』
だよなぁ。どうしようかな? まあ、まだ少しは時間に余裕があるだろうし、もう少し考えてみよう。
『逃避しましたね、マスター』
違うぞ、戦略を考慮するんだぞ。あ、そう言えばナビゲーターの事はショウくんたちには言ってないけど、このままの方が良いか?
『そうですね、このままでお願いします。ミコトさんにもユウさんにもレンさんにもお願いしてありますので』
そうか。でも何でだ?
『理由はそのうちに分かりますよ、マスター。まだ私の存在は秘匿しておいて下さい』
うーん、分かったよ。それよりも刀を打つかぁ。渾身の刀を!!
『厳密に言えば魔力でゴリ押しして作るので打つとは言えませんけどね……』
良いんだよ、そこは! 少しでも刀鍛冶になった気分を持たせてくれよ! 俺はナビゲーターに文句を言いながらも
大刀【神魔斬】
小刀【雷切断】
『おお! マスター、やりましたね。神も魔も斬る大刀に
だから、神様には喧嘩を売らないし、斬る予定も無いの。
『フッ、いつまでその強がりを言えるか……』
ナビゲーターよ、お前はどこぞの悪役か? その台詞は悪役が言うもんだぞ。
『まあ、良いでしょう。それよりもミコトさんに砥いで貰いましょう。善は急げです、マスター』
コイツの切り替えの早さにはついて行けないな……
『オッサンだからしょうがないですね』
無視だ、無視! 俺はミコトさんを探しに出かけた。
「違うでしょう! ブッフェ! そこはもっと手首を柔らかく使って混ぜないと!!」
「イエスサー!
ああ、いたいた。【元】料理長と料理をしてるみたいだ。
「ミコトさーん、忙しいところ悪いけどちょっと良いかなぁ?」
俺はミコトさんに声をかける。振り返り俺を見たミコトさんは笑顔で返事をしてくれた。
「はい、オッさん。大丈夫ですよ。どうかしましたか?」
「うん、この大小の二振りを砥いで欲しいんだけど、大丈夫かな?」
俺はアイテムボックスから【神魔斬】と【雷切断】を取り出してミコトさんに見せた。
「まあ! まあまあ!! 凄い刀ですね!? コレは…… ちょっとお時間をいただけますか? 私の方でも最高の砥石を準備してから取り掛かりたいと思いますので。そうですね…… 二時間ほど後に取りに来て下さい」
ちょっとお時間をって言われたからニ〜三日は覚悟したけどまさかの二時間後。もちろん俺は了承した。
「う、うん。そんなに早く出来るんだね。もちろん、それで大丈夫だから。よろしくお願いします」
俺はそう言って調理場を後にした。その後、勉強をしているユウとレンの様子を見て、サクラちゃんとナツキちゃんの模擬戦の様子も見させて貰った。サクラちゃんは純粋な戦闘職ではないけど、ナツキちゃんから手解きを受けているそうだ。
俺にも模擬戦をって言ってきたけど、遠慮しておいた。自信を喪失させたら可哀想だからね。
そして、刀を渡して二時間を少し過ぎた頃に調理場に向うと、【元】料理長が真っ青な顔でミコトさんを見ていた。
ああ、【アレ】を見てしまったのか…… 俺は【元】料理長に同情した。
【アレ】
『ウフフフ、包丁砥ごうか、魔物狩って食おうか、包丁砥ごうか、魔獣狩って食おうか…… ウフフフ』
きっと【元】料理長は今夜は一人でトイレに行けないだろうな…… 俺のそんな内心を知らずににこやかに俺に大小を差し出すミコトさん。
「オッさん、私、やりました! 過去一番の砥ぎが出来たと自負していますっ!!」
おお! それは期待出来そうだな! 言外に褒めてと言ってるように思えたので、俺は先ずは物を確認させてもらった。鞘から大刀を抜いてみる。
大刀【神魔斬】超神砥ぎ(+500)
いや、
俺は大刀を鞘におさめ、小刀を鞘から抜いてみた。
小刀【雷切断】超神砥ぎ(+350)
はい、もう絶対に刃物を砥ぐのはミコトさんにお願いします! 俺は小刀も鞘におさめてニッコリと笑ってミコトさんに言った。
「有難う、ミコトさん。最高だよっ!!」
俺の言葉と笑顔にミコトさんの顔もほころんだ。
「良かった! ちゃんと出来てる自信はあったんですけど、やっぱり確認してもらうまでは不安でしたから……『コレで得点ゲットだわっ! ロリッ娘や美少女が増えて焦ったけど、もうオッさんは私の
何やらミコトさんの心の声が聞こえてきそうだけど、そこはオッサンスキル【スルー】を発揮しておく。
『良かったですね、マスター。コレで悪い奴らをバッタバッタと斬り放題です! 先ずは円○殺法の習得からですね!』
オイッ! それは不味いぞ! 著作権に触れるかも知れないから出すな! 眠狂○郎様が怒って出てくるぞ。
『大丈夫ですよ、マスター。ちゃんと伏せ字にしてあります!』
誰に配慮したんだ? まあ、それなら良いか。しかし、そうだな。俺も必殺剣の一つぐらいは編み出したいな。
『フフフ、一つと言わず最低でも五つは覚えていただきますからね、マスター。私の持てる時代劇知識を総動員してコレはと思うものを再現していただきます。ああ! 楽しみだっ!!』
ここにも鬼教官が居た……
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