第2話 ジェニファー・S=サマーフィールド上等兵の"いいわけ"




 人生で後悔したこと?


 そんなのいっぱいあるわよ。私は貧困家庭出身だったから、不自由する事も多かったわ。


 私のためにママが頑張って働いて、女手一つで育ててくれたおかげでね、ハイスクールに通えたわ。本当に感謝している…けど、これ以上ママに無理させたくなかった。


 だから私はレザーネックに志願したの。

訓練はキツいけど、衣食住には困らないわ。

空き時間に勉強出来て、給料も出るから仕送りで楽させてあげられる。


 名誉除隊すれば国からの保障も受けられる。私ね、将来退役したら神学校に通って、聖職者になって恵まれない人達を救うのが夢なの。その為に訓練、任務をこなす合間に頑張って勉強しているわ。


 私の所属する部隊の人達も、ちょっと変わっているけど…いい人達よ?


 だから大丈夫、ママは心配しないでね?


 …私にもしもの事があった時…ママは悲しむかもしれないけど…遺族年金が出るから少しは楽させてあげられるわ…。


 もしも、その時が訪れたら…私は国のために戦った名誉ある兵士として、英雄になった娘の事をママは誇りに思ってほしい。


 ママ、私の事は心配しないで?


 私は大丈夫だから。例え戦地に赴いても信じる者は救いを求めるだけ、神様はいない…なんて、信仰が揺らぐ事もあるけど、それでも私は生き延びて、救いの手を差し伸べるんだ!…そう言い聞かせて前へ進むわよ。


 私にだって信じるものがあるの…いつだって神様は見ている。応えないなんてことはないわ。私に出来ることを全うする…ただ、それだけよ。


 ママ、愛してる。


 …そうだ、今度ママに紹介したい人がいるの!


 私が初めて戦地に赴いた時に出会った、ジャパニーズのキャプテン…彼は私に戦地の現実を叩きつけた…けど、私の矜持を、信じるものを、何よりも私の事を…誰よりも尊重してくれる、とても素敵な人よ?


 …その代わり、少しだけ…"いいわけ"すると、神様には悪いことしたかもね?

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