紅き女神への呪い その2


 

 「あと、良ければ……今がいつで、此処が何処なのか………今どんな状況なのか教えてくれないか?」



 「……………は?」


 一体この男は何を言っているんだ…?救世教会に所属している者が………いや、この世界に生きている者がこの状況を……邪神封印の旅を知らない筈無いだろう。


 「…貴方ふざけてるの?それとも……まさかさっきの混乱で頭でも打ったっていうのかしら?」


 記憶喪失……その可能性も考えたがそれにしては先程ドラゴンを倒した時の立ち回りに迷いが無いように見えた。自分がドラゴンを倒せるほどの強さを持っている事を知らない限り自らドラゴンに向かっていくなんて事は普通しない筈だ………。


 「あー、まあそんな感じだ」


 私の苛つき混じりの嫌味な質問に対して男は目を逸らしながら曖昧に肯定してきた。


 「そんな嘘を………ッ」


 誰がどう見ても嘘をついている。という感じの態度だった。


 だが嘘をつく理由が分からない。私を見捨てようとした事が記憶から消えたからその事で責めないで欲しいとでも言いたいのだろうか?


 ………確かにさっきは彼に私を見捨てた救世教会への怒りを彼にぶつけてしまったが……それにしても違和感が残る様な態度だ。それに彼だけは此処に戻ってきてこうしてわわたしを助けているのだからそんな嘘は……………そうか、私は彼に助けられたのか…………。


 「………そうなの。それは大変ね。………それと、今更だけど助けてくれてありがと……」


 何故そんな嘘をついているのか分からないが、唯一私を助けに戻ってきてくれた彼が記憶喪失だということにしたいのなら私もそれに合わせよう。

 

 それに、もしそれを追求してしまって相手の機嫌を損ねる様な事があれば此処から救世教会の本拠地である救世国まで一人で帰らなければならなくなるかもしれない。


 そうなれば次こそ私は死んでしまうだろう。


 「それで……今これは…………どういう状況だったんだ?」


 彼はそこらに様々な状態で散乱している救済教会の騎士達であったものを一瞥すると真剣な表情でその質問を投げかけて来た。


 「………私たちは邪神封印の旅に出ていたわ。『邪神』っていうのは……………………」


 彼の思惑は分からないが先程の八つ当たりじみた態度の挽回になればと知っている限りのことを全て話した。





 「…ありがとう。おかげで今の状況がある程度理解出来たよ」


 「それは良かったわ。なら私と一緒に……」

 

 「あと最後に幾つか聞いてもいいか?」

 

 「え?えぇ、構わないけど……?」


 「まず一つ目なんだが……その『邪神』と呼ばれている神は女神か?」


 「……え?」


 質問の意図が理解出来なかった。


 「『邪神』は女性の姿をしているのか?」


 「女性?………ごめんなさい、『邪神』の見た目については何も聴かされてなくて……」


 「そうなのか………ならこの身体……じゃなくて救世教会の騎士に関係する神はその『邪神』だけなんだよな?」


 「ええ、『邪神』と……あとは救世教会で信仰されているこの世界の主神であるクレーメル様……ぐらいかしら」


 質問に答えると、彼は顔を俯けて何かをボソボソと呟きはじめた。


 「なるほど……ならやっぱりその『邪神』が……なのか……?」


 「……?」


 「あー、すまない。これで最後の質問なんだが……その『邪神』っていうのはどの辺りに封印されているんだ?」


 「どの辺り……って私だって直接行ったことあるわけじゃないけどあっちの方向にずっと行けば邪神の封印されている場所があるらしいわ」


 先程まで馬車に乗せられ連れて行かれていた方向を指差した。


 「……向こうか………」


 彼は私の指差した方向へ首を回して遠くへ睨みつけるかの様な目を向けていた。


 まるで今からでも其方へと向かいそうな………。


 ……えっ?まさか……今から向かうつもり?態々記憶喪失という嘘に付き合って此処まで丁寧に答えたのに私を見捨てる気か?この男は。


 「……ありがとう、この時間の説明をしてくれたお礼になるか分からないけど……まずは君を安全なところまで送り届けるよ」


 ……気のせいだった。それにこの時間……?彼の言動に違和感を感じながらもこの機会を逃してはならないと急いで此方の要求を伝えた。


 「な、なら救世国まで付いてきてもらっても良いかしら?安全な場所なんて今は其処しか存在しないわ」


 「分かった。ならちょっと失礼して……」


 「え?……きゃっ……!」


 「他の人達はあっちに向かって行ってたな。あの方向で合ってるのか?」


 「……え、ええ。それより何で私を抱えて……」


 「もう日が沈み始めてる。野営の道具も無さそうだし急いで君のいう邪神の影響を受けている土地から離れた方がいいと思ってね。すまないけど俺が君を抱えて走るよ」


 「そ、そうなの……」


 確かに二人で歩いて移動するとなるとまた魔物に出会す可能性がある。


 「なら……お願いするわ」


 「結構揺れると思うけど我慢してくれよ……ッ!」


 そう言って彼は駆け出し始めた。人一人抱えているとは思えない様な速度で。






 


