4-4 生き別れの
ロイヤルゲートホテルを見上げて固まったままの
「
「……あ、ああ。すまない……」
その音が聞こえてきそうで、
この世の全てには光と影がある。そしてそれは表裏一体で、紙一重。
今の世界のあらゆる技術の根幹である
開発段階において、あるいは何らかの実習の最中に。常に危険と隣り合わせと言える。
それは周知の事実であり、新しい技術に危険は付き物という暗黙の共通認識により、誰もが積極的に目を向けない。
ここ
寧ろ、強い光には濃い影が出来るもの。
その事故は複数人の死者を出しており、直接関わったり現場に居合わせた学生や教員は、ほぼ全員が死亡している。
そしてその3つの中でも特に惨い事件として世間に記憶されている事故が、このホテルで、1年半前に起きた。
あとの2つは
それに対し、この『ロイヤルゲートの惨劇』は、世界最高レベルの教育機関となった
「ここには、俺の兄も居た」
「うん、知ってる。だから無理しなくても良いと、私は思うよ」
「でも……1人だけ生存者が居たんだ」
「それが誰なのか、残りの27人がどうやって亡くなったのか、そもそもここで何が起きたのか、何もわからないんだよね」
「わからないんじゃない……隠されているんだ」
ギリギリっと、拳を握り込む音がまた聞こえた。
「…………
「悪い、
「それは全然、変なことじゃない」
いわゆる地方出身組で、それでいてスカウトでもない。そんな2人が揃って『黄金世代』と呼ばれていて母校は何やら鼻が高いらしい。
とはいえ2人の地元にも大学はあり、別にそこでだって十二分に名声を上げられただろう。
何故、上京して
姓が異なるのは両親が離婚しているからだ。
元々は一家で下之宮近くの街に住んでいたが
優秀な者同士、似たところも多く、馬が合って――すぐに仲良くなった。
そして
そして、そうなれば良いと思うようにもなっていた。
いつしか
離婚後もそのまま下之宮市近くに住み続け、弟に負けず劣らずの才能と言われていた
そうして
そのタイミングで
水入らずの時間も過ごしたし、
しかしそんな日常は、ある日突然終わりを告げた。
臨時課外活動で赴いたロイヤルゲートホテルの30階にある大ホールで、
実際、正確に27人の死体があったわけではない。現場の状況や学園の記録などから、そこに居合わせた者は1人を除いて全員死んだと推測された。
辛うじて生き残った1人も、精神・肉体ともに大きなダメージを負い、半年以上休学を余儀なくされたらしい。
「半年も休学していた筈なのに、その形跡が何処にも無ぇし、同じ学年の先輩達に聞き回っても、口を揃えて『そんなに休んだ人は知らない』なんて言いやがる」
何かの
「
「
少し先から
「ごめん、
陸上生活と
……しかしクラス3上位の
「え、マジ? そんなことあるの、
「悪い、朝飯抜いたからかも」
「だから言ってるじゃん、三度の飯より朝飯! って」
「意っ味わかんねぇ」
「ごめん、
「
緊迫した声で
ここの現場も、空魚が敢えて立ち入らない空間があって、その半径を計測することにした。
ここロイヤルゲートホテルは墜落事故の現場としては最も新しい現場。
つまり発生したのは昨日の夜。
24時間も経っていない現場だから当然、先程の4ヶ所目より大きいだろうなと、皆なんとなく予想していた。
「予想はしていたけど……まさか、こんな」
その半径は5メートルを優に超え、20メートルオーバーという衝撃的なサイズだった。
「こ、これが本当に空魚の残した痕跡だとするなら……
それは、危険性空魚の中でも最高レベルの危険度を誇るカテゴリー。
しかし、実際にその姿を見た者はほとんど居らず、そこに居たはずであろうという状況証拠からカテゴリーが設定されているだけで、捕獲した者や討伐した者は皆無。
まるで空想のようであることから、こう名付けられた。
「……み、皆。いつ、戦闘が発生しても遅れを取らないよに、
想定が甘かったかも知れない、と
生唾を飲み込んだ音が頭蓋の中で反響する。
嫌な予感がする。
誰かに見られているような。
もしかしたら、ここにあるのは
自分たちはもしかしたら今まさに、その渦中に居るんじゃないか。
だってここは最新の現場だ。
背中を冷たい汗が、どっと流れたような気がした。見立てが甘かった――そう思った時には実はもう遅かった。
胴体と生き別れになったであろう
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