Ⅱ
「冷やしたタオルお持ちしますねぇ。少々お待ち下さぁい」
ティナリアが泣き止んだのを見計らって、レネが出ていく。
「本当に、レネが……」
ティナリアはハッとした。
………レネが生きていて、火事でなくなったはずの邸もなんともない…。まさか……時間が、巻き戻っている?
さすがにないだろう、とは思う。けれど、そうでなければ今の状況が説明できない。
そういえば、と思い、ティナリアは全身が映る鏡の前に立つ。
予想通り、と言うべきか。やはり身体は小さくなっていた。
………今の私は、何歳なのだろう。レネが戻ってきたら聞いてみようかな。
ぐぅ〜〜
「……そういえば、朝食を食べていなかったわね…」
誰もいないのがせめてもの救いだ。恥ずかしすぎる。
「あらぁ?随分と大きいお腹の虫ですねぇ〜」
「レ、レネ!?」
レネはクスクス笑っている。
「聞いていたのね…!」
ティナリアの頬が赤らむ。
「怒らないでくださいよぉ、不可抗力です。それよりも、朝食お持ちしましょうかぁ?」
………そうしてもらえたら、助かるけれど…
「お父様がいるでしょう?…ダイニングに行くわ。支度をお願い」
「あぁ〜。………旦那様も難儀ですねぇ。」
「?レネ、何か言った?」
「いいえ〜何もぉ。ささ、早く支度しちゃいましょぉ」
あ、先に目を冷やしてくださいねぇ、と濡れたタオルを渡す。
「そういえばレネ、私は何歳で、今はいつなのかしら?」
「……侍医を呼んで来ますので少々お待ちをぉ」
「頭を打ったわけではないわよ?!」
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