 「……てくれ。多分……世国に……着い……思う」


 「……ぅん?」


 誰かが私の身体を揺すりながら声を掛けている。


 「起きてくれ。あれが救世国なのか確認して欲しい」


 「……………??………ハッ!?」


 ……ぼんやりとした意識がはっきりしてきた。


 どうやら私は彼の腕の中で眠っていたようだ。


 こんな状況で眠れるのか……と自分で自分に呆れるが、きっとあのドラゴンすら倒した彼の腕の中にいた事で安心して気が緩んでしまったのだろう。


 「良かった……目が覚めたのか。救世国ってところに着くまでに君が起きなかったらどうしようかって思っていたよ」


 「え、ええ……ごめんなさい。でもそんなに心配することかしら?」


 自分で言うのもアレだが別に着いてから起こせば良いのでは?


 「……昔、気を失った子を背負っているところを人に見られて……俺が殺したって誤解された事があって……」


 「そんな事ある?」


 というか記憶喪失の者の言う昔っていつのことだ。


 「……いえ、そんなことよりもしかして……ずっと走っていたの?」


 もしかして彼は一晩中私を抱えて走り続けてきたのだろうか。


 「ああ、どこまで行けば安全か分からなかったからな」


 「そう、その………ありがと」


 「気にするな。それよりも……」あれが君の言っていた救世国なのか?」


 そう言うと彼は視線を自身の歩いている方向に向けた。


 つられて私も彼の進行方向へと顔を向けると遠くの景色の中に巨大な壁が見え始めていた。


 「……ええそうよ。あれが救世国で間違いないわ」


 そうして私達は救世国に帰って来ることが出来たのだ。









 彼に抱えられたまま救世国に更に近づいていくと教会の騎士達が国を囲む壁の外側に、隊列を組んで並んでいるのが見えてきた。


 そして向こうも私達が近づいて来るのを認識したのだろう。隊列の中から何人かの騎士達が慌てた様子で近づいて来ていた。


 「ニケ様!?生きておられたのですか!?」


 その中にいた隊長らしき騎士が酷く驚いた様子で話しかけて来た。


 「…………ええ、彼が助けてくれたの」


 私を見捨てた彼らへの怒りや恨みは勿論あった。だが視界を埋め尽くす程にいる彼らの前で悪態をつけるほどの度胸が私には無かった。


 「彼………貴殿は……何者だ?見たところ我ら救世騎士の一員のようだが……貴殿がニケ様をお助けしたのか?」


 私の返答を聞いたその騎士は顔を彼の方へと向け戸惑い交じりの声で矢継ぎ早に質問を浴びせていた。


 「俺は……エえーっと、名前は……」


 「隊長!ニケ様は………ってお前は!?……リオス!リオス・デメトじゃないか!お前が配属された第二師団は全滅したって聞いていたから心配してたんだよ!」


 彼がその質問に答えあぐねていると遅れて近づいて来た一団の中にいた彼の知り合いらしき騎士が、彼の名前?を呼びながら此方に近づいて来た。


 しかしそうか、彼の名前はリオス・デメトというのか。


 「ふむ、貴殿はリオスという名なのか。なら改めて聞こう。あのドラゴンはどうしたのだ?想定外の強さを持つドラゴンがこの国に向かってくると報告を受けて総員で迎え討つ準備をしていたのだが……」


 「あ、ああ……それなら倒したから安心してくれ」


 彼のその言葉に騎士達がざわついた。


 皆が彼に愚か者を見るような目を向けていた。


 「倒したぁ?封印の旅に同行する事を許された救世騎士の中でも精鋭である彼等を、腕の一振りで壊滅させていたあのドラゴンを?お前一人で?お前さぁ……リオスって言うんだっけ?お前のその下らない嘘のせいで皆の警戒が解けたらどうなるのか考えて発言したのか?偶々ニケ様をお救い出来る位置に居たのかもしれないがそんな嘘を……」


 そして遂には騎士の中から彼の発言を嘘と断定して糾弾する者が現れた。


 「彼がドラゴンを倒したのは本当よ。この目でしっかり見たわ」


 我慢ならなかった。


 何故私を助けてくれた彼が、私を見捨ててドラゴンから逃げた彼等から糾弾されなければならないのだろうか。


 「なっ!?それは本当なの……ですか!?」


 「ええ、死体もまだ残ってる筈よ。そんなに疑うのなら確認して来たらどうかしら?」


 「……いえ、聖女様の発言を疑うなんてとんでもない。しかし実際に目に見える証拠があれば皆も安心するでしょう。お前達!」


 「「「はっ!」」」


 「至急確認の為の調査隊を組んでドラゴンと接敵したという場所に向かわせるんだ。そして防衛隊には調査隊が戻ってくるまでは警戒を続けるように伝えるんだ」


 疑わないと言いながらも階級が高いと思わしきその騎士は他の騎士達にそう命令を下していた。


 もしこれがもう一人の聖女……レイカ・ナナセが言った言葉だったら手放しで信じたりしたのだろうか。


 「では聖女様は此方の馬車へ……。急ぎ救世教会までお送り致します」


 「……なら彼を……リオス・デメトも一緒に乗車させて欲しいわ」


 「あの者を?ええ、分かりました。……騎士リオス!聖女様が貴様の同行を所望されている!急ぎ此方へ!」


 つい彼の名を出してしまった。今回の件で私は彼らの中で聖女ナナセの身代わりぐらいにしか思われてない事を痛感した。そんな信用出来ない者達の中に一人で行くのが怖かった。








 私とリオス、数名の騎士を乗せた馬車が救世教会を目指して人のいない街道を走っていた。


 「……街の人達が……居ない?」


 馬車が街の中を走り始めてすぐに気づいた。いつもなら沢山の人が行き交ってる筈の街の景色の中に人が一人としていない事に。


 「ええ、帰還した騎士達の報告を受けてすぐに民達をこの国の中心部に避難させました」


 私がつい呟いた疑問に、同席していた騎士が答えた。


 「……ふーん」


 それもそうか。この国を囲んでいる巨大な壁をものともしなさそうなあのドラゴンがこの国に向かって来るとなれば少しでも被害を減らす様に皆を非難させるのは当然だ。


 そうして誰の姿も見えない静かな街を眺めているうちに馬車が救世教会に到着した。











 教会に着くとすぐに救世教の最高責任者である教主様の部屋へと通された。


 そこで教主様から今回の事への謝罪の言葉と共にこの国の民達が私の事を必要としていると教えて頂いた。


 そして私の身を案じているからこそ、次の邪神封印の旅があるまではこの後私にあてがわれる内部の魔力を外に漏らさない様に造られている部屋から出ないで欲しいと嘆願された。


 この国を纏めている組織の長から頭を下げられてはその謝罪も要請も受け入れる他なかった。








 「次の封印の旅はいつ始まるのよ!私はいつまでこの部屋に居れば良い訳!?」


 始まるまでは物語の姫の様な生活を想像していたが、それは実質的な軟禁生活だった。


 「それは………すみません。前回の旅で実力を持った先輩達が殆ど殉職してしまって……それにその旅で確認された例のドラゴンの事もあって、この国の防衛の方にも人員をどの程度割くか議論されていて………」


 お世話役とは名ばかりの私の監視役としてこの部屋に置かれている騎士が苛立っている私に宥める様な言い方でそれらしい事を言って来た。


 もうその理由ももう聞き飽きた。


 「何か必要なものがあればすぐ用意致しますのでもう暫くご辛抱下さい」


 「リオス・デメトを呼びなさいっ!」


 このやり取りも何度目だろうか。この部屋にいる世話役の騎士も、この部屋の外で警護をしている騎士も私では無くもう一人の聖女……レイカ・ナナセの方に心酔している事は分かっている。そんな一度は私を見捨てた信用できない者達に部屋を囲まれているというのがどれほど不安に感じるか。


 ただ一人、信頼しても良いかもしれないと思っているリオスを側に置いておかないと心が落ち着かなかった。


 その次の日も、


 「要望のものは……」


 「リオス・デメトを呼んでちょうだい!」


 更にその次の日も、


 「要望の……」


 「リオスを呼んで!」


 更に更に次の日も、


 「リオスを……!」


 彼を側に置き続けた。










 しかしその日はいつもと違っていた。


 「彼を呼んできて!」


 「すみません、聖女さ…ナナセ様が騎士リオスとの面談を望まれた為、今日は騎士リオスは呼び出しに応じる事が出来ません」


 「…………え?」


 どういう………こと?彼は……彼だけは私を……


 いや、彼は確かに私を助けに戻ってきてくれたが、だからといって彼がレイカ・ナナセでは無く私の方の味方になってくれるというわけじゃない。もしかして彼も他の騎士達と同じ様にレイカ・ナナセに己の剣を捧げているのでは……


 「……ニケ様?」


 「リオスは今……聖女ナナセの部屋にいるの?」


 「え、ええ……そうですけど………ってニケ様!?この部屋から出てはなりませんっ!!」


 彼の居場所の確認をとって、すぐに部屋を出ていこうとしたところを世話役の騎士に止められた。


 「離して!すぐに戻って来るから!少しくらい構わないでしょう!?」


 大体、邪神の影響はまだ此処まで及んでいない。多少この部屋から出ても問題になるとは思えなかった。


 だから無理矢理にでも外に出ようとした。


 「なりません!決してニケ様を外に出してはならぬと教主様からも言われております!どうか扉から離れて下さい!!」


 しかし相手は世話役と言っても戦う事を生業としている騎士だ。どうにか外へ出ようとしてみたが力づくで止められてしまった。


 この騎士がいる限りはこの部屋から出るのは不可能だ。


 ……ならば


 「………ふぅ、リオスは明日になったらまたこの部屋に来てくれるのよね?」


 「ええ、なのでどうか外には……」


 「分かったわ。ただリオスが来ないとなると今日一日時間を潰せるものが必要ね」


 「……ええ」


 「裁縫道具と………後は大きな布を用意してちょうだい。今日一日それで時間を潰すわ」


 「……分かりました。すぐに用意致します。なのでくれぐれも!外に出ようとしないでくださいね」


 無理矢理この部屋を出ようとしてすぐの事だ。流石に言葉をそのまま信じたりはしないだろう。世話役の騎士は私の方に懐疑的な目を向けていた。


 そして世話役の騎士が部屋の扉から外へ出ていった。


 彼が出ていってすぐに扉の向こうから「決してニケ様を外に出すな」と部屋の外にいる見張りの騎士達に命じている声が聴こえてきた。


 その後、小走りに走る音がこの部屋から遠ざかっていった事を確認してすぐに行動を始めた。


 ベッドのシーツや丈の長い衣服を固く結んでいき一本の長い紐を造り、その片方を天蓋付きベッドの柱に固定して、もう一方をこの部屋の窓から垂らすように下ろした。


 あの騎士もまさか三階建ての建物の一番上の階にある部屋の窓から出ていくとは思わないだろう。


 そうして垂らした即席の紐を伝い、何とか地面に降り立つ事が出来た。


 後はレイカ・ナナセの部屋に向かうだけだ。


 レイカ・ナナセの部屋は街の人達も訪れる事が出来る教会の方にあった筈だ。運良くこの建物の近くには誰一人居ないみたいなので今のうちに急いで教会の方に向かおう。




 そして教会に着いた。


 教会に着き、裏手の方にある窓から聖女ナナセの住む部屋を覗くと





 彼女とリオスが楽しそうに話している光景が見えた。





 レイカ・ナナセもまるで近所に住んでいた者と再会したかの様な安心している表情を浮かべていた。


 「れは『全状態異常無効化』……って…………だ」


 「えーっ!それだけ?!わた………『その世界に生……いる人達の全ての才能』を貰っ……て…るわ」


 「なんだよそれ……すぎるだろ。ズル……ゃん」


 やはり彼も私よりレイカ・ナナセの方を………


 …………いやだ。


 もう彼女は沢山の人から充分に慕われ愛されているではないか。彼は……彼だけはどうか…………


 「…………ニケ様?」


 呆然と窓の向こうを見ていると横から何者かに名前を呼ばれた。


 声の方へ顔を向けると、この辺りの区画に住んでいる者達の代表を務めている男が怪訝そうな顔で私を見ていた。


 「……どういう事ですかな?ニケ様は先の封印の旅でナナセ様を守る為に自ら犠牲になったと教主様から伝えられたのですが……」


 「…………え?」


 私が……犠牲に?確かにそうなりそうだったけど……それはレグスが


 「代表!!」


 何を言われたのか理解する為に必死で頭を働かせていると世話役の騎士が複数の騎士を連れて焦った様子で此方に駆け寄ってきていた。


 「この女性は一体………まるでニケ様にそっくりな…………」


 「それについては彼方でご説明致します。お前達、その女性を部屋にご案内して差し上げろ」


 世話役の騎士が連れてきた騎士達が私を代表の視界から隠す様に囲んできた。


 「な、何よ……」


 「「「………」」」


 私を囲んできた騎士達は不気味な程に言葉を発さず、その顔には何の感情も浮かべていなかった。


 「……助けてリオむぐっ…!?」


 ただならぬ雰囲気を感じ取り窓の向こうに居るリオスに助けを求めようとしたが騎士のうちの一人の手が伸びてきて口を塞がれた。


 そして騎士達は両脇から私を抱えて何処かへと移動し始めた。







 「きゃっ!?」


 連れて行かれた場所は私が教主様から頂いた部屋だった。


 騎士達は私を物の様に部屋の中に投げ入れて、各々が窓や扉といったこの部屋の外へとつながっている部分の前へと立ち塞がった。


 「ちょっと!一体何よ!」


 「「「………」」」


 聖女に対する敬意も何もない対応に文句を言おうとしても彼らはただ無言を貫いていた。


 様子のおかしな騎士達を相手に部屋の中で身動きが出来ずにいると誰かが部屋の扉を開けて入ってきた。


 「…………ニケ様、この部屋の外に出てしまわれたのですね」


 中に入ってきたのは教主様だった。


 「きょ、教主様!彼らは一体何なんですか!それと街の代表が私が死んだと仰られていたんですが……どういう事ですか!?」


 「……この国の者達に、私達『救世教会』が聖女様を見捨てたという事を絶対に知られてはならないのです」


 「……え」


 「私は皆が封印の旅に赴く前に、騎士隊長に一つの命を下しました」


 「騎士…隊長……」


 あの時、私を見捨てるという判断を下したあの男か……。


 「それはもしも旅の途中でどうにもならない窮地に見舞われた時、その時には躊躇わずナナセ様の方の御命を優先しろというものでした」


 「そ、そんな…じゃあ貴方が……」


 信じられない。そんな気持ちでいっぱいだった。


 「そして残念な事に前回の封印の旅は、邪神の影響を受けたドラゴンに襲撃された事で失敗に終わりました。皆の希望であるナナセ様の御命は無事といっても封印の旅の途中で聖女一行が引き返してきたという事実は皆の心の中に一抹の不安を植え付けた事でしょう」


 罪の告白というにはひどく落ち着いた口調だった。


 「それに加えて聖女様を支える事を目的に創られた救世教会が聖女を見捨てたとあっては皆の心に更なる不信感を与えてしまう。だから私達は封印の旅から引き返してきた者達の中に聖女ニケがいない事に対して説明を求める者達に聖女ニケは訪れた窮地を前にナナセ様に人類の未来を託して単身時間を稼いだのだと説明したのです」


 「で、でも教主様は私の存在が必要だと……!」


 「ええ、貴方が皆の未来の為に自らを犠牲にしたという美談が今の私達には必要です。先の封印の旅で我々は民の信頼以外にも様々なものを失いました。練度の高い騎士、高価な武具、旅に耐える事の出来る馬等です。次の封印の旅を成功する為にも今の私達にはより多くの支援が必要なのです。その支援を集める為にも貴女の気高い最期が必要でした」


 「……支援」


 「……お布施ですよ。しかし民達にそう説明した後で貴女が戻ってくるというのは想定外でした。幸いにもその時には民の避難は完了していたので誰にも見られる事は無かったのですが……まさか今日になって急に外に出てしまうなんて……」


 「……なんで、なんで私を騙すような真似を……」


 「そうですね、それについては申し訳なく思います。貴女が戻ってきたその日に訊くべきでした。……どうか人類の未来の為に今のこの生活を受け入れては下さいませんか?」


 この生活、極一部の騎士としか顔を合わせない実質的な軟禁生活のことか。


 そんなの


 「嫌に決まって」


 「よく考えてみてください。貴方は確かに光の魔力を持っていますがその魔力量はナナセ様の足下にも及びません。このままいっても貴女では無くナナセ様が世界を救った救世主として扱われる事は間違いないでしょう。しかし、この生活を受け入れてくだされば貴女はナナセ様に未来を繋いだもう一人の聖女として未来永劫語られて行く筈です」


 「……………その生活の中にリオスは居てくれるの?」


 「リオス……?ああ、貴女が毎日呼び出している例のドラゴンを倒した騎士ですね」


 「……ええ」


 「……申し訳ありませんが彼の戦闘能力は次の旅で必須です。他に見目の整った騎士を幾つか用意致しますので…………」


 「なら結構よ」


 「……はい?」


 「結構よ」


 リオスが次の封印の旅について行くとなれば当然レイカ・ナナセと一緒に行動する事になるだろう。それだけは……嫌だ。


 おまけ程度の扱いで構わない。なんとか次の旅にも連れて行ってもらって…………


 「……なら仕方ありませんね」


 「え?」


 この部屋に居た騎士の一人が腰に携えていた剣を抜いた。


 「貴女が生きていたとあってはこの救世教会が、ひいては聖女ナナセ様が立ち行かなくなってしまいます。どうか人類の未来の為にも先に神の元へ……」


 「ま、待って……」


 そしてその剣が私に振り下ろされそうになったその時、


 「ホアァァ!!」


 突然部屋に入り込んできた何かがその騎士を吹き飛ばした。


 「大丈夫か!?」


 「……リオス?」


 気づいた時にはかつて彼に助けられた時のように抱えられていた。


 「どうして教会の騎士が……教主様が聖女を殺そうとしているんだ!?」


 「騎士リオス、今すぐ聖女様を離しなさい。貴方は確か次の封印の旅への同行を強く希望してましたね。その次の封印の旅を成功させる為にも彼女の犠牲は必要なのです。……よく考えてください。彼女には身内も友人も居ません。彼女の死で傷つく者はいないのです」


 「……っ」


 ……そうだ、私にはもう家族も……友人もいない。私が死んで悲しむ人なんてこの世のどこにも


 「此処にいる!」


 「……え」


 リオスはそう言いながら、かつて私を助けたときのように抱き上げた。


 そして私を抱えたまま部屋の窓から外に飛び降りた。


 「きゃぁ!」


 「すまない!ちょっと我慢してくれ!」


 そう言いながら彼は建物の屋根に飛び乗り、そのまま屋根伝いに逃げ始めた。


 



 「……あそこから逃げたは良いものの、この後どうしよう」


 「考えてなかったの!?」


 「……おう」


 「ならどうしてこんな事を……」


 「……その人が死んでも悲しむ人が居ないから犠牲になってもいいっていう考えは間違っていると思ったからだ……。そして何より俺がニケに(ひとりぼっちのまま)死んでほしくなかったんだ」


 「………っ!」


 なんだろう、急に身体が熱くなってきた。それにこんな状況なのに頭がボーっと、フワフワしている。


 「あの壁の門……いや、それは最終手段だ……身を潜めて様子を見よう」


 「ええ」


 そう言って彼は路地裏へと飛び降りた。


 そして入り組んだ路地裏を警戒しながら進み、少し時間がかかったが表の様子が確認出来そうな場所に出た。


 物陰に身を潜めたままこっそりと表の様子を伺った。


 街中には騎士が溢れていた。


 「いたか!?」


 「此方にはいません!」


 そして私達が隠れている所のすぐ近くを二人組の男が通った。


 「おい、聴いたか?」


 「勿論さ、救世教会の騎士様方が回収なされていた聖女ニケ様のご遺体を死霊術師が盗み出したって話だろ」


 「ああ、ふてえ野郎だ。騎士様方も今血眼でその死霊術師の男を探しているらしいぞ」


 そう話しながら二人組の男が通り過ぎて行った。


 「不味いな。どのあたりまで捜索されるんだ?」


 「この国の全てよ。この国に居る限り救世教会の目から逃げることなんて出来ないわ………リオス、今此処で私を殺しなさい」


 「……は!?何を言っているんだ!?」


 「貴方の戦闘能力を教会は当てにしてたわ。私さえ死ねば貴方の命は助けてくれると思う。貴方もどうしても邪神の下に向かわなければならない事情があるって言ってたじゃない。ただそれには教会に全てを捧げると教主様に証明し直す必要があるわ。だから私を殺しなさい。……救世教会から隠れたまま生きるなんて不可能よ」


 私にもレイカ・ナナセより優先してくれるような人が居ると知れただけでも………充分だ。


 「……なら取れる手段は一つだ」


 そう言うと彼は私を抱え直し、何処かへと走り始めた。


 きっと教主様の元に向かうのだろう。彼の命だけでも救えるのなら私の命にも価値があったと思える。


 「まずは門の方に向かおう」


 ……門?


 「ちょっと!一体どこに向かっているの!?教会は門と逆の方にあるのよ!?」


 「この国の外に出るんだ。この国に居る事が出来ないなら…………それしかない!」


 「この国の外!?危険よ!仮に外に出たとしてもその先どうやって生きていくつもり?!」


 「この国に向かって走っている途中に大きな建物を見つけたんだ。教会みたいな。一旦そこに身を潜めて何か方法が無いか一緒に考えよう」


 大きな教会のような建物……そうか、先代の聖女の封印の旅の反省を活かして建てられた夜営用の小教会か。聖女の持つ光の魔力に寄せられてきた魔物への対処で苦労したという先代の言葉を踏まえて、前回の邪神の封印が終わった後、封印の旅の道中に幾つか内部の魔力を遮断する小教会を建てたというやつだ。そこなら……!


 「そうね。そこなら……でも門はどうするつもり?警備の騎士だっていつもより多いだろうし……あの固く閉ざされた門はどうするの?」


 「あまり気は進まないが……門の上側に俺たちが通れるくらいの穴を開ける」


 「そんな事出来るの!?」


 「ああ、俺の唯一使える魔法でな………すまない、両手を自由にしたいから体勢を変えてもらっていいか?」


 「ええ構わないわ」


 「じゃあ一旦降りてもらって「いたぞ!此処だ!」


 「なっ!?不味い!」


 彼が身体を傾けて私を地面に下そうとしたその時、運悪く騎士に見つかってしまった。彼は私を下ろす事を中断し、改めて正面に抱え直して逃げる為に走り始めた。


 「すまない、なんとかニケの方で体勢を変えてくれないか」


 彼は走りながらそう頼んできた。


 「分かったわ」


 両手で抱えられていた状態からなんとか身を捻り、私が両手両足を使って彼に抱き付いている状態に体勢を変えた。はしたない気もするが今は緊急事態だ。仕方ない。


 「表に出るぞ!」


 「ええ」


 彼が物陰から飛び出した。


 「いたぞ!!」


 「門に向かっている!!」


 「あの死霊術師め!ニケ様を自分に抱き付かせているぞ!!」


 「聖女ニケ様になんてはしたない真似をさせているんだ!」


 「ニケ様の意識がないのを良いことに!あんなはしたない事を!!彼女が生きて人並みの羞恥心を持っているのならあんな事を絶対にするはずがない!!」


 顔から火が吹き出しそうだった。


 「門が見えてきた!」


 背中の方で彼が腕を前に突き出す気配がした。そしてそのすぐ後に背中の方から大きな爆発音が聴こえてきた。


 「門が破壊されてしまった!!」


 「なんて事を!!」


 「舌を噛まないように気をつけてくれ!」

 

