8-4 あの日、混沌の中で
「『
その中で目に付いたのは『
『第三者が発動した
緻密に綿密――ひと目見て、これは真似出来ないと思った。
しかしそれ以上に
ライブラリーで閲覧できる
こういう違和感をほっとけない
その結果、
そしてその
その頃から
その興味は今、少し形を変えているようだが。
「あの時、
伏し目がちの
言っている意味がわからないという意思表示をするのにこれ以上無い表情だ。
「元々? まるで所有者が変わったような……えーっと、ちょっと待って下さいね……なんか混乱してきました」
両手の人差し指をこめかみに押し当てて、ぐりぐりっとしている。
痛みで情報を整えているのだろうか。あるいは、ショートしないように抑えているのか。
「い、一旦、『
クルクルとコップを回して、中に入った珈琲に渦を作るようにして、
より精度を高めよう、より効果を上げよう、より範囲を広げようと開発を続けていると、ふとした瞬間に暴走が起きてしまう。
演算がループ構造になってしまったり、多重発動状態になってしまったりして、開発者の意図しない効果や威力が生まれてしまうことがある。
こうなったら
「――俺らが駆け付けた時には、
「……そ、そんなことあるんですね……暴走ではなく、異常暴走と言ったのはそういうことでしたか」
「少しでも気を緩めれば、下之宮市が丸ごと消し飛んでしまうような――そんなエネルギーがホール内に渦巻いていた。それを
「……」
不意に下の名前で呼んだことを、
それは
少しだけ、グッと唇を噛んで、そしてそのまま別の質問を口にする。
「防御系の
「
「最適化……」
自分に取って不都合なことが無い、あるいは起きない理想的な世界へ――今の世界を再構築する。
原因は定かではなないが、何かが切っ掛けで異常暴走した
もしかしたら『神』の領域に足を踏み入れようとしていたのかも知れない。
「そんなの……
ふうっと息を吐いて、
「
「で、でも……少なくとも
「単一
「え……あります……でも、それって」
「机上の空論――と、されていた」
『単一
前者は
後者に関しては、研究すらされていない。理論上可能であっても、客観的には不可能だからだ。
「発動状態にある
「ちょっと考えたらすぐに『ムリだろこれ!』ってなりますよね……って、ちょっと待って下さい……まさかそれをやったんですか?」
「そう。到着した23人全員の演算能力を使って、『
なんでわざわざそんな危険に飛び込むようなことを、という表情をしている
「ホール内に足を踏み入れた時点で、俺らも
そのままでは
前代未聞の危機を凌ぐ為に打ち出された、ウルトラC。その発案者は――
「共同演算作戦は、
「
「アイツは、人格的にはちょっとアレだけど、戦略的な思考はずば抜けている」
極端な思想を持つ
だからこそ、『あの時、失敗したのは自分だ』と
「一切の前例がない共同演算……しかも20人以上の。その要として抜擢されたのは俺だった」
「
暴走状態にある
まず第一に
続いて
そして各人が行った演算結果を同様にまた匂い成分の変化から読み解き、その結果を暴走する『
全てが
他のメンバーも演算を行っていたが、その方向性の修正や演算力の底上げ、その他諸々の微調整などは
「……そ、そんなの……
「そりゃあ、もう。
冗談っぽく笑ったが、
「どのくらいやり合ったかわかんないけど……皆の努力の甲斐あって、『
「良かった……」
「……かのように見えた」
「えっ……じゃない。そうか、そうでよね。そんなわけないですよね。何も良い事なんか」
結果として
しかしこの時、既に
より正確に表現するならば、神の領域からややグレードを下げ、事象操作の域に落ち着いた――という感じだ。
「
「新しい、所有者――」
「共同演算の結果、『
24人の中で最も演算能力が高い者――それは検討の余地無く、
「そんなことが……」
「所有権が変わった『
『
それこそが新しい所有者である
この危機を
「抑え込んだ! と思った瞬間さ。目の前で――あるいは俺のすぐ横で……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます