第13話 〔光〕属性レベル2


『スライム洞窟』の奥へと進む俺たち。


 ダンジョンなので当然スライムたちと度々エンカウント。


 しかし数体程度の群れならスピカの敵ではなく、適度に狩らせていく。


 経験値も入って中々に美味い。


「きゅーん♡ きゅーん♡」


 もうスライムなんか敵じゃない!

 と彼女は先陣を切っていく。


 とっても勇ましい。

 でもかわいい。


「いい感じねスピカちゃん。でも疲れたら言うのよ?」


「きゅーん!」


「まだまだ平気って感じだな。っと、そういえばこの辺りに……」


 不意に思い出した俺は、周辺を見回してみる。

 すると、


「やっぱりあった! “聖竜草”だ!」


 ダンジョンの隅で隠れるように生える、白く光る草花を発見。

 俺はおもむろにそれを採取する。


 ロゼとスピカは不思議そうに花を見て、


「? なあに、それ?」


「きゅーん?」


「この花は〔光〕属性のレベルを上げてくれるアイテムなんだ。割とレアなんだよ?」


 彼女たちに“聖竜草”を見せる俺。


 ダンプリには、こういう特定のステータスレベルを上昇させるアイテムが色々あるんだよな。


 勿論このアイテムは人間にも育成モンスターにもちゃんと効果がある。


 序盤で手に入る物としては結構貴重な一品だ。


「このダンジョンに一ヵ所だけ生える場所があるの覚えてたんだよね。リポップしててよかった」


「覚えてたって……あなた以前にもここに潜ったことあるの?」


「え? ま、まあね」


 ……そりゃダンプリプレイヤーなら誰しもが通るダンジョンだもの。

 アイテムの配置くらいは覚えてる。


 説明が面倒なので言わないが。

 っていうか言えないが。


「さ、スピカ。食べてみて」


「スンスン……ガブリ!」


 彼女は匂いを嗅いで確認。

 食べて平気そうだとわかると、“聖竜草”にかぶりつく。


 そしてゴクンと飲み込むと、


ピコン!



〔〔“聖竜草”を摂取〕〕


〔〔光属性がレベルUP!〕〕


〔〔コメット・アタックを習得〕〕



 ――よし、やっぱりダンプリの効果と同じだ。


 これでスピカの〔光〕属性はレベル2。

 新しい技も習得してくれた。


「おめでとうスピカ。新しい技を覚えたね」


「きゅーん……?」


「まだ自覚ないかな? よし、スライム相手に――」


 試してみよう。

 そう言おうとした矢先、



「ぶるん……ぶるん……」



 ダンジョンの奥から、突如巨大なボス・スライムが現れた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る