9-2 砕け波の恋物語 弐
ブー……ブー……ブー
ある冬の朝、
――メッセージアプリを開く。
『受かったよ』の5文字とVサインの絵文字。
「…………!」
声を出さないように大きなガッツポーズをする。
後から何か言われても嫌なので、2人は試験前のひと月は連絡を取っていなかった。
『おめでとう! お祝いしよう!』と
『うわっ! なにこれ!』と大笑いの絵文字が返ってきて、改めて幸せを痛感した。
◆◆◆◆◆◆
桜が満開になった
「はい、これ。私の部屋のカギ」
「お、おおおおお! これが、伝説の……合鍵」
「伝説? 何言ってんの」
「ありがとうございます。大切にします」
「大切にしないで、たくさん使って欲しいけど」
「……へへへ」
「私にもちょうだいよ。なゆん
「へへへへ……うへへへへへ……あ、勿論ですよ! こちら、お納め下さい」
「なんか変な言葉使いになってるけど。ありがと。あ、あー……今、私、もしかしたらめちゃくちゃ平然としてるかも知れないけど――心臓爆発しそうなくらい嬉しい」
「平然と? してないよ。
腕を伸ばして、人差し指を突き出し、
「痛いって、もう」
「……じゃあ……今日はさ、どっちにする?」
距離という障害が無くなった2人を止めるものはもう無く、堰を切ったように愛し合った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます