出張・西さんち

西しまこ

第1話

 HP削られます。 


「どうして勉強しなかったの!」

「えーと、うんこしてたから」

「うんこに30分もかかるわけないでしょう!」

「だって! うんこがとまらなかったんだもん!!」

「いいわけはやめて!」


「ちょっと! どうしてトイレからなかなか出てこないの?」

「うんこがとまらなかったから」

「嘘ばっかり。うんこスマホしていたくせに」

「へへ」


「寝るときはスマホを外に出せって言ったでしょう!」

「だって、充電してたから!」

「充電はリビングでしろって言っているでしょう」

「だって、やらなきゃいけないことがあったから!」


「ねえねえ、3000円課金していい? いいよね?」

「いいわけ、ないじゃん!」


「ねえ、俺、今日眠いから、学校休んでいいよね?」

「いいわけ、ないじゃん!」


「今日さ、友だちとゲームするから。23時から」

「いいわけ、ないじゃん! 明日学校でしょ?」


「ちょっと! スイッチがないけど、どこにあるの?」

「え? オレ知らないよ」

「テスト中はやめなさいって言ったでしょう?」

「え? オレ知らないよ」

「ベッドの引き出しにあるじゃん!」

「え? オレ知らないよ。しまこちゃんが入れたんでしょ?」

「……意味の分からない いいわけ、止めてくれる?」


「あのさ、お弁当箱出してくれる?」

「疲れてるから、ほんとうに待って。ちょっと待って」

(翌朝)

「ねえ、お弁当箱、出てないんだけど。一晩待ったけど?」

「うるせーな! 出せばいいんだろ、出せば!」

「そんな言い方、いいわけ、ないじゃん!」


「あのさ、水筒出してくれる?」

「疲れてるから、ほんとうに待って。ちょっと待って」

(翌朝)

「ねえ、水筒ないからお茶入れないよ」

「いいよ、俺、脱水症状で死ぬから!」

「全然よくないよ、いいわけ、ないよ、水筒出せばいいだけだよ!」


「ゲームやめて」

「ちょっと待って」

(30分後)

「ゲームやめて」

「ちょっと待って」

 いいわけすらありません。

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出張・西さんち 西しまこ @nishi-shima

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