第六十九話

 ぼやけた光景が、ゆっくりと、鮮明になっていく。


 天井に、蛍光灯が並んでいる。

窓からは、明るい空が見える。

躰はベッドの上。


 どうやら此処は、寮らしい。

躰にはまだ相当な疲労と痛みが残っているが、相当眠っていた様な感覚を覚える。

腕に機械は着いておらず、星マークが五つになっていた。


 約八十五時間に及ぶ最終関門が、終わった。

達成感が蘇る。

チェスと戦国武将の知識を叩き込んでくれた廣哉と、犬の知識を叩き込んでくれた河嶋と、世界遺産の知識を叩き込んでくれた架乃子のお陰で、最終関門をクリアする事が出来た。


 五二〇〇万分の一。


 全ての試験を、クリアした。


 廣哉を、《天国》に連れて行ける。


 やったぞ、廣哉……。


 それから、どしんとした眠気が降り掛かった。

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