 彼が勢いよく跳躍した。


 後ろから追ってきていた騎士達が瞬く間に小さくなっていく。


 「よし、後はあの小さな教会に向かうだけだ」


 そうして私達の逃亡生活が始まった。








 それからずーっとずぅーっと移動を続け、日が沈む頃に漸く最初の教会に辿り着くことが出来た。


 「此処だ。ふぅ………もう降りても平気だ」


 「えっ?……あ!そうね!もう此処まで来たんだもの」


 此処に来るまでの途中に、両腕で抱えてもらう体勢に戻してもらった。最初は私を背負う形にしようと提案したのだが後ろから矢が飛んでくるかもしれないという結論に達して結局その体勢に落ち着いた。


 「ふぅ、その…………ありがと。ずっと私を抱えたまま走り続けてたから疲れたでしょう」


 「大丈夫だ。それよりもう日も落ちてきている。この建物で一晩休むことが出来るのか急いで確認しよう」


 「それについては問題ないと思うわ」


 小教会の扉を開けて中に入った。


 中には騎士達が交代で休憩する為の部屋と聖女が休む為の小さな寝室があった。


 「前の封印の旅では二番目の教会迄は行けたの。でも三番目の教会に向かう途中にあのドラゴンに襲撃されて……」


 「ならニケはこの教会に一度訪れたことがあるのか」


 「ええ、把握してるわ。この入ってすぐの一番大きな部屋がが騎士達が交代で休憩する時に使う部屋で、此処が寝室よ。此処にはいろんなものが置いてあるわ。ほら、前回の旅で先代聖女が戦った魔物達がまとめられている魔物図鑑とかあるの」


 「此処で一晩過ごす事が出来るのなら良かった。そしたら俺は外で何か食べられるものでも探して「待って」……どうしたんだ?」


 この部屋から出て行こうとする彼の腕を反射的に掴んでしまった。


 「その、一人になるのが怖くて……」


 「でも、今日は少なくとも昼以降何も食べてないだろう?俺は朝はしっかりと摂っていたけどニケは朝しっかり食べたのか?」


 ……今日一日何も食べてない。朝はいつものようにリオスが来てから食べようと思っていた。しかし、あんなことになって…………。


 「食べたわ」


 勿論空腹は感じている。しかしそれ以上に今後に対する不安の方が強かった。だから彼に側にいて欲し……いや、やはり駄目だ。私が不安を感じているのは私の都合に過ぎない。彼は救世国から此処までずっと走り続けてきたのだ。私を抱えて。いくら彼が朝食は摂ったといっても彼の方が私より遥かに空腹を感じているのかもしれない。それを私の我儘で追い討ちをかけるなんて出来ない。


 「それと一人が不安というのは冗談よ。引き止めたのは食糧の確保には私の方が行きたかったからよ。貴方はこの部屋にいて。私が外で何か食べれそうなものを探してくるから」


 「なっ!?外は危険だ。もう暗くなっているし俺が行く!君は此処で休んでいてくれ!」


 「大丈夫よ。この辺りはまだ邪神の影響も受けていないし」


 「よし分かった!食糧の確保は明日にして今日は一旦寝よう!それがいい!」


 「……でもリオスはお腹が空いているでしょう?あれだけの距離を走ったんだから」


 「俺は大丈夫だから。今日はもう休もう」


 「…ええ。おやすみ……」


 彼が寝室から出て行ってしまった。


 本当は一緒にいて欲しかったが冗談と言った手前、今更やっぱり一緒にいて欲しいなんて言えなかった。


 






 朝が来た。


 目が覚めてすぐに騎士の休憩部屋に向かうと彼も既に起きていた。


 どうやら彼は朝早くから一人で食糧や水分の確保に赴くつもりだったようだ。


 私も着いていこうとすると、外は危険だと言って反対してきたが、私がこれから国の外で暮らすことになるのなら外の世界の知識を知っておかなければならないと言うと少し考え込むような様子を見せた後、なら一緒に行こうと言ってくれた。


 彼は外の世界の事をよく知っていた。どの植物が食べる事が可能で、どの木の実に多くの水分が含まれていると詳しく教えてくれた.


