7つのいいわけと1つの本音
石嶋ユウ
7つのいいわけと1つの本音
君へ
これから君に言わねばならないことが七つあるんだ。
一つ目。半月前に行った本屋について。君がその本屋で買ってきてくれた一万円の本を私は間違って捨ててしまった。本当に間違いなんだ。ごめん。
二つ目。半月前に君が私の誕生日にくれたかわいいぬいぐるみ。実は友達にあげてしまった。友達が半ば強引に持っていってしまったんだ。ごめん。
三つ目。一週間前に君からもらったせっかくの手紙をぐちゃぐちゃに破いてしまった。むしゃくしゃしててついやってしまった。ごめん。
四つ目。先日、君と深夜に散歩した時に言ったあの言葉、実は嘘だった。雰囲気に流されてつい言ってしまった。ごめん。
五つ目。私が筋トレをしているという話。あれ、実は私のことじゃなくて友達の話。つい見栄を張りたくなっちゃった。ごめん。
六つ目。アンラッキーセブンという言葉。実はこの言葉は私が考えたんじゃなくて、ネットの誰かが考えた言葉。ちゃんと言うべきだった。まさか誤解するなんて。ごめん。
七つ目。実は今書いた六つのことは全部作り話なんだ。どうしてこんな嘘をついたのか、君ならわかるでしょ。私はあなたのことが何より大事。だから君のことを試したくなっちゃった。この手紙を読んで君は何を思うのかな? 怒るのかな? 笑って許してくれるのかな?
私は君のことがわからなくなってしまった。だからこんな手紙を送りたくなってしまった。言い訳がましいね。ごめんなさい。
何度でも言うけど私は君が好き。
だから、許して。
じゃあね。
それから彼女は、この手紙を残して姿を消してしまった。俺は彼女のことが好きだった。それは彼女もそうだとずっと思っていた。だからだったのか、俺は彼女とのコミュニケーションを疎かにしていたのかもしれない。それがいけなかった。
ああ、俺の方こそごめん。
もし、彼女にまた会えるのならば俺は彼女を抱きしめてこう伝えたい。
愛してる。
7つのいいわけと1つの本音 石嶋ユウ @Yu_Ishizima
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