第二十一話

 赤ロボットが土手を歩いているのが、橋の下から見えた。

急いで土手へ回り、茂みに身を潜めるようとしたが、赤ロボットは走り始めた。


 赤ロボットが向かう方向へ先回りして土手へ降りると、赤ロボットは川の方に方向転換した。


 石段を降り、躊躇なく川を渡っていく姿を追い掛ける。

冷たい水が、一気にふくらはぎを覆う。


 赤ロボットは走りずらい状況にも関わらず、これまでとほぼ変らない速度で向こうの石段に向かっている。


 俺はバランスを崩し、川に倒れながらも、赤ロボットの足を掴んだ。

それにはもがく様に、ぐぐぐっと力が込められている。


 離すかよ……。

赤ロボットの足にしがみ付きながら、タッチパネルに手を伸ばす。

そして、〝シューン〟という音と共に動かなくなった赤ロボットは横に倒れ、しぶきを上げて川の中に落ちた。

赤ロボットは、残り二体。

腕の機械は、防水らしい。

びしょ濡れになった靴に不快感を覚えながら、ワイシャツを絞る。

その時、十数メートル先の角から赤ロボットが現れ、走り出した。


 必死に追い掛けていると、住宅地を真っ直ぐ走る赤ロボットが通過した丁字路の角から、青ロボットが現れた。


 赤ロボットと同じ方向に走り出そうとしたその躰を掴んだ。

そして、タッチパネルに手を当てた。

これで、青ロボットは全滅か。


 すぐに、赤ロボットを追い掛ける。

必死に追い掛ける。

赤ロボットは次々と角を曲がっていく。

何とか距離は、少しずつ縮んでいく。

そして、アパートの建つ角を曲がろうとした赤ロボットに向かって、飛び蹴りをした。

アスファルトに叩き付けられ、もがくその躰のタッチパネルに手を伸ばす。

赤ロボットは、残り一体。

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