 彼の知識のおかげで朝食が確保出来たので、それを食べ終えた後改めて今後の方針を話すことになった。


 「近くには川もあるし此処に棲む……という訳にはいかないよな」


 「ええ、向こうも光の魔力を持っている私が外で生活するとなれば小教会しか選択肢が無いと分かっているはずよ。あの国を脱出する時に貴方が門を中途半端に破壊したからすぐには来れないでしょうけど、でもいつか必ず彼らは此処に来るわ」


 「…………分かった。なら残された道は一つだけだ。彼らに追いつかれる前に………邪神の方をどうにかしよう」


 「……それしかないわね。私もそれを提案しようと思っていたわ」


 邪神さえ封印出来れば魔物が光の魔力によってくる事は無くなるのだ。


 そしたら小教会以外の所に棲む事だって出来る。


 どうせ此処に居たって教会の連中に殺されるだけだ。ならどれだけ危険な道だろうと、成功するかどうかも分からない不確定な道だろうと、先に進むしかないのだ。


 「二番目の教会のある所はまだ邪神の影響を受けてないんだよな?先ずはそこに向かおう」


 そうしてたった二人の封印の旅が始まった。







 「そろそろ二つ目の小教会が見えてくるはずだわ」


 最初の小教会から此処まで、またリオスが私を背負ったまま走ってくれた。


 「……あれだな。……ん?扉が開いている?」


 彼の言葉につられて小教会の扉を見てみると、確かに扉が空いていた。


 「あれ?変ね……前の旅の時に閉め忘れたのかしら」


 「………背中から降りてくれ。確認してくる」


 「此処に一人で置いて行く気?リオスが教会に入った後、一人で外で待ってる方が危険よ」


 「……俺の後ろに隠れて絶対に顔を出さないでくれ」


 「分かったわ」


 そうして二人で恐る恐る教会の扉に近づいていくと、何かが小教会の中から飛び出して来た。


 「きゃっ!」


 「魔物!?」


 飛び出して来たのは人の上半身ほどの大きさをした巨大な蝙蝠の様な魔物だった。


 そして私はその姿を魔物図鑑で見ていた。そうあれは確か……


 「あれは……サキュバスよ!」


 そう、サキュバス という魔物だった。確か目を合わせた男性を魅了状態にして操るっていう…………


 「リオスっ!見ちゃ駄目!!」


 「うわっ!!」


 彼がサキュバスと目を合わせないように彼の頭を自身の胸元に抱き寄せた。


 「ちょっ!敵が見えない。落ち着いてくれ!」


 「ダメよ!あの魔物の目を見たら貴方はッ!………あっ」


 彼が魔物を見ようと体勢を立て直したせいで彼の頭にしていた抱擁が崩れ、ただ彼の首に私が抱きついているだけの状態になってしまった。


 「そんな……」


 彼の目と魔物の目がしっかりと合っていた。


 二人の旅はこんなにもすぐ、こんな終わり方を迎えるのか。


 心の中に絶望が広がっていった。


 「……大丈夫だから。すぐにあれを倒すから首に回している手を離してくれ」


 「……え?」


 彼はサキュバスの方に剣を向けながらそう言った。


 「……どうして」


 確かに彼はサキュバスと目を合わせたはずだ。なのにしっかりと目の前の魔物に敵意を向けていた。だから彼の大丈夫という言葉を信じ手を離した。


 …………まさか。


 魔物図鑑に書かれていたことには続きがある。


 魅了状態の者を正気に戻すには、その者が真に愛する者の抱擁が必要であるというものだ。


 私は今彼に抱きついていた。


 …………まさか





 もしかして彼は私の事が好き?





 そうでも無いと今私の目の前でサキュバスを切り捨てている彼に説明がつかないのだ。


 そうか、彼が私に好意を寄せているのなら今までの不可解ことにも説明がつく。皆んなが私を見捨てて逃げていく中一人だけ戻って来てくれた理由も、自分が所属している筈の教会を裏切ってでも私を助けてくれた理由も……彼が私を好きだったからなのだ。


 そんな……これは困ってしまった。


 私は恋愛感情では無くただ他の信用できない者達よりはマシだという理由で彼を側に置いていただけだ。


 しかし私を何度も救ってくれた彼には失恋なんて経験をしてほしく無い。


 だから私ももし彼から好意を伝えられたら受け入れる事はやぶさかじゃ無い。


 ……ふぅ。ところで私の心臓はいつになったら落ち着いてくれるのだろうか。


 この結論に達してからというもの心臓が激しく鼓動を刻んでいて身体もすごく熱を持っている。


 そして生まれて初めて感じるこの身を預けたくなるような心地良い気持ちはなんだろうか。喜びに近い気もする。


 私は彼の好意に喜んでいるのだろうか? 

 

 という事は





 もしかして私も彼の事が好き?





 そんな……まさか。今まで気付かなかった。





 私達は両想いだったなんて。





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