第4話 ヒナコ・カザミ少佐のいいわけ



 ボス…ご無沙汰?


 久しぶり、ボスがこのビデオレター観ているとしたら…あんたは律儀なクソ真面目ちゃんか?


 私、風見日向子は、少なくとも今日までは生きている。


 私が生きた証がここにある…それがいつまでかはわからないけど…ボス、私のワガママ、聞いてくれてありがとう。


 私はもう…戻れなくなった。ボスがあれだけ私の社会復帰に尽力してくれた…にも関わらす、私は戦地、前線での出来事がフラッシュバックして眠りに着くのが怖いんだ…ふふっ、ボス、貴女に抱かれて眠れた時だけ、その時だけは幸せだったよ。


 まるで母親のように私を抱き締めてくれた貴女の優しさ、慈しみに救われた…けど、私は駄目だった…忘れられないんだ。

私のせいでナギが…カスガが…ごめんなさい、貴女が赦すと言ってくれても、私は自分自身を赦す事が出来ないんだ…ごめんなさい、私の事はそっと思い出の中にしまってくれ…。


 ボス、もう一つ、私のワガママを聞いてくれないか?

貴女の答えは私の知る由もない、性格悪いけど真面目ちゃんなら最後まで聞いてくれるよな?


 ふふっ、私のワガママ、いいわけかもしれないけれど、貴女にはもっと幸せになって欲しい…そう言ったら押し付けがましいお節介かな?


 師匠、カスガとはどう? 上手くいってる?


 彼…過去の記憶が朧気、遠い日の陽炎は消えてしまった、ボスの知るカスガじゃないかもしれない…けど、相変わらずボス好みのいい男…それは私が保証するよ。


 私とナギが保証しているんだ、ボス…いい加減観念しな?


 貴女は遠い日の陽炎を忘れていないだろ?


 壊滅的に男運の無いボスを幸せに出来る、そんな唯一無二の男だぞ?…私は師匠、カスガと別れたからさ、彼を幸せに出来るのは貴女だけ…悔しいけど私は貴女に譲ったようなものだからさ、いいから受けとれよな?


 さて、私の言いたいこと、いいわけは以上だ。それじゃボス、お幸せに…愛してる───